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無職女60歳の就活記③シニアの心得「明るく謙虚に健康であれ」
スマホでZOOM研修
仕事を辞めてから、新聞の折り込み求人広告を見るのが習慣になっていまして「未経験でも安心シニア世代も活躍」とか「明るく元気な60代70代募集」というキャッチコピーがたくさん目に付きます。しかし職種のほとんどがマンションの管理人、清掃、交通誘導員、介護など体力が必要な職種ばかりです。私は子宮体がんの手術と抗がん剤治療を受けたあと転移はしていないものの体力が落ちているので、とても元気な60歳ですなどと胸を張る自信は無いのです。30年前のディレクター時代は台風の中でもカッパを着て取材していましたが、今では小雨でも交通誘導などの肉体労働をやれる気はしないのです。冷暖房完備のオフィスで出来るデスクワークを…と希望していますが、大病を患ったシニアを雇ってくれる会社は少ないでしょう。楽してお金を稼げる仕事などありません。こんな私でも就職できる職種はあるのか。どこに狙いを定めればよいのか、攻略法はあるのでしょうか。
お友達登録をしているハローワークのLINEにはZOOMで参加できるオンラインセミナーがいくつもあります。申し込みから講習まで、スマートフォンでほとんど何でも出来るのです。私は試しに60歳以上の“シニア向けセミナー”を受けることにしました。
定員数は決まっていてすぐに埋まってしまうため二回目の申し込みで無事登録完了。
5分前からZOOMを立ち上げると定刻に始まりました。セミナーはLIVE形式で講師が話すものかと思っていたら、完全パッケージで制作されたビデオを視聴する形式でした。まあビデオ視聴なら時間も人件費など…つまりタイパ、コスパが良いってことですね。ではセミナー受講開始です。
シニアの就職実績
冒頭は業種別にみる就職率の説明。やはり就職率が高いのは介護、清掃、ビルメンテナンス管理、保育補助、調理、警備員、接客、送迎ドライバー。 未経験でも出来る清掃、警備、施設管理は立ち仕事が多いので“体力に自信がある人”という条件は大前提です。
>ああ、やはり折り込み広告と同じだ。どれも肉体的に厳しい職種ばかり。
専門資格を持っている看護師、薬剤師、ケアマネージャー、保育士などの職種はつねに人材不足ですぐに就職が決まります。資格を持っている人は就職に強い反面、離職率も高いのが現状で、資格とはまったく違う仕事に就く人も少なくない…
>職業に誇りをもっていても労働環境が厳しかったり、あまり責任の重い仕事は嫌だと単純作業を選べば経済的に満たされない。
時間と賃金、心の充足、私は何を優先すれば豊かな生活をおくることができるのか。私を雇ってくれる仕事なんて見つからないんじゃないか、苦しいだけの老後なんて嫌だとセミナーが進むにつれ暗澹たる気持ちになります。
シニアの心得 三か条
私の希望する事務職の現状はどうでしょうか。
シニアでもきちんと職業訓練コースなどでパソコン事務講習を受け、しっかり準備をすれば仕事はある。つまりハードルは高く、努力なしに事務職での就職は実現しないということです。
事務職は現場で一から学びなおす覚悟があるかを問われるそうです。自分よりも年齢が下の人に教わって時には叱られて覚える覚悟が必要。これまでの職場である程度の地位にいたとしても再就職では関係がありません。60歳であろうとも新人の心をもって若い人と向き合わなければ仕事はないのです。
就職に必要な三か条
1体力 2技術 3知識 そして人と関わることに前向きであれ。
人事部が求める人材は、素直で柔軟な考え方。 謙虚で勤勉、熱意、協調性、フットワークがよい。そして健康であること。
いくつか就職できた実例を挙げていましたが“人柄がマッチした”というポイントはとても重要です。
しかし、「明るく元気で物腰柔らかな人柄」をアピールし過ぎると 「当社にはもったいない人材」という不採用理由を頂戴することになるのだそうです。
ココマデ聞いて「あー私には社会復帰なんて無理かもな!」と投げ出したい気分です。
私は柔軟な考え方というよりも型破り。謙虚さはない。不愛想。協調性はなく自分の信じた道を進む。しかもスロースターター。健康も体力も自信がない。再就職できる気なんかこれっぽっちもしないよ、もう。
最後に元テレビ屋としてシニアセミナーを受講した感想を書きます。
全体に単調でつまらない。文字ばかりですぐに画面が変わるのですが録画禁止です。老眼の無職女60歳は久しぶりに必死でノートをとりました。
LIVEではなくビデオ視聴なので自分の姿は相手に見えませんし何をしていようとも叱られることもないので、途中で眠くなってしまう人がいるかもしれません。
そしてナレーションの男性の声が暗い。声優さんとても優秀な人ですが、アニメの“心に傷を負った少年”のように暗くて、聞いているこちらの心もじわじわ寒くなる。「面接受けるの怖い怖いよ、どうせ私なんか社会のはみ出し者なんだ!」なんて場面を妄想をしたくなるほどナレーターさんはいい声なのです。でも就活中のシニアが希望を失うようでは困るから、就活三か条のように、もっと明るく元気に前向きになれるコンテンツを作って欲しいな。この完パケ制作費いくらで請け負ったんだろ…
次は可能であれば職業訓練コースの受講を目指します。