フレル朗読劇23’12/3
2023年12月3日
フレル朗読劇の本番がやってきた。
今回は
・テキストをもつことなく、ひとり3分ほどの語りをする時間。
・村上春樹作「踊る小人」
をすることになった。
今回フレルのメンバーが初めて「踊る小人」で1時間を超える長編に挑戦したのだ。
場所は PUTTE FIKA(プッテフィーカ)。
新今宮駅から数分歩いたところにある喫茶店だ。
月に数回、厳選したカカオ豆から作るチョコレートデザートやチョコレートドリンクを提供している。
その場所は昭和の匂いがぷんぷんしている。
この場所で朗読劇をやれるとはうれしいかぎり。
今年8月から朗読劇の稽古がこちらになった。
やっていくうちにこの場所と親和性がある作品にだんだんと絞られていった。
当日はみんなで朝から掃除したり、ディスプレイを考えたりしてみる。
雰囲気のある場所なので、みんなの家からランプや懐中電灯などの灯りを持ってきてもらう。
それらをあちこちに飾って、語る前にスイッチをつけようというちょっとした演出も考えた。
最初のひとり語りの内容は全くのおまかせで、一週間前にしたリハーサルの時とは変更しても構わない、と言っていたので、何を語るのか私自身も知らないまま
朝のリハーサルを行う。
場の雰囲気なのか、皆さんが元々持っている質なのか、ご家族の思い出やちょっと不思議な出来事、日常に感じていた目に見えないつながりのことなど
ひとりひとりがその時に紡ぎ出す話は本当に興味深かった。
わたしも身を乗り出して聞きいってしまった。
8人が3分前後しか語っていないのに、8人分の映画を見たような気がする。
30分足らずだけど一度休憩を入れないと濃厚すぎた。
でもこのテキストを持たない語り。またやろうと思う。
休憩後は「踊る小人」の朗読劇。
「踊る小人」は象を製造している工場で働く「僕」が夢の中で小人と出会う話だ。
昔、小人は飲み屋で踊り始め、それが噂になり、皇帝の前でも踊ることになる。
皇帝も小人の踊りにすっかり魅了される。
しかし、革命が起こって皇帝は殺され、人々を扇情した罪で踊る小人は官憲に追われ、彼の夢の中に逃げ込んで踊っていたのだった。
こんな不思議な話は、フレルの人がするにはぴったりだ。
初見で読んでもらった時、これはいける!と感じた。
小人の役に村上さん、昔の小人の話を酒場でしてくれるおじいさんにけいじろうさん。
主人公「僕」にはちはやさん、相棒にはみさりん、「僕」が夢中になる「彼女」は小手川さんにお願いした。
カエルさんとこまっちゃんは今回ナレーターに徹してもらい、このお話をしっかりと支えてもらった。
長い話なので、実質3回ほどしか通しの稽古はできず。
一応形は作ったものの、それを朗読して自分のものにするのは個人の作業なので、とにかく本番までの間は毎日読んでくださいねとお願いした。
忙しい毎日の中で、読むことを日課にするのは大変なことだったと思うけれど
みんなはやってくれた。
本番では、その毎日の成果がちゃんと読みに出ていた。
打ち上げで、「それを毎日しないと気持ち悪いくらいやった。」と話す人もいた。
そしてもうひとつ。
かずちゃんを特別ゲストに迎えた。
小人の語りとは別に、小人の踊りを即興ダンスでやってもらったのだ。
かずちゃんは、前回の阪急のアイヌの昔話に参加してくれた。
今回はひとり語りもしてもらったが、
踊りで皆を魅了する小人の役がぴったりな即興の踊りを披露してくれた。
今回は曲をたくさんつけた。
本番で曲を入れるタイミングなどリハーサルとは違う感じで即興で入れてみる。
かずちゃんはじめ、みんなはそれを聴き分けてちゃんと対応してくれた。
そして
語り終わったあと。
全員、おもいきり踊ってください
とお願いする。
これまでも朗読の稽古で、動きながら自由に朗読することはやってきたけど
踊る
という言葉ではじめて言ってみた。
これは、かずちゃんの影響。
かずちゃんの自由な踊りがみんなの身体に火をつけたと感じる。
最後にかずちゃんだけ1人残る。
そしてかずちゃんの踊りで終わる。
1時間20分ほどの演目。
最後までやりきってくれました!
みんなは長編のおもしろさに目覚めたらしい。
また来年から少しずつ稽古しようねと話して終わる。
フレルには限界がないなぁ。