「かきつばた」
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アート勉強中🎨
感じたことや調べたことを書き綴ってます。
時代背景や知識が誤ってたら見逃してください。
▪️作者
この作品の作者は*小原古邨(おはら こうそん)*です。彼は20世紀初頭の日本美術における「新版画」の代表的な画家で、特に花鳥画で知られています。彼の作品は、伝統的な浮世絵の技法を復興させつつ、繊細で自然の美しさを巧みに表現しています。
▪️感じたことや学んだこと
梅雨明けを待つ早朝の庭。空気はひんやりと澄み、静けさの中で朝露が光る。かきつばたの凛とした花姿は、一本一本が風に揺れるたびにまるで小さな命を宿しているように見える。その深い紫色は、夜明けの空が残した名残のようであり、同時に新しい日を迎える希望の色でもある。
背景には余計な装飾はなく、ただ花だけが際立つ。その空間の静謐さは、見る者に自然への畏敬と静かな感動を呼び起こす。葉の先に光る雫が、まるで過ぎ去った時間の記憶を留めているようで、眺めるたびに胸が締め付けられるような切なさが漂う。
古邨の描くかきつばたは、ただの植物ではない。そこには自然が語りかける無言の物語が宿り、見る者の心を深く揺さぶる。静けさの中に、無限の広がりを感じさせる作品だ。