アーカイブ、データ保持、記憶
書いた文章が消えた。
一度外部に出したやつである。下書きも残していない。掲載されたメディアごとサービスを終えた事案なので、サルベージもできない。
匿名で書いたら掲載され、まあまあウケが良く、色んな人に褒めてもらえたのをニコニコと見ていた。
中身は単なる、寺嶋由芙さんの「君も好きだったんだね、夏」に対する感想文なので、自分が書いた文章の中身がすごく良くて惜しいというわけではない。
ただ、自分が悩んで書いたもの、その時考えていたことの痕跡、が、失われるのが何だか寂しい。
データ化社会である。物理的には半永久的に朽ちなくとも、気が向けば、あるいは状況が許さなくなれば、さらりと消されてしまう。
下書きくらい残しておけばよかったのかもしれないが、応募フォームに直打ちしたような気もする。その場の言葉をそのまま直送するから得られたものもあっただろう。残さなかった自分を責める気にもなれない。
あの時の私、何書いたんだろうね。