「本当に頭がいい人は、難しいことを分かり易く説明できる人」っていうのは正しいのか?
気になったことを書いていくスタイル!
よく見かける「難しいカタカナ用語を使用して会話する頭の良さそうな人」に対するカウンターとして「本当に頭の良い人は、難しい言葉を使わずに説明できる人だ!」と声を上げる人を見かけます。
早速自分もカタカナを使用して煽ってるかのような文章ですが、これが本当に正しいのかどうか、自分なりの結論を書いてみようと思います。
- 言葉には解像度がある -
まず知っておいて欲しいのは、言語には解像度があるという事です。解像度ってなんじゃい!って言うと、つまり一見同じような言葉でも、持つ意味がピンポイントなモノと広く浅いようなモノが存在するという事です。
ひとつ例えるならばスイングとかどうでしょうか?
スイングって聞くと、みなさんは野球やゴルフでの振りかぶるモーションを想像するでしょう。実際スイングっていう意味はこの通りで、英語でのswingは色々な意味を持っていますが、このカタカナにおける「スイング」とはバットやクラブなどを回転するように振り回すモーションを指してるように思います。
ところがスイングを完全な日本語に変換すると「振る」になります。
「振る」には縦に何か往復させたり横に往復させたりと、意味や状況が多岐に渡るわけです。そしてこのスイング…つまりバットやクラブなんかも振るという意味を持っているんです。まあ知ってると思いますが…
「振る」という日本語に置き換えた場合、その使用感や表現があまりにも
おおざっぱすぎて、文章の流れや構成次第では意味を捉えにくい場合があるという事です。
我々が何気なく使っている「スイング」と「振る」には、意味的には同じでありながらもかなり解像度が違っていて、カタカナにおけるスイングというのは、モーションや振りの回転の仕方など、単純に「振る」という言葉以上に情報が入ってると言えます。
「野球でスイングだ!」といえば、バッターの人がバットを弧を描くようなモーションがパッと脳内で想像可能ですが「野球で振るんだ!」と表現すると「…何を?」という答えが返ってきそうなものです。
- 頭がいい人?が専門用語を使う理由 -
ここまでくるとお分かりかもしれませんが、専門用語を使う理由はこういう事で、物事を完璧に伝えようとしているとも言い換えれます。
専門用語には説明が難しいものが多く、例え分かり易く説明したとしても上記での「振る」のように、その理解レベルでは間違ったイメージが出てしまうものがたくさんあります。
さらにこの専門用語を逐一説明していると、その説明や例え話だけで長くなってしまい、話の本筋から脱線してしまいがちです。それくらい専門用語の持つ意味というのは複雑かつ情報が多いものがあります。
サッカーという言葉には、そのルールや人数や使用する球などの情報が詰め込まれたモノです。「サッカーってなに?」って聞かれた場合「サッカーってのは有名な球技で、脚だけをつかって1つのボールを相手ゴールに入れて競うスポーツで、片方のチームが11人で…」っていう感じで、ひたすらに説明が長くなってしまいますね。
しかしサッカーっていうものを知っている人々ではサッカーっていう4文字だけで、無意識に上記の長ったらしい説明を省いて共通認識だけで会話が成立してしまうんですよね。
効率的かつ意味の損失が無い説明をしようとすると、専門用語を使わざるを得なくなり、専門用語を使わないんであれば、長ったらしく本質からどんどんズレていってしまうという事です。
そしてこの共通認識で説明や意思疎通してる…と思われる瞬間は、発信者側としては最も負担が少なく心地が良いものだと思います。
- 文章や説明をデザインしよう -
じゃあ、専門用語を使いまくりの文章こそが正義かと言うとそうではありません。
例えば上記の役所関連の説明は、どうしようもないのですが誰もが思ってる事として、ひたすらに読みにくいですよね?
もちろん必要な説明を簡潔かつ正しい言葉で抜けなく説明をする必要があるので仕方ないんですが、とはいえ公的な文章というのはとにかく読む気が失せる…読ませる気がないとも言えます。
要はこれに近いのが専門用語だらけのカタカナ語連発の説明です。ただひたすらに意味の正確性を追求すると、それで伝わる相手には良いんですが、そうでない場合は物事を伝える意思がないとも捉えられて当然です。
じゃあどうすればいいのか?というと、文章や説明はデザインするべきである…と感じた次第でございます。
デザイナーとは...伝わりにくい文章だったり、伝えたい事というのをより伝わりやすくする職業です。販促用のポスターなども、よくよく見ると相手に「何をどのように伝えたいのか?」という事で完結かつ綺麗にデザインされています。
これを文章や説明に落とし込むのであれば、問われるべきは「頭の良さ」というベクトルなどではなく「デザインセンス」だと思うのです。
つまり顧客やニーズをしっかりと把握した上で文章をデザインしなおせば、おのずとこの問題に決着がつくと思います。
難しい事を難しいままに専門用語だのなんだの並べて、顧客やニーズをガン無視した説明や文章などは、決して頭の良し悪しなのではなくデザインセンスが欠如してると思っています。
そして、そのデザインの無さに対して「本当に頭がいい人は、難しいことを分かり易く説明できる人なんだよ!」と表現することもまたデザインセンスが問題なのかな…と。
自分もまだまだ文章・デザイン共に未熟なのですが、この文章や説明におけるデザインという考え方はめちゃくちゃ重要だなと感じています。
だからこそ、様々な事を深く理解してる頭の良い人と、それらを説明できるデザインセンスが優れている人は、ごっちゃにしてはいけない要素であると気付かされた次第です。
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