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知的財産管理技能検定(2級)振り返りメモ~これからチャレンジする方にむけて~

無事合格してました!
(2023/4/20追記)

昨日、2級実技再受検してきました合格発表は4月になってからですが、公式発表された解答をもとに自己採点したら、、、

実技:38/40(=95.0%)の正答!のはず。。。

☞合格!!!見込み。。。
(合格基準は80%以上の正答率)

でした。

ということで、晴れて2級知的財産管理技能士(見込み)として、これからチャレンジする方に向けて書かせていただきます。ベースは以前の記事で、あれやこれやを改変しながら書きます。

福岡大学にて

1.はじめに

天下り色の強い資格制度?受験料も比較的高いと感じる。国家資格ではあるが、業務独占資格ではなく、認知度も低いので、取得は自己研鑽・自己満足の位置づけ。この資格を持っているからと言って、知財管理の実務ができるとは言えない。なお、知的財産管理技能士3級は基礎の基礎、2級は基礎、1級は実務者的なレベル感。知財関連法を丸暗記する必要性も実のところあまり感じていない。

他方、弁理士は業務独占資格であり資格取得難易度も格が違う。しかしながら、其々の資格は目的も違えば生かす場所も違うので、同列で扱うべきではない。

のっけからネガティブな記載になってしまいましたが、小生、昨春(2022年3月)に2級を受験し、結果は学科合格(34/40)、実技不合格(30/40)。今回、実技再受検し、やっとこ合格(38/40;見込み)した、というところです。

一回落っこちた奴の話なんぞ役に立つかいな!?ではありますが、失敗の経験も踏まえて、つらつらと書いていきたいと思います。

2.受験目的

さて小生、エンジニアとして知財管理の基礎知識は持っておくべきもの、との理解で、業務・スキルの棚卸とその補強、を目的として試験勉強に取り組みました。試験勉強では対象分野につき体系的に学べる、という点が、資格取得を目指すメリットであると思っています。

将来的に知財管理の専門部署へ転籍する事も、少なからず想像したことがありました。当初、受験資格として必要な実務経験(自己申告制)がネックとなるのでは?と思っていたのですが、幸いその間口はかなり広く、私の場合、技術開発や契約に係る実務経験が十二分にあったため、問題なく受験できました。

なお、当該実務経験として、技術開発の業務においては特許出願から登録迄(知財専門部場所担当者、弁理士さんの協力のもと)持って行った経験があります。

因みに、科目合格は合格日の翌々年度まで試験免除されるようです。"合格日の翌々年度ってなんじゃぃ!?"と思った方は、以下のリンクを参照ください。年度縛りというわかりにくい基準です。。。リンクを見ていただくとわかりますが、この資格検定、2級と3級は1年に3回も実施されます(1級は年1回)。

3.勉強方法

■ やったこと

少し古いテキストと過去問題集をフリマサイトで購入して勉強しました。直近の法改正内容はWebで調べて加筆・ハイライトしました。また、過去3回分の試験が協会HPからダウンロードできるので、試験慣れ、力試しの為に活用しました。

  • テキストと過去問題集で、ガツッと一度勉強。知財関連法一覧(後述)を作成。

  • 初回受検時は、過去問集付属の模擬試験、および過去3回分の問題を1回づつセルフ模試。

  • 今回の再受検(実技のみ)では、過去問集付属の模擬試験、および過去3回分の問題を正答率95%以上になるまで繰り返しセルフ模試。

  • モチベーションアップの為に、IPランドスケープの本を一冊読破。

セルフ模試+本番の成績
最終的に学科+実技で20回(本番を含む)も解くことに。。。

結果的に勉強量は、、、150時間程度、といったところです。巷でささやかれている勉強時間(50時間、らしい)より、かなり時間を要しました。

以下は小生が主に使用した(ちょっと古い)テキスト&過去問題集です。

【国家試験】知的財産管理技能検定 公式テキスト 2級 改定9版
 (編)知的財産教育委員会
 (出)株式会社アップロード
【国家試験】知的財産管理技能検定 厳選過去問題集 2級 2020年度版
 (編)知的財産教育委員会/アップロード
 (出)株式会社アップロード

■ Lessons-Learned

勉強・受検してみての気づきは、

  • 80%以上の正答率という合格基準は、結構難儀。知財の基礎知識がある人でも、試験慣れしていないと80%は難しいのでは?

