【妄想小説】春様の召使い 2話
〜1月27日 00:00
2-1. 入学当初(10号)
高校に入学した当初、私は電車や学校で春様と友達のように話せていた。
それが時間とともに自然になくなり、本来あるべき関係性となった。
つまり、「世界の中心である春様」と「春様を遠くから眺める片隅の存在」という関係性だ。
しかし5月末に勇気を振り絞って春様に話しかけて以降は、学校では雑用をやらせてもらえるようになり、また通学の電車でも春様と関われるようになった。
私は毎朝学校の最寄り駅から9駅目で乗り、春様は6駅目で乗る。
私が乗る駅ではまだ空席が多く、私はほぼ必ず座れる。端の席に座れることも多い。
しかし、私が乗ってから2つ目の駅が大きく、そこで多くの人が乗り込んで来るため、春様は座れないことが多かった。
そこで、5月末の日直の一件以降、私は電車内で春様に席を譲るようになった。
春様がいつも乗ってくる車両とドアは把握していたので、私は毎朝そのドアから1番近くであいている席に座った。
そして春様が乗車したらすぐに立ち上がり、春様に席を譲る。春様は無言でその席に座ると通学バッグを膝に置く。
春様の膝にご負担をかけないよう、私は片手でそれを持ち上げ、もう片方の手で吊り革を掴む。両手が塞がってしまうため、自分の荷物はリュックに変えた。
30分ほどで到着し、駅から学校までは歩いて5分程度だ。
私はそのまま春様の通学バッグを持って、春様の後方2mほどをついて歩いた。
春様はコンビニに寄ることが多く、その時には私もコンビニへ入り、春様のすぐ後ろでカゴを持った。春様はたいてい飲み物と軽食を1つずつカゴに入れる。
【いいよ】
春様は商品を選び終えると許可をくださる。
私は春様のバッグから財布を取り出して、レジに並ぶ。春様の財布は高級ブランドで、中にはいつも数万円単位の大金が入っており、高校生の物とは思えない。ご実家が相当なお金持ちなのだろうか、と当時は思っていた。
春様は商品を選び終えるとそのまま先に学校へ向かって歩いて行くので、私は会計を済ませたら急いで走って追いかける。
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1月13日 23:00 〜 1月27日 00:00
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