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JAが集めたお米と農家から買うお米

お客さんから時々このようなことを言われます。
「農家がJAに出荷すると色々な人のお米がブレンドされてしまうから良くないんだよね」。

これにはいろいろな誤解があるようです。

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まず「ブレンド」という言葉です。

以前も触れましたが「ブレンド」はけして悪い事ではありません。米屋が行うブレンドは新しい味を生みます。
しかしここで言うブレンドとは例えば「同じ産地のコシヒカリでAさんが栽培したものと、Bさんが栽培したものを混ぜること」を指します。違う品種を混ぜることではありません。

しかしそもそもなぜ同じ品種を混ぜるのか?

これを理解するには生産者がお米を収穫した後にどのような動きをするのか?を知らないといけません。

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まず大規模農家さん。

稲作を大規模にやっているところはお米を収穫したあとは自前の設備で、乾燥、調整、籾摺り(玄米にすること)、色彩選別等々、必要な作業は内製化しています。

この場合は、Aさんのお米が他人のお米に混ざることはありません。但しAさんが気を付けていないと、Aさんがあちこちに持っている田んぼのお米が混ざることはあります。
(ちなみに…お米は田んぼによって味が違います。つまり「Aさん」という括りではありますが、この段階でブレンドになるわけです)。

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集団でこういった設備を持っている人たちもいます。ただこれは設備を集団で共有して使うというだけで、基本的には「Aさんのお米はAさんのお米だけ」、「Bさんのお米はBさんのお米だけ」で、それぞれ籾摺りや乾燥調製を行います。ここでもAさんやBさんのお米は混ざりませんが、Aさん自身の異なる田んぼ、Bさん自身の異なる田んぼのお米は混ざります。

いっぽうで例えば兼業農家で特に設備を持っていないところは、自分で収穫した籾をトラックに載せそのままJAの設備…カントリーエレベーターに持っていきます。
皆さん、地方を旅行すると田んぼの中に「ぽつねん」と立っているサイロのような建物があると思います。まさしくあれです。そのサイロに各生産者が籾を投入するのです。

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JAではある程度の区分はしていますが(「こちらのサイロは○○地区、あちらのサイロは××地区」や「こちらは減農薬栽培のお米で、こちらは普通に栽培されたお米」)、基本はここでブレンドされるわけです。

さてこうなると、
「これでは自分のお米が他人のお米と混ざってしまっては、もはや自分のお米ではない…」
と生産者さんは嘆きます。
それを聞いた一般消費者の人が冒頭のような話を展開すると思われます。

ここまでご説明すればお分かりのように、生産者さんは自分で施設を整え、乾燥調製を行い、更に自ら販売まですれば、そういった心配は無くなるわけです。

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なお、乾燥調製まで自分の施設で行いつつ、米販売は不如意であるためJAに出荷する場合もあります。それもいわゆる「JAのお米」なのですが、今回の論点とはずれますので割愛します。

話を戻します。

ここでAさんやBさんのお米がブレンドされるわけですが…ブレンドは味を平均化します。

よく「魚沼が美味しい」と言いますが、冷静に考えてみたらおかしな話です。一言で「魚沼」と言ってもいろいろな地域があり、色々な生産者がいて、様々な田んぼがあります。

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JAが集めたお米であっても生産者から買うお米であっても「魚沼は美味しい」が通じるのは、無意識に「魚沼は平均して美味しい」と言っているのと同じです。

そう、AさんやBさんのお米をブレンドすることにより「平均したその地域のお米の味」に昇華するのです。

ご存知の通り現状の日本においては、兼業農家がほとんどです。
そのなかでJAは生産者が「片手間」でも美味しいお米を作れるように、色々と指導をします。
またJAのカントリーエレベーターでは乾燥調製を行うプロオペレーターがいます。彼らは腕によりをかけて大きな設備を運転し、玄米が適切な状態になるように仕上げているのです。

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逆にそういった技術が未熟な生産者であれば、JAに出荷しないが故に玄米の仕上がりが悪くなり、そこで品質を落とすこともあるのです。

「美味しい」か「美味しくない」かは、JAであれば「その産地・地域の平均の味はどうなのか」、個人であれば「きちんと腕によりをかけて栽培したかどうか」にかかっているのです。

お米の味は「JA」か「個人」かという単純な切り口で決まることではないことを覚えておいてください。

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「楽しくなければお米ではない!」
有限会社 小池精米店
三代目 小池理雄(ただお)

五ツ星お米マイスター
東京米スター
6次産業化プランナー(中央サポートセンター登録)
社会保険労務士

東京都米穀小売商業組合所属
東京都ごはん区メンバー

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