  • 過去問とほぼ同じ文脈で再出題されることが頻繁にある。

  • 直近の法改正内容は意外とすぐには出題されない。見かけても設問中にコソッと紛れている程度でCriticalではない。そして、暫くしてから、ガツンと出題される。

  • 法改正は自分で調べて整理すると、記憶に残りやすい。おかげで、引っ掛け問題で法改正ネタが登場した際の対応力がついた。

  • なお、”外国為替及び外国貿易法”と”コーポレートガバナンス・コード”が、第43回試験より出題項目に追加され、留意が必要。

  • 何より、テキストや過去問題集は、改訂版が発売されると極端に値崩れするので、フリマサイトでかなりお得に購入できる。

  • 2級と3級のテキスト内容にさほど大きな差異はなく、2級のほうが多少詳しく記載してある(その分、分厚い)程度。

ということがあります。

特に留意したいこととしてお伝えするならば、

  • 同じ過去問を複数回以上解いて癖のある試験問題に慣れないと、一発合格は難しい。(小生がアホなだけかもしれませんが。。。)

  • 面白いのは、小生、(間違え/不明点は復習しながら)過去問3回分を順に解いていっても、あまり点数が上がってこなかったという事実。結局、試験の""もバラエティーに富んでいるという事か?

  • 実技は、設問1~18までが鬼門。設問がややこしいし、考察に時間もかかる。何故だか、"○"か"×"を選ぶという行為にとても緊張する。設問19以降は比較的スピーディーに解答できるので、この鬼門で時間を食っても焦らない、という事が肝要。

  • 今回(第44回)の実技では、直近の法改正が初めてガツンと出題された(学科は未確認)。例えば、問25の意匠法(エ; 複数意匠の一括出願@2021改正)、問28の種苗法(ア; 自家増殖の制限@2022改正)とか。外為/貿易法やガバナンスコードも各所にしれっと紛れていた。今後は、これ以外のポイントもCriticalな選択肢としてガツガツ登場するに違いない、かな!?

です。

なお、多少実務経験のある方であれば、3級はパスして2級から受けて構わないと、小職は思います。

4.参考情報

■ IPランドスケープ

言葉の定義だけ知っておけば問題ありませんが、小職は以下の書籍を読み、知財業務に関するモチベーション向上に努めました。本試験勉強では、“知財って極めて保守的”、となりがちですが、IPランドスケープの世界を知ることで、より積極的に知財に向き合えるかと思います。

IPランドスケープ経営戦略 
 (編)渋谷高弘、IPL経営戦略委員会
 (出)日本経済新聞社

■ e-learning教材

小生はチラ見した程度ですが、JST(科学技術振興機構)のe-learning教材にも知財のコンテンツが準備されており、無料で閲覧できます。かなり情報が古いか?というネックはありますが、知財についてサラッと勉強するには有用かと思います。

■ 過去の合格率推移

過去10回分の統計を協会HPで確認しました。2級の受検者数は2000人前後で、その合格率は約30~60%と幅があり、平均すると40%強くらい。

知的財産管理技能検定(2級);合格率推移

傾向を見ると、何となく各回どちらかの科目がちょっと難しい、というような。。。単純に設問の品質が安定していないということでしょうか。受け手の品質(習熟度)がこんなにばらつくとは思えませんし。。。

なお、合格率は合格者数÷受検申込者で算出していますが、コ○ナの影響もあるので(欠席者数は不明)何とも言えません。第35回はコ〇ナの影響で中止です。

繰り返しになりますが、毎回必ずいやらしい設問が少なからず仕込まれています。例えば、

“最も不適切と考えられるものはどれか”という問いに対し、グレーなものとよりグレーなものが列挙され、よりグレーなものが正解、とか。
特許法では正しくても独禁法や不競法で黒では?と思われるものが意外に正解だったり。
変な日本語だったり、急に難しい(テキストには出てこないような)文言が使われたり、と様々です。

