幼女さんギアを導入した日
ロードバイクには他の自転車同様、リヤホイールにスプロケットという歯車がついています。
私の乗るCANNONDALE CAAD8には、元々12-28tという規格のものがついていました。
これは、比較的スタンダードな構成であって、街乗りにも、ちょっとしたトレーニングにも、果てはロングライドにも使えるスプロケットだったりします。
ただそれは、通常の体力のある人に対してですね。
私のような、スポーツが日常になかった者にとって、案外持て余す構成だったりします。
ことの始まりは、古島から首里に延びる、モノレールの下を走る県道82号線でした。
これは、古島→首里→一日橋交差点→南風原への近道であって、三段構成になっている有名な激坂でもありました。
はい、心折れました。
1段目を登り切ったところで、倒れましたね。
恥も外聞もなく、歩道の上に大の字になって寝転んだんです。
近所の方にはご心配をおかけしました。
若干の負けず嫌いな性格が祟ったのか、2段目でもまた力尽き、寝転びました。
私は自転車を運動の手段に決めたあの日から、事ある毎に体力の限界時には、大の字になって寝転ぶことがあります。
そうすることで、体力の回復を少しでも早めようという気持ちもあったのですが、何より楽なんです。
端から見たら、事故ですよね……。
なので、最近は、なるべく座るだけにしています。
目立たない場所では寝転ぶことにしてますけどね。
さて、登り切って、南風原にある自転車屋さんについて、坂のことを話したときに、こう返ってきたんです。
「あの坂は、好んで登る人はいませんよ」
そりゃそうだ。
58号線を南下して、モノレールの旭橋駅を左折し、国場を経由して一日橋へ抜けるルートならば、遠回りですが体力の消耗もなく、到着することができます。
ただ、本当に遠回りなんですよね。
二キロは遠回りということになってしまいます。
ただ、古島~首里~一日橋のルートだと、首里まで登るのに、平均速度は10キロ以下になり、首里から一日橋は急勾配の坂を下りていくことになります。
自動車では5.5キロの14分となっていますが、自転車ではそうはいきません。
ちなみに、古波蔵の信号を左折するルートの場合、平均速度は20キロくらいになるんですね。
体力もそこまで使う事なく、はっきりいえば、疲れないで到着することができるという。
自動車で移動していた頃は、当たり前のように通っていたこの坂も、自転車になった途端、心をぽっきりと折る、激坂認定されたということになります。
沖縄では、西海岸から東海岸へ抜ける際、必ずそこには急な坂が待っています。
次に私の心を折ってくれた坂は、有名な首里城へ繋がる坂でした。
1回目は、首里山川町の信号で左折して、逃げましたw
2回目にやっと登ることができたわけです。
あとは58号線、浦添市城間信号からサンパーク通りを経由して、市役所前を通り過ぎる激坂。
ここでも心折れました。
あとは、南部の糸満から与那原へ抜ける、有名な海岸線の道路。
ここにも途中、連続した登り坂があるんですね。
そして何より、最大の難所として立ちはだかった坂。
西海岸を北上して、名護へと抜ける国道329号線の辺野古岳と書いてあるこの坂、名護へ抜ける最後の5キロまでがひたすら登り坂でした。
最後のコンビニで補給を忘れ(あと10キロくらいだから、だいじょうぶっしょ!)、酷い目に遭いました。
この時は真夏で、水も切れ、脚も使い切って、ほんの少しあった路肩の木陰でダウンでした。
スマホを使って調べたところ、名護まで5キロと出ていたんですね。
周りを見回しても、自動販売機どころか、木陰がほとんどありません。
終わった、私はそう思いました。
ここにつくまで、おおよそ60キロ以上走ってきていたんです。
行くも、戻るもできない場所まで来ていたんですね。
ただ、この日、私は1日に走れる最長距離を更新して160キロ走ったことになったんです。
ただね、心が折れそうになりました。
帰りの58号線でも、恩納村のバイパスを通らないで、なるべく起伏の激しくないビーチ側を通ったくらいに疲れ切っていました。
長く続けるためには、モチベーションを保つ必要があります。
少ない投資(機材など)でそれを保つ方法を模索しました。
そこでたどり着いたのが〝乙女ギア〟と呼ばれる11-32tのスプロケットだったんです。
ただ、それを入れるためにはGSという規格の、ロングゲージリアディレイラーと交換が必要なんですね。
それで色々調べて、相談に行ったりした結果、〝乙女ギア〟のひとつ超越したスプロケット。
〝幼女ギア〟(これが性格かはわかりませんが)という11-34tが使えるということがわかったんです。
フロントのインナーが50-34tなので、最大1:1になるんです。
もはや、クロスバイク並の軽さになるんです。
実装が終わって試走したとき(場所はもちろん、首里の坂です)、あまりの軽さに驚きました。
これで半月程前、名護→本部半島→帰路の合計160キロのうち、最初の那覇から名護まで、信号待ちとコンビニ補給以外、ほぼ休みなし3時間漕ぎっぱなしで着いてしまいました。
それくらい『がんばらない』ように走れたということなんです。
先日、沖縄市の有名な激坂、通称ホテル街を登り切ることができたので、近いうちに再度、329号線辺野古岳に挑戦しようと思っています。
何年後かの、ツール・ド・おきなわ参加を夢見て、モチベーションを保ちながら頑張ろうと思っています。
今の最大の目標は、辺戸岬への往復、合計200キロですね。
おしまい。