『はじめての映画』
『はじめての映画』
叔父に連れられて映画を観たのは、小さき頃のことだった。
いつかははっきり覚えていないが、映画の題名とその迫力だけは覚えている。
「白鯨」
みなさんはご存知だろうか、小説家ハーマン・メルヴィル原作の長編小説の映画化されたものだ。
調べてみると1956年公開とあった。
生まれる前の映画。
おそらく、再上映されたものだと思う。
ほんとうに、白鯨と船長の壮絶なる戦い、しか記憶にない。
この記憶さえ、後から話かもしれないが、もう叔父は他界して聞けない。
英語もわからない、たぶん日本語もよく知らないガキをよく連れて行ってくれたものだ。
この叔父は、ちょっと強面で、両切りの缶ピースをフィルターなしで吹かしていた。
でも、好きだった。
正義感が強く、理不尽なことは大嫌い。
その辺の若造がくだらんことをしていると、怒って注意をしていた。
お酒を飲むと、あの怖い顔から笑みがこぼれるのがまた素敵だった。
叔父に連れられて行った映画館。
その後も、映画館で観ることが当たり前だった青春時代。
観てきた映画が、自分の心・気・血を作ってくれたんだなと、心底思っている。
この日は、marvel studios のブラックウィドウという映画を観に行っていた。
アベンジャーズシリーズのスピンオフ。
END WAR を観た人は、エンドロールの最後が面白いと感じるはずだ。
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初出 2021年8月11日 Instagramエッセイ
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