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お好み焼きをガチる。いや、ずっとガチり続けている。そしてまだ道の途中。
お笑いがマフィア並みに社会を牛耳っている街・大阪を代表するグルメといえばコナモンである。大阪人はコナモンを心底愛してやまない。愛しすぎて身近になりすぎて、結果当たり前の日常になっている。それゆえ、大阪人がいちばん嫌いな質問のひとつに「お好み焼き(たこ焼き)屋さんってどこがいちばんオススメですか?」というものがある。これを即答できる大阪人はなかなか少ない。
それはなぜかというと、ひとつに、コナモンの解像度が高すぎて選べないということがある。曰く「自分はふわとろ派やからあそこの生地のバランスがいちばんええと思うけど、カリッと派ならあそこやし、ぎっしり派ならあそこやし、この人の好みがわからんからよう選ばんわあ」という状況である。(よく知らないけど)坂道系とか大勢いるアイドルの中で誰がいちばんかわいいかと訊かれているようなものである。まさに「みんなちがって、みんないい」のである。
もうひとつの理由として、大阪人は自分で理想のお好み焼きを焼けるまで、ゴールの見えない旅を続けるからである。彼らは口々に言う。「悪いけど、お好み焼きなんて外で食べるもんちゃうで(訳:失礼ながら、お好み焼きは外食で召し上がるものではありませんよ)」そして遠い目をする。その道は長く険しい。
これほどまでにコナモンを愛し、血肉になっているがゆえに、このところのキャベツの価格高騰は大阪人にとってじわじわと首を絞められているに等しい。自分は生粋の大阪人ではないのでまだ呼吸が浅くなる程度で済んでいるが、それでもキャベツ恋しさに耐えきれず、半玉150円のものをとうとう買ってしまった。朱に交われば赤くなる、とはこのことである。
余談ですが、底辺大阪人の生活を支える安売りスーパーといえば、「T出」「M代」「Sディ」の3チェーンが代表的です。「T出」は近所にないのであまり知りませんが、キャベツなら自転車でちょっと行ったところにもある「M代」が狙い目。なぜかキャベツが押し並べて安い日が多いです。
ちなみに、個人的には上記3つではなく「Mハチ」派です。ふつう、大勢の客が見込める週末にはあまり安売りをしないのに、「Mハチ」は土日でも思いきったセールをしてくれるから好きです。今日もこれから行きます。
そんなわけで今日はお好み焼きについて書く。数年前にも一度偉そうにレシピ的なものを開陳しているが、あれから何度も工夫を重ね、さらに理想のお好み焼きを追求しているのだ。これもまだ道半ばの記録でしかないけれど、どなたかの参考になれば……。
んん? ちょっと待ってもしかして、他の地方の人はそもそもそんなに真剣にお好み焼きと向き合ってないのかも? 味わいの違いなんかこれっぽっちも気にしてないし、どうでもいいのかも。しかし! 我々にとっては一大事なのです。だからこそこうやって書き留めておきたいのです。そういう皆様におかれましては、もし、死ぬほどヒマだったらでいいので、ふーん物好きだねえ、程度の冷やかしでご一読くだされば光栄です。
キャベツは「同じ厚み」に切る。
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お好み焼きには二人分で4分の1玉を使用。
まず、自分が目指しているのはふわとろ、エアリーでクリーミーな生地感である。キャベツに関しては「均一に火が通る」ことを考慮してカットする。4分の1玉をさらに上下で半分にカットし、その上半分と下半分で切り方を変えることで、最終的に同じ厚みに持っていく。
上半分は薄い葉の部分しかないのであまり難しくない。単純に5〜6mm幅に千切りにした後、さらに5〜6mm幅に刻んで正方形のチップ状に。
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下半分は茎(葉脈?)のしっかりとした部分があるので、そこを薄くスライするように、1mm幅程度に千切りにしてから、上半分と同様に刻む。
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こうすると茎(葉脈)も薄くなっているので、固さが残りにくくなります。
キャベツ刻むだけでこんなに面倒なの? と思ったでしょ。すべてはおいしいお好み焼きのため。
ふわとろの立役者、はんぺん。
ここで、生地に混ぜる「ツナギ」をご紹介。欠かせないのが以下の二品、
天かすとはんぺんである。彼らが風味豊かでふわとろな生地を文字通り支えてくれる。ぜひとも揃えていただきたい。分量は二人分で天かす1カップ、はんぺん一枚ぐらい。
