書道作品に学ぶ、作り込み作品の手引き~ポートレートにおける視線誘導術完全網羅!!~
DopeZine運営部原田将典です。
僕は写真を始める以前は7年ほど書道を勉強していまして、高校では全国7位のレベルでした。
社会人の部でも当時最年少で賞を頂いておりました。
写真を初めてからもこの経験は活きていて、
特に情報量の多い作り込みの際の配置や視線誘導に関しては、ほぼ書道作品の配置を取り入れています。
今まで何気なしにやっていましたが、言語化出来たので解説いたします。
1.作り込み作品の少ない理由
普段SNSで写真をみていると作り込んだ作品ってあまり目にしなくないですか?理由としては
・どのアイテムを選んだらいいか分からない
・配置が上手くいかない
・純粋に面倒くさい
こんな理由があるかと思います。
この中でも配置に関してはセンスで片付けられていることが多いのではないでしょうか?今日はその配置について書道作品で学んだ配置法を理論的に解説いたします。
2.なぜ書道作品なのか?
出典:http://www.pref.toyama.jp/sections/1803/bitono/bitono/syozou/syo_index/syo/syo1.html
書道作品は全て文字の羅列で作られています。
美しい作品に仕上げるためには文字の大きさや紙の白とのバランスを計算し、立体感・心地よい視線の流れを作っていきます。
その視線誘導が文字の意味が分からない人にも綺麗だと思わせる事が出来る訳です。
どうでしょう?1文字1文字が小道具だとするとちょっと作り込みの写真に通じるところがあるのではないでしょうか?
3.配置・配色の重要性
情報量の多い作り込みの際には多くのアイテムを使用します。
それぞれに形・色があり、それら全てを調和させるためには配置と配色は最重要項目です。
なぜ重要なのか?
それは「視線が散漫になってしまう」からです。
アイテムが強すぎると主役に目線がいかないし
アイテムが弱すぎると違和感となって作品を台無しにします。
すごい乱暴な言い方をしてしまえば視線誘導さえうまく出来れば作り込みは100%うまくいきます!!
もちろんテーマとマッチしているかが重要です。しかし見た時の綺麗さだけに特化した場合、好きなアイテムを適当に持っていくだけで作れてしまいます。
ここからは一般的なポートレートにおける視線誘導術に関して解説していきたいと思います。
4.人間の目が心地いい流れは決まっている
これは皆さん聞いたことあるのではないでしょうか?
「日本人と海外の人が心地いい流れは違っている」これはどうでしょうか?
ここには使用している言語が影響しています。
英語だと必ず横書きで左上から順に読んでいきます。
その為視線の流れはZ型、F型しかありません。
しかし日本語の場合このZ型、F型以外にN型と言うのが存在します。
最近では横書きも多くなってきており、N型は主流ではないですが、教科書や小説などは全てN型である為、日本人ならではの視線誘導法になっております。
日本人のphotographerとしてこの違いは強みになります。
なぜなら海外のハウツーや視線誘導には確実にないからです。
僕の作品で少し違和感を覚えたり他の方と違う印象を持っていたとすればこのN型の視線誘導も用いてるからです。
どうでしょうか?オーソドックスな三分割構図ですがN型を取り入れることでより心地よく視線誘導することが出来ます。
これを取り入れるだけでもかなり配置のバリエーションが増えるはずです。
さらに詳しい内容は後で説明します。
4章まとめ
有名な三分割、日の丸など写真の構図を加味しつつ
このZ型、F型、N型を考えることでより幅が広がります。
5.大きさでの視線誘導
人は大きいものに目線が最初にいきます。
その為目立たせたいもを大きくすることで視線誘導することが出来ます。
しかし大きさ以上にポートレートの場合は人に視線が行くため
人→大きいモノ→小さいもの
上記の順になります。
もちろん例外はあって
真っ黒のなかに赤い点とかがあるようなデザインだとポイントカラーの赤に目がいきます。
三色以上でポイントカラーが入ってない場合にのみ有効です。
5章まとめ
ポートレートの視線の流れは
人→大きいもの→小さいもの
ポイントカラーが入っている配色の場合
人→ポイントカラー→大きいもの→小さいもの
6,色による視線誘導
6-1色相
大きさだけではなく色のグルーピングも視線を流す上で大事な要素になってきます。
人間の目は同じ色の部分を一纏めにして見る傾向があります。
上の写真では5章の大きさの原理との併せ技になりますが、一番目の行く被写体の回りの色(ソファー、階段)を黄色の同系色かつ面積を多くすることで視線を誘導しています。
右斜め上に流す為、スマホも左下に配置することでより流れを作っています。
6-2明暗差
これは一般的なので詳しい説明は省きますが
人の目は明るいところから暗いところに目線がいきます。
6章まとめ
彩度明度が同じ場合、モデルの回りを同じ色で固めることで視線誘導が可能
ワンポイントカラーもしくは明度、彩度が異なる場合この限りではない
明るいところに視線は行く
ここまで基本的にすべてのポートレートに応用できる視線誘導の方法を解説していきましたが、次の章より情報量の多い作り込みに関して説明していきます。
7章書道作品より学ぶ作り込み配置法
縦構図と横構図で変わってくるのでそれぞれ解説します。
縦構図
みた時にどこに視線がいきますでしょうか?
こんな流れになるかと思います!
縦構図の時の配置は右上、右下、左中辺り目立つも字を置くと纏まりやすいです。
このように一番目立つものと反対側の上下に挟むような構図にして上げるとうまく行きます。
またその目立つ3つのポイント以外のところは大きさを小さくするか、色や明るさで目立たなくすることで、より際立たせることができます。
その為前章まででお話しした視線誘導を利用し目立つ部分、目立たない部分をはっきり認識することで、このような流れを作るようにしましょう。
横構図
横構図の方が作り込みの方が構図バリエーションが多いです。
まず一番大事なポイントは重心を安定させることです。
トリッキーな構図は存在しますが底辺の部分を揃えることで重心がしっかりして落ち着いてみることが出来ます!
また見たときに思った方もいるかもしれませんが、パッと見た時ってすべての字を見ずに濃い所、大きい所だけ見てませんか?
これが書道における視線誘導の味噌なんですが、写真に応用しやすい部分を2点解説していきます。
・収束点の法則
基本右側、もしくは上に大きいものを置き、流れに沿って徐々に小さくしていく形です。
写真の場合は左から右に流すのも大丈夫です。
どんなにごちゃごちゃさせていても収束点を決めてそこに流してあげるとより収まりやすくなります。流れは被写体の顔から始まるので必ず流れの中に人を置きましょう。
・縦二個の法則
書道作品では基本的な話ですが、何行もある作品の場合縦一列に目立つ字は二文字までにすると纏まりやすいです。また横列も隣同士に大きい文字が並ぶのは避けましょう。
最後のやつは重心がぐらついてますねw
めちゃめちゃごちゃごちゃしてるように見えて意外に縦には二個以上ものを配置していないんです!
メインの目立つもの配置は気を付けてみましょう。
最後に
どうでしょうか一通りの内容は伝えられたかと思います。是非試してみてください!
ではまたー!
な
な
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