『界隈曲』よ、微分音の時代へ突き進め
突然ですが、この記事を読んでいるそこのアナタ!
『界隈曲』
お好きですね?
知らない方はこの記事をどうぞ。
界隈曲の特徴として、動きの多い和声進行を所々に設けるという伝統芸能がありますね。
しかし、数多の界隈曲が出される中で、12音の響きの中でしか和声を組まないのはもったいない!と前々から思っていたので、今年初め辺りからある企みをしていました。
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> 微分音を『界隈曲』で流行らせよう <
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初観測が疑われた曲
全てあなたの所為です - エヌ
という曲で、微分音騒動がありました。
2番歌いだし、「お地蔵様」のゾの発声、G#音が若干高めだと言われたのです。
しかし、これは12平均律の長3度のずれに基づくうなりで、微分音ではないということが分かります。
デフォ子の声で「ぞ」の音をEとG#を発声させ重ねると、同様のうなりが聞こえます。
そう、12平均律の長3度は13.7セントも
純正音程(周波数比によって正確に協和する音程)からずれている!!!
ただし、完全5度はかなり純正に近いです。
ガチ微分音で界隈曲をやってやろうじゃないか
協和によってキモさを感じさせにくい31平均律は、楽典も割と確立されているので、これを使わない訳にはいかない。
長3度も0.8セント差とかなり正確、
完全5度の協和も若干落ちるとはいえせいぜい5.2セント差です。
さらに、音楽的に変態が多い界隈勢なら手を出し始めるかもしれないと思い立った結果、いよいよ2022年1月、曲を作り始めました!!!
①作詞作曲
②多言語対応新UTAU音源作成
③暗号の仕込み
④映像作成
UTAU音源で、1400音超えの録音をしたのでかなり時間を要しましたが、
微 分 音 同 志 ↓
に出会いながら9月下旬に無事完成し、目前にボカコレとかいうイベントがあったのでついでにそのタイミングで投稿しました。
そしてこれを機に、31平均律界隈曲は増殖します。(歓喜)
ただ、いかんせん31平均律作曲は導入障壁があります。そりゃDAWとかは12平均律用につくられているんだもの。
非12平均律界隈曲をリスペクトする
必要なもの
DAW(REAPERが好ましい)
Vital / Serum / Surge / Dexed などの微分音対応VST
微分音対応VSTはこのページに一覧があるから見ておけ!!!
https://en.xen.wiki/w/List_of_microtonal_software_pluginsVocalShifter LE
UTAU, Aviutl, Edgeなどお好みの界隈曲作成ツールたち
REAPERを微分音仕様に使いやすく
まずこれを見て初期設定してください。
そしたらこのaction listから
MIDI Editorのキーボードショートカットを作ります。
そこからMIDIエディター上で、音符やらのMIDIチャンネルの切り替え設定をしておきます。channelとかで項目をフィルタリングして、ショートカットを割り当てましょう。
プラグインを起動
いきなり3トラック用意します。なんもないところをダブルクリックするとトラックが出てくるので、2個のトラックが1個のトラックの子になるようにドラッグ&ドロップで突っ込んでください。
このタイミングでプラグインにチューニングファイルを読み込ませると楽チンですので、やり方を後述。
ここで、ROUTEという機能!
2トラック目に打ち込んだMIDIの1チャンネルの信号が、3トラック目に入るようにします。すると、3トラック目にVSTiがあるので、そこから音が出てバストラックの1に行きます。
31平均律は1音色につき5トラック使う
アホか?いえいえ、正気です。
ご覧のように、31音から12音抜き出したものを、ずらして配置するため、3トラック+MIDIトラック+バストラックが必要です。
31平均律以外では5n+7m (n:黒鍵段数、m:白鍵段数) という式で平均律の数になるように組んで、5度圏を考えて配置をしましょう。ニコニコ大百科の非12平均律にも詳しいこと書いたから、変な平均律やりたい人はそこを読んでね。あるいは素直にXenharmonic Wiki読んだ方が理解が進むぞ!
ここでトラック3を複製し、(右クリック、Duplicate track)各ピッチをオクターブの1/31=38.7097セント上下にずらした同じ音を用意し、ROUTEから送るチャンネルを変えていきます。
後はトラック2で打ち込み、チャンネル変えによって音符を楽々打ち込んでいくことができます。
プラグインのチューニング
VitalやDexedなど、音のチューニングをしなければ31平均律にすることはできません。
VitalやSerumはtun形式、Dexedはscl形式など、VSTによって対応するファイル形式が違うため、先ほどのリストのページで先ず確認しましょう!
