
【妄想小説】秋様は神様 1話
〜2月24日 00:00
1-1. 秋様の日常
心地よい風が吹き、校庭に花が咲き乱れる頃、秋様はいつもと変わらず優雅に登校した。
秋様は高校2年生で、学校で知らぬ者がいない美少女だ。
秋様が存在する空間では、誰もが秋様に視線を向ける。
どこにいても注目の的であり、常に秋様を中心に世界が回っているかのようだ。
秋様は151cmと小柄で華奢な体つきで、深い黒髪はまるで絹のように輝き、彼女の白い肌はまるで陶器のようだ。
その微笑み一つで周囲の人々の心は掴まれ、彼女がどんな要求をしても、それが叶えられるのは当然のように感じられる。
皆が秋様を甘やかし、秋様はそのワガママな性格の通り奔放に振る舞う。
秋様はその美しさを以て、いついかなる要求でも通すことができた。
昼休み、秋様は教室で友人たちと一緒にランチを楽しむ。
秋様の隣は、女子バスケ部のチームメイトである結衣の席だ。
その日直だった結衣が秋様に尋ねる。
「秋様、今日は何をお召し上がりになりますか?」
【うーん。今あんまり何の気分でもないから気にしないで。結衣に任せるよ】
「畏まりました!」
秋様は少し考えた後、無邪気な笑顔で答えた。
結衣は半分困ったような、半分嬉しそうな顔で返事をして購買に向かった。
結衣が昼食を買いに行っている間、秋様は周囲のクラスメイトたちと目を合わせてやる。
彼らは秋様の美しさに見惚れ、彼女の一挙手一投足にドキドキしながらも、何も言えずにただ黙って彼女を見守っている。
秋様はそんな彼らを楽しそうに見渡し、ふわりと微笑んだ。
放課後、秋様は帰ろうと昇降口へ向かう。
秋様が校内を歩くと、すれ違う生徒たちが視線を向けてくる。
秋様にとって見られることは日常の一部であり、そのことに少しも不快感は抱かない。
秋様はそのまま帰ろうとしたが、女バスの顧問である田中先生から声をかけられた。
「秋様、今日は部活に参加されませんか?」
【うーん。今日はちょっと気分が乗らないの】
「そうでしたか。お引き止めしてしまい、申し訳ございませんでした。お気をつけてお帰りくださいませ。」
【うん。でも田中先生がどうしてもって言うなら、考えてあげても良いよ】
「左様でございますか。もしよろしければ、秋様に参加していただけますと部活も盛り上がりますので、是非お願いしたく存じます。」
【ふーん。考えたけどやっぱやーめた笑】
「承知しました!ご検討いただき、誠にありがとうございました!」
秋様はその場で土下座して部活動への参加をお願いしてきた田中先生を軽くあしらい、後頭部をちょこんと踏んでやった。
秋様がこのように教師たちを扱うことも、もはやこの学校では普通である。
周囲の人々から甘やかされ世界の中心に自分がいることを、秋様は当然のことだと考えている。
誰もが自分に心酔し、自分のワガママに応える。そしてそれが皆の義務だと。
その日秋様が無邪気に笑いながら帰っていく姿は、どこまでも美し
1-2. 校則の白ハイソックス〜担任・遠藤先生〜
放課後、秋様は教室の自分の席でスマホを操作しながら友達と談笑していた。
すると教室のドアが開き、担任の遠藤先生が入ってきた。どうやら帰りのホームルームで、デスクに忘れ物をしたようだ。
遠藤先生はとても温厚な中年男性で、説教することはあっても気分任せに怒っている姿は誰も見たことがない。
秋様に関してはそもそも教師から説教されることがないのだが、遠藤先生は何かを軽く注意することすらない。
だからこそ秋様は遠藤先生を担任に指名したのだ。
【あ、遠藤先生。ちょうど良いや、ちょっと来てー】
「はい!秋様!」
【右の上履きが少し汚れてるの、ほら】
「失礼致します!」
秋様に呼ばれ、遠藤先生は秋様の足元に跪く。
秋様は遠藤先生の膝の上に右足を乗せ、遠藤先生はその上履きをよく観察した。
秋様の右足の上履きは、たしかに先端部分に微かな汚れが付着していた。
遠藤先生はスーツの内ポケットに常備しているウェットティッシュを取り出して、入念に上履きを磨き、汚れを落とした。
「秋様!上履きを磨かせていただき、ありがとうございました!」
ここまでは、この学校においてよく見られる光景だった。
しかしここで異変が起きた。
本来秋様に何か指示された者は、それを行った後に秋様へお礼を申し上げつつ、土下座する。その頭を秋様が踏んでやることでやりとりが終了する。
それなのに今回遠藤先生はお礼を申し上げた後、跪いたままで土下座をしないのだ。
【なに?】
秋様が不機嫌そうに遠藤先生に質問した。
当然だ。
秋様は自分のルールに従わない勝手な人間をとても嫌う。
遠藤先生は慌てて話し始める。
「あの、その...。秋様、大変申し訳ございませんが、靴下に関しまして...。」
【ああ、これ?可愛いでしょ】
足元でおどおどと話す遠藤先生の言葉を、秋様は制す。
「はい!秋様!大変可愛らしい靴下でございます!秋様にとてもお似合いなのですが、その...。」
【先生。靴下の決まりなんて、ちょっと時代遅れじゃない?】
秋様にきちんと注意できない遠藤先生を見て、秋様は嘲笑して言い返す。
秋様の言葉に、遠藤先生は思わず言葉を失ってしまう。
そもそも遠藤先生が土下座せずに数秒行動を止めてしまったのは、秋様が黒いショートソックスを履いていたからだ。
この学校は校則が厳しく、遠藤先生ですら白いハイソックス以外を履いている女子生徒を見かけたら反射的に注意してしまうのだ。
ただし、勿論秋様は例外だ。
秋様に対して、そのような些末な校則違反を咎める教師はいないし、そもそも秋様が絶対的ルールであるこの学校において、秋様に守るべき校則など存在しない。
ただしこの学校での勤務歴が長い遠藤先生は、反射的に注意することが頭をよぎってしまい、土下座までに一瞬の間が生まれてしまった。
その結果、このような一大事になってしまったのだ。
ここから先は
2月14日 02:00 〜 2月24日 00:00
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?