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はんぺんはできるだけニチニチにつぶす。妻が作る場合はもうスパチュラでペースト状にしてしまう。自分は面倒がって握りつぶす程度にしたが、どっちかというと妻のペースト方式の方がおいしかったかも。
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あんまりいい見本じゃないけど、ご参考までに。
で、天かすともども、キャベツに混ぜ込んでしまう。
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生地は少なめ、接着剤程度に。
いよいよ生地を混ぜてゆく。ずっと試行錯誤を繰り返してはいるが、あまりボテボテの重い生地にしたくないので、今のところ二人分で85〜100gの粉を使っている。
今はまだ粉の分量をああでもない、こうでもないと言っている段階なのだが、もっと修業を重ねると、使う粉の種類やブレンドの比率にもこだわるようになるのかもしれない。そう思うとやはり、道のりは長く果てしない。
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玉子を2個、牛乳100cc程度(少なめから様子を見てください)を入れて混ぜ、最終的に水で調整する。とろみ具合としてはコーンスープとカスタードの間、クレープ生地ぐらいを目指す。
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で、あとは一気呵成に混ぜて焼くだけ。実はこの日、玉子をケチってひとつにしちゃったのでちょっと生地のまとまりがよくなかった。反省。
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弱火でじっくり15分焼く。
焼き方だけど、お店の厚い鉄板で焼くのとはどうしても火の通りが違うので、なかなか家庭用のコンロでは難しいところがある。我々がたどり着いたのは「ためしてガッテン」か何かで見た焼き方。
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いつか、豚バラお好み用をびっしり並べられるくらい金持ちになりたい。
フライパンに油を敷いてよく熱したら、生地を流し入れ、豚肉などの具材をトッピングして、蓋をして弱火で7〜8分。
端っこのキャベツに焦げ目がついてきたら、ひっくり返して蓋を取り、さらに7〜8分。このときコテでぎゅうぎゅう押さえる人がいますが、あんまりオススメしません。押しても真ん中を一回ギュッ、だけにとどめて、エアを生地に封じ込めます。
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ちょっと奥の方の焼きが足りなかったか。
豚玉の場合は最後にもう一回ひっくり返して、フライパンに滲み出た豚の脂をもう一面にも吸わせましょう。
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いやっほーう、完成!
できました! もはや禁断症状が出るぐらい待ち望んだお好み焼き。ああ、愛しい。
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感想は一言「This is IT!(訳:これこれ、これでんがな!)」。
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アディダスと同じぐらい素敵な3本線。
もちろんお供には冷たく冷えたビールを。くー、たまらんねー。
何と言ってもキモは「生地に天かすとはんぺんをまんべんなく混ぜ込む」こと。これに尽きる。こうすることで、生地がふわふわになり適度に空気を含む、にもかかわらずボロボロにならずしっかりまとまる。そのうえ、それぞれから味が出るので、生地の内側からも味がして、噛むほどにおいしい。単にソースとマヨネーズだけの味ではない奥行きのある風味に仕上がるのだ(個人の感想です)。
たかがお好み焼き、されどお好み焼き。きっとまだこのレシピ(?)はまだまだ完成系ではなくて、これからも自らの好みを探して変化してゆくことだろう。でも現時点で言えるのは、ボテボテの粉っぽいお好み焼きを卒業したいなら、はんぺん、天かす、そのどちらかでもいいから是非試してほしい、ということ。
特にはんぺん。関西人は日常的に食べる習慣のない食品で、まだまだ世間ではお好み焼きに混ぜる、という手法は浸透していないように思う。騙されたと思って、一度試してほしい。まあこれもアリかな、と思っていただけたら、ここまで長文を書いてきた意味があるというものです。
もっとも、お好み焼きをいちばんおいしくするのはアナタの情熱、という火力なのかもしれません。
てなことをゆうてますけどもね。