先入観の構造
①問題意識の先行した視野狭窄
→ある(社会)問題の原因として、あるものの影響度を高く見積もる
・映画を早送りする行為に、現代人のせっかちさを見る:そもそも映像作品の地位が下がっている
・1980年代の戦記物小説で日独決戦モノが流行ったのを、歪んだナショナリズムの現れととる:当時の戦記小説ファンにとっては、ジャンルの一つでしかない
②共役不可能性の軽視
→前提の価値観の相違
・ハラリの「人間が農作物を飼いならしているのではなく、人間が農作物の奴隷になっている」というような内容の話に対して、旧約聖書の序盤を思い浮かべていると非難:ユダヤ教徒の著者の本だった。ユダヤ教徒として旧約聖書の文言が現実を叙述する材料になっていることに否定的なのはバランスが良いと言えるかもしれないが、そもそも旧約聖書と関係なく発生した言い回しである可能性に思い至っていなかった
誰しも先入観はあるだろうが、無くそうとするのではなく、自分のソレの構造を把握して適宜修正するかTPOに合わせて付け替える方が賢明だろう。