※scl形式の時は、調律の基準周波数の情報が失われるので、プラグイン内部でA4=437.5473070Hzに合わせましょう!
Tuningファイルは、このスプシから12音抜き出したものがらくらく出力できますが、慣れないうちはCメジャー用の抜き出し方をお勧めします。
ダウンロードして、ご自身の環境でお使いください。
12音を選び抜く際に、5度圏の連続した一部を抜き出すように設計されています。たとえば、Cメジャー用はEb~G#の12個を抜き出す設計です。
これを3個のプラグインにセットして、微妙に(38.7097セントずつ)ずらすと、ピッチを低い方はさらに#側の音12個、高いほうはさらにb側の12個に対応します。
セットしたらスプシがリンクを吐き出すので、そこに飛びます。
そのScale Workshopという場所ですぐにtunファイルや、sclファイル、Kontaktスクリプトなどがダウンロードできます。
※tunファイルダウンロードはv2で!
2022/11/11 急遽追伸!
「全てあなたの所為です」の新曲「K²」が公開されて、これをリスペクトする方のために、ピアノのチャンネリング方法についての工夫を紹介します。
ピアノ音源を使用して打ち込みを行う場合、サスティンペダルの使用を避けては通れません。サスティンペダルは、MIDIの64番のコントロールチェンジ信号を使用するのですが、この信号にもチャンネルが存在します。ピッチベンドやコントロールホイールにも同様のチャンネルがあります。
そこで、コントロールチェンジの信号を一括で各トラックに流し込む方法をご紹介。
余分にチャンネルを1個使用します。31平均律なら4チャンネル目を使用します。この4チャンネルを3トラックすべてに流し込みます。
続いて打ち込みを普通に1から3チャンネルにて行い、ペダルを4チャンネルで入力すると、ピアノなどのペダルを全てのトラックで実現できます。
UTAUなどのチューニング
まずはメロ部分をREAPERで仮打ちしましょう。
それを見ながら、UTAUなどに近い音高で歌わせます。
ここで、ピッチ補正ソフトを使用して強引に補正していきます。
使うのは、VocalShifter LEというフリーのソフト。
このソフトです。ダウンロードはこちら!!!使い方は適当にググってもらって。
実はこのVocalShifter LE、ちゃっかり微分音に対応してます。
アイテム編集画面で、オプション>設定>ユーザー定義音律を使用する
を選択して、
続いて、アイテム>アイテム設定から、このような設定をします。
基準周波数は
Eb~G#を使う際は、「C4=261.6256」
D#~Gキを使う際は、「C4=258.8406」
Ed~Abを使う際は、「C4=267.5413」
にしましょう。
キーの項目は使用するキーに関係なくCとします。
音律はユーザー定義、
ユーザー定義音律部分にCメジャーの場合は
0,-23,-6,10,-13,3,-19,-3,-26,-10,6,-16
と入れます。Cメジャー以外はスプシで出力できます。
これで、頑張って丁寧にピッチ補正していき、ボーカルを31平均律に仕上げましょう!
これで、あとはDAWでミックスなりマスタリングなりをして、完成!
結局、音律を変えるとどれだけ差が出るの?
これを見たまえ
困ったことがあったら
ワイに直接聞きに来てくれるのは大歓迎ですが、twitterは文字数制限があったり、不特定多数の人が集まるため、議論に不向きな環境。
そこでDTMコミュニティの出番。
Discordサーバー『音楽熱狂軍団』内で、微分音関連のネタは脳が腐るほど教えます。特に、ボイスチャットで実際に見せながらだと非常に理解しやすいので、ぜひ勇気を出してボイスチャットに凸りましょう!声が出せなくてもトークボットがあるので安心して参加できます。
ただし、コミュニティのルールを守ってもらうために、参加時に規約同意が必要なので気を付けてね。
Vital用プリセット
界隈用プリセットだ!!!ドキュメント>Vitalの中にこれを入れると界隈な音がすぐVitalで出せます。
微分音で作曲された界隈曲ピックアップ
31平均律では3曲目になるでしょう。
31平均律界隈曲?4曲目。
5曲目
6曲目
7曲目