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読了『はかどる技術』 ISTPにおすすめのビジネス本
『はかどる技術』読了。これはじつにISTP向きな本だな、という印象でした。
作品情報
【タイトル】
はかどる技術
【著者】
鈴木邦成
【出版社】
フォレスト出版
あらすじ
物流と同じように、仕事や人生設計の「滞り」を解消する
「人並みに努力はしているつもりだけど、結果が出ない」
「スケジュール管理に苦労している」
「仕事にも人づきあいにも疲れてしまった」
「会社の人間関係がストレスになっている」
「忙しすぎて自分の時間が持てない」
向上心のある人ほど、こんな悩みを抱えているはず。
物流・ロジスティクスの専門家である著者は、その原因を「滞り」にあると語る。
物流にピークやオフピークがあるように、仕事や人生設計も、わざわざピーク状態をつくり出すようなスタイルで行動すれば、大きな滞りが発生して非効率になるというわけだ。 つまり、いかにピークを避けて滞りを解消していくかが、頭のいい人の時間管理や仕事術につながっていくということ。
実際、学生・社会人を問わず、悩みのほとんどは「滞りをなくす」という視点から物流のセオリーを当てはめていくと解決できる。
そこで本書では、専門のロジスティクス工学に加え、最新の行動経済学なども取り入れて、時間・仕事・勉強・人づきあい・人生設計・お金……などのさまざまなシーンやテーマにおいて、最小限の努力で最大限の成果を引き出せる考え方を伝える。
圧倒的逆張り、非常意識なアドバイスこそ、ブレイクスルーを生む。
本書ではロジスティクス工学と行動経済学をベースにした滞り解消法を伝えるが、それらはことごとく、これまで語られてきた「いいこと」とは真逆の主張になっている。 たとえば、「朝は仕事の効率が上がる」と書いてある本はごまんとあるが、早朝は1日の中で何をするにもピークが集中する時間帯。
滞りがある限り、ある時間帯に仕事や勉強を詰め込んでも、別の時間帯にしわ寄せが発生。
「結局、疲れてしまい、仕事は中途半端に終わった」とか「朝早く起きられずに計画を見直すことになった」ということになるのだ。
そこで本書では「一般的にいいこと・世の中の常識=古臭いバイアスの塊」と解釈し、真に効率化する次のような逆説的かつ具体的な方法を伝えていく。
◎納期・締切は月金以外の平日に
◎お酒を飲むなら火曜がベスト
◎挨拶・アイスブレイクは邪魔
◎朝活や朝カフェ勉強はするな
◎人生設計は遅いほどよい
◎メモは取るだけムダ
ISTP(巨匠)について
ISTPって何?という話から始めると、性格診断法の1つであるMBTIにおける16種類の性格タイプの1つです。16Personalitiesでは巨匠と呼ばれていて、私もこのISTPです。
ISTPの特徴は、
1. I(Introversion:内向的)
• 内向的で、一人で考えたり行動したりすることを好む。
• エネルギーを自分の内側から得る。
2. S(Sensing:感覚型)
• 五感を重視し、現実的で具体的な情報を重んじる。
• 目に見える事実やデータに基づいて判断する。
3. T(Thinking:思考型)
• 論理や分析を重視し、客観的な基準で判断する。
• 感情よりも効率や合理性を優先する。
4. P(Perceiving:柔軟性型)
• 柔軟で状況に応じた対応を好む。
• 締め切りやルールよりも、その場の流れに従う傾向がある。
というのがメインの要素です。
自立心が高く、合理主義的かつ現実的、そして好奇心旺盛な性格と言われています。
『はかどる技術』が ISTPにおすすめな理由
常識を覆す考え方
ISTPは規則に従わないと言われています。実際は、意味ない(と自分が感じる)規則に従うのは無駄と思っているだけで、従った方が物事がスムーズに進む規則なら従ってるんですけどね。なんでもかんでもルールを守らないわけじゃないんですよ!
そんなISTPと『はかどる技術』の相性がいい点は、一般的に世間では良いと思われていることを疑う姿勢です。「これっていいって言われているけどじつはこうなんだよ」だけでなく、その先の「だからこうすればいいじゃん」までをロジカルに展開しているので、ISTPが大喜びの内容です!
