【妄想小説】春様の召使い 5話
〜1月27日 00:00
5-1. ゲーセンデート(8号)
私は平凡な40代後半のおっさんだ。ゲームセンターで雇われ店長をしている。一応市内では1番大きいゲームセンターだ。
地元の大学を卒業した後、妻と結婚して2人の子を授かった。
何か秀でた才能があるわけでもなく、ただただ家族を養うために勤めている。とはいえ自分の給料だけでは十分でなく、妻にもパートで働いてもらっているのが現実だ。
向上心は特になく、惰性で毎日を過ごしていた。
そんな中、7月のある日に私は人生において特別な出会いをした。
その子、いやそのお方は明らかに異質な輝きを放っており、一瞬にして私は目も心も奪われた。
小さなお顔に大きくぱっちり二重の目、綺麗に切り揃えられたショートカットが美しく揺れていた。
女優かアイドルか、とにかく芸能人が撮影をしているのかと思った。
女子高生と思われるそのお方は、イケメンな彼氏様と来店し、手を繋いで楽しそうに店内を歩いた。
そして豪快に、次々と色んなゲームで遊んだ。ゲームの途中でも飽きたら終了して次のゲームに向かい、とても贅沢な遊び方をしていた。
少し奇妙だったのはゲーム機にお金を入れるのが、そのお方でも彼氏様でもなく、お二人の後ろを一定の距離でついて歩くおじさんだった。
しばらく色々なゲームで遊んだ後、お二人は店の隅にあるあまり人が通らないベンチに腰掛けた。私は気になって監視カメラでその映像を確認した。
おじさんが飲み物とアイスを購入してお二人に渡した。
おじさんはなぜか渡す際にそのお方からビンタをくらい、その場ですぐに土下座した。
そして監視カメラの映像では詳細に確認できなかったが、おじさんは土下座してそのお方の靴を舐めているようだった。
そのお方はさも当然の如くおじさんに気もとめず、彼氏様と仲睦まじくアイスを頬張り、時折キスを交わした。
私はどうしてもその3人のことが気になってしまい、直接確認しに行った。
私は3人がいる場所へ向かい、少し離れたところから様子を確認した。やはりおじさんは土下座してそのお方が履くローファーを舐めていた。
そのお方は踵を支点に少しだけ爪先を浮かせており、おじさんはローファーと床との間に舌を伸ばして器用に靴底を舐めていた。
それはあまりに非日常的な光景であり、さらにおじさんの恍惚とした表情がより一層その異質さを際立たせた。
私は勇気を振り絞って3人に話しかけた。
「いらっしゃいませ。お客様いかがいたしましたか?」
【なに?春たち休んでるだけだよ】
私が話しかけるとおじさんはすぐに立ち上がり、何事もなかったようにその場で直立した。
春と名乗ったそのお方は堂々と私の質問に答えた。
「今何かしていたように見えたのですが...。」
【盗み見してたの?】
「あ、いえ。そういうわけでは。」
【で、なに?春たち帰れば良いの?】
「いえ!とんでもございません!その...。」
【あれ、もしかして店員さん。こいつみたいにしたいの笑?】
「あ、いえ...。その...。」
【ん?】
「はい!その通りです!」
【あはは、ウケる笑。2号、続けな】
「はい!田中様!」
そのお方に命じられ、2号と呼ばれたおじさんは再び土下座してローファーの裏を嬉々として舐め始めた。
【ん】
そのお方は私の方を見遣り、たった一言そう言うと視線で私を左足の足元へ誘導した。
私は2号と呼ばれたおじさんに倣い、土下座してローファーの裏へ舌を伸ばそうとした。その瞬間にローファーの先端でおでこを小突かれてしまった。
私は驚いてそのお方を見上げると、そのお方は呆れた顔で私を見下した。
【はあ。大人なのにマナーも知らないの?2号お手本】
「はい!田中様!」
2号は舐めるのを中断して、そのお方が座るベンチの前で跪いた。
「田中様!神聖なお靴様を、どうか舐めさせていただけませんでしょうか!?」
【よし】
「はい!田中様!ありがとうございます!」
2号が挨拶すると頬をビンタされ、2号は感謝を述べて再び靴底を舐め始めた。
私は恐る恐るベンチの前に跪き、見よう見まねで2号の所作を再現した。
「た、田中様!神聖なお靴様を、どうか舐めさせていただけませんしょうか!?」
【おじさんに舐めさせてあげて、春になんか良いことあるの?】
「え、あ、あの...。」
【タダで春の靴舐められるわけないよね?】
「あ、はい。すみません。」
【どうするの?】
「あ、あの。お、お金を。お金を支払わせてください!」
【いらない。ATMはもういるし。ね?】
田中様は少しだけ浮かせていた右足の足先を勢いよく踏み込み、2号のベロを強く踏み込んだ。
「ふぁい!たにゃかしゃま!いつも誠にありがとうございます!!」
2号がその場で土下座してお礼を述べた。
田中様は土下座する2号の頭を踏み、2号の頭で靴底に付着した汚い唾を落とした。
【おじさんは何が出来るの?】
「あの、えーと、その...。」
【おじさんて店長?】
「あ、はい!そうです!」
【ふーん。じゃあさ、この店に春の部屋作ってよ】
「はい!作ります!そ、そしたら、靴を舐めてもよろしいですか?」
【そんな舐めたいんだ笑】
「はい!舐めたいです!」
【ん】
「田中様!ありがとうございます!」
田中様は右足と同様、踵を支点に左足の足先を少しだけ浮かせてくれた。
私は土下座して、ついにその靴底に向けて舌を伸ばす。
その瞬間再び田中様におでこを小突かれ、舐めることが出来なかった。
【あはは。おじさん残念。春、召使いにしか舐めさせてあげないんだ笑】
「ああ...。」
【あはは。でも春の部屋は作っといてね。春に構ってもらえただけで十分でしょ?】
「ああ、はい。」
【ん。じゃあ邪魔だからばいばい】
「申し訳ございませんでした。ありがとうございました。」
私は土下座して謝罪とお礼を述べ、スタッフルームに戻った。
悶々とした気持ちのまま、私は再び監視カメラの映像に見入った。
その後は左のローファーも2号が舐めた後、封筒を2号が田中様に渡した。
田中様はそこからお札を取り出して数え、おそらく20枚ほど入っていた。お金は不要だと田中様が言った理由がよく分かった。
その後再び田中様は2号をビンタして、彼氏様と歩き出し、今度はプリクラコーナーに向かった。2号は土下座した後またお二人の後ろをついて歩いた。
私は店内を見回る風を装い、3人の近くに行って様子を伺った。
田中様と彼氏様は2回プリクラを撮った。
あれだけの高額を献上した後でもやはりお金は2号が支払っていた。
お二人がプリクラを楽しんでいる間、2号は少し離れた位置で立って待機し、田中様のバッグとお二人の飲み物を持っていた。さらに撮影後のラクガキの間には、何度かお二人に飲み物を渡していた。どうやら足を2回踏み鳴らすのが2号を呼ぶ合図となっているようだった。
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1月18日 23:00 〜 1月27日 00:00
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