設問では”不適切”、の部分が太字で下線が引かれています。捨て台詞を吐くなら、”最も”の部分を太字でハイライトしてほしい、と言いたい。。。

こういった設問には、もう慣れるしかないですね。小生のような?素直な人間はその点で、正答率90%が満点で(10%は必ず踏んでしまう地雷)、4問しか間違えられない、というつもりで試験に臨むべきですね。

因みに、今回(第44回)の実技は比較的素直な設問が多かったように思います。勝手に講評すると、、、

  • ややこしいなぁ”と思ったのは設問22くらい。

  • 鬼門の設問1~18は意外と素直な問いだったかと。

  • 設問34の国内優先権主張の特許出願は、”公開は願/審査請求は願/存続は願”の起点関係を覚えていないと混乱しますね。

  • 設問40のTRIPS協定は、ギョッとしました。ベルヌや万国何某、サンフランシスコ(戦時加算)が選択肢にない。。。最近巷でTRIPSが流行っているのでしょうか?ここ数回の実技でも出題されていた気が。。。

  • (前述LLの通り、)ガッツり法改正が設問に反映されてました。

という事で、第44回実技はきっと合格率が50%くらいになるのでは???上掲した合格率推移、ギザギザ周期の通りになるのではないかと。。。

実技の合格率は約51%でした。
予想的中!
(2023/4/25追記)

■ 知財関連法一覧

参考書および過去問で登場した内容等を整理したものです。

特に、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、種苗法、著作権法、国際条約は比較しながら整理しました。

この他、不正競争防止法、民法、独占禁止法、関税法、外国為替及び外国貿易法、弁理士法、IPランドスケープ、オープン&クローズ戦略、コーポレートガバナンス・コード、についても纏めています。

細かくてすいません、イメージの共有迄です。赤字は直近の法改正や試験範囲拡充です。

この内容を理解して丸暗記しておけば、2級を簡単にパスできる???

なお、もしやもしや当該”知財関連法一覧”の”Excel版”が欲しい方がいらっしゃれば、と思ってまして、別記事でダウンロードできるようにいたします。恐縮ながら、超大作故に有料とさせていただく予定です。

5.さいごに

1回落ちて学んだこととしては、セルフでの模擬試験は正答率が少なくとも90%以上となるまで繰り返すことが必要(95%なら確実!かな?)、ということ。間違えた部分を単純に復習するだけでなく、改めてもう一度解く機会を作ることが有効だと考えます。

セルフ模試の1回目に正解した設問でも、2回目で意外と間違えたりする≒理解が不十分ということがあります。やらしい、際どい設問も散見されるので、繰り返し解くことで、試験慣れすること、理解度を上げていくことが大切であったと思います。

所感としては、あまり品位のある資格(検定)ではないように感じました。まずもって設問に品位がない(笑)。あと、検定で問われるポイントが(知っていて損とは思わないけど)実務で必要な知識と若干ズレている気がする。。。なんやかんや、これまでチャレンジした資格試験で一番(嫌な)苦労をした気がします。

また、これまで受けた資格試験の中で、唯一資格証がなく(≒国への登録手続きもない)、合格証も大臣名で発行されない点は残念に思います。(☞1級は大臣名で発行されるっぽい。)

ただし、当初からの目的であった“知識の棚卸+補強”は十分に達成し、試験勉強を通じて作成した上述の“知財関連法一覧”は今後の財産になったと考えています。

この資格取得が役に立つかどうかはちょっと””ですが、少なくとも知識の棚卸や補強をする機会にはなると思います。あるいは、1級に挑戦するための前哨戦とするには適当かと思います。

以上、参考になれば幸いです。ご健闘をお祈りいたします!

おしまい

認定が大臣名じゃない。。。


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