柔軟的
読んでて思ったのは、著者は絶対P型(柔軟的なタイプ)ってこと。
J型(計画的なタイプ)が読んだら想像しただけで不安で狂ってしまいそうなことを提唱しています。
ISTPは長期的な計画を立てるのは苦手で、その場の状況に応じて即興で行動することを好みます。どうせ計画を立ててもその通りになるとは限らない、計画通りに進めることが結果的に一番ベストなやり方だとは限らない、だからそのときその瞬間の条件で一番いい方法を取るのが一番効率的、という考え方なんです。『はかどる技術』も同様の考え方をベースにしているので読んでいて共感しかありません。ISTPにとって長期的な計画なんて足枷でしかないですからね。
また、ISTPがやりがちな思いつきの行動を、思いつきで終わらせずその後に繋げていくような方法も紹介されているのでISTPが活用しやすい実践的な内容になっています。
具体的
ビジネス書を読んでいるとたまに「この本の著者ってN型(抽象的なアイデアや可能性を重視するタイプ)かも」って思う本があります。そういう本を読んでいるときは、言っていることはわかるけど読み終わった後結局どんな話だっけ?となることがあります。同じN型の人が読んだらきっと響く内容なのだと思いますが、なんせ私はS型(具体的な事実や現実を重視するタイプ)なのでピンとこないのですよね。著者が悪いわけではなく、タイプの違いで解釈のしやすさが違うわけです。
『はかどる技術』はS型が大好きな具体的な話がたくさん出てくるので、しっかり自分の中に残る感覚があります。
逆にN型の人が読んだらどういう感想になるんだろう?とちょっと気になる…
超効率的
著者が物流・ロジスティクスの専門家であることから、考え方が良くも悪くも効率重視なので、合理的なISTPにとってはすんなり受け入れられるような提案が多くあります。
ただ、ISTPでも意見が分かれそうなのは人付き合いに関する部分でしょう。この本では人付き合いも合理的に捉えて、結構ばっさりとした人間関係を提唱しています。ISTPはマイペースだし人の感情にも疎いので、この本の提唱する人付き合いを難なく受け入れられる人もいるでしょうが、私はそうは思えませんでした。
私はISTP女なのですが、女子同士は協調性がないと逆に不都合なことが多いのである程度の協調性と処世術を身につけています。周りと合わせる方がかえって効率的だということを子どものころから実体験として痛いほど学んできたので…私と同じISTPの女性(あるいは男性でも同じ感覚の人もいるかも)はきっと同じ苦労をしたであろうから共感してくれるはず。
筆者も人付き合いに関しては、自己責任でとか、こういう場合はやらなくていいだとかの枕詞を付けているので、この辺は自分の置かれている環境に合わせた判断でよさそうですが、とにかくなんでもロジカルな切り口で語られる内容は読んでいて参考になることばかりの本でした。
公平
「著者はもしかしてISTPなのか?」と思った例があり、ちょっと面白かったのでここに書き留めます。
ISTPは公正さを非常に大事にするタイプだと言われています。恩があれば恩返しするし、軽く扱われればこっちも軽く扱います。あげっぱなし、もらいっぱなしの関係性は好きではありません。
本書の「#10 お土産ごときで煩わしさが生じるなら、あげるのも受け取るのもやめろ」では、タイトルの通りお土産をもらわないことを勧めています。しかも受け取るのをやめるだけではなく、机に配られてしまった小分けのお菓子は食べるなと言っています。ここがいかにもISTPっぽい!意図せずもらってしまったものに対して、お返しして公平を保つのではなく、食べないことで公平を保っているのです。
だってお土産を渡した側からしたらそれを食べたか食べてないかなんて知り得ないじゃないですか。渡した時点で1giveしたつもりですよ。でも事実として食べてないのだから公平でしょってジャッジでかまわないんですよ、ISTPは。この気持ち、ISTPの私はめっちゃわかるけどきっと他の人にはわからないニッチなものだと思ったので思わず笑ってしまった箇所でした。
さいごに
こんなに共感できて、実践できそうな読み応えのあるビジネス書はなかなか出会ったことがないので、著者は多分ISTPなのでしょう。知らんけど。
はかどる技術を得ることができたと同時に、ISTPがビジネス書を書くとこんな感じになるんだという客観的な視点も得ることができ、不思議な気持ちになった本でした。
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