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技術士試験~経営工学部門の受験を考える~

技術士(化学部門)の受験に際し、ネットで色々検索していたら引っかかったブログに、”めたのさえた”さんの”理系じゃけん”があります。めたのさえたさんは技術士(経営工学部門、機械部門)であるとともに、その他の資格取得にもチャレンジされておられる方です。

もともと、化学部門と経営工学部門でどちらを受験するか迷っていたこともありブログを拝見していましたが、めたのさえたさんがその他の資格試験にも挑戦されている姿に小生感化され、ファンになってしまいました。(マイナー部門)技術士として、小職も何か情報発信すべきでは?と思うようになるきっかけになったブログです。

さて、上記前置きの事由もありまして、小生、令和3年に化学部門に受かったら、令和4年は経営工学部門を受験するぞ!と考えていました。結果として令和4年に経営工学部門を受験していません。更に、来年受験するかもまだ悩んでいます。

躊躇した・している理由はいくつかあります。

  • 化学部門に合格して、ほっとしてしまった。さぁすぐ次の部門に挑戦だ!と気持ちが続かなかった。一休さんの”あせらないあせらない、一休み一休み”が頭をよぎる。他にやるべきこととの優先順位も考えなきゃね、、、と。

  • また数百時間という時間をかけて試験準備をすることになるのか、、、化学部門の経験があるから多少効率的に準備はできそうだけど、それでも大変だろうなぁ、、、と。

  • 経営工学部門についてあれこれ分析・考察してみた。結果として、受かる気がしなくなった。更には、負のスパイラルで、小生が技術士(経営工学部門)を名乗るにふさわしい人間か?受験するにふさわしい人間か?と。

今回は、上記の”受かる気がしなくなった”要因である分析・考察について、つらつらと書かせていただきます。結論としては、令和元年以降、経営工学部門の受験ハードルが上がっている、そもそも経営工学部門は体系的に学ぶことよりも経験に基づく各個人の哲学的な要素あり?小生はその境地にまだまだ遠い存在、故に、受験する覚悟を得られなかった、ということであります。

1.経営工学部門、選択科目統合で合格者数激減?

化学部門と経営工学部門について、10年分ほど技術士二次試験の合格者推移についてまとめてみました。

合格者数は全体的に減少傾向。

令和元年から経営工学部門の合格者数、激減してます。これ、令和元年に改正された技術士試験方法が大きく影響してるのではないかと、小生は考えてました。

試験方法そのものの改正は良いとして、、、着眼したのは選択科目の統廃合です。経営工学部門は5科目から2科目に圧縮されました。

引用:https://www.engineer.or.jp/c_topics/005/attached/attach_5698_1.pdf

これって、、、より広く深い知識と経験がないとダメってことか???正直これで小生は怖気づきました。焦心からの自爆です。

なお、令和3年度の技術士二次試験合格者数は全体で2,659人、合格率は11.6%。
合格者の半数ほどは建設部門が占めます。これは、技術士が業務独占資格ではないものの、建設業法上の特権があったり、公共工事の入札要件で加点されるためだったり、他の資格を受験するときの優遇があったりするからだそうです。じゃによって、多くのゼネコンや建設コンサルのエンジニアが技術士を目指すわけですね。他方で化学部門と経営工学部門の令和3年度合格者は其々24人、16人です。共に全体の1%未満。。。マイナー部門といって差し支えないかと。

2.学協会の視点で~化学部門と経営工学部門の比較~

これまたネット検索していたら、日本IE協会という団体が、経営工学部門の試験対策講座を開催しているという情報にたどり着きました。

学協会が技術士になることを推奨するという事は、とても良いことだと小生は思います。なぜなら、学会や協会が独自の資格を設けることは、会員の力量証明、力量の維持・向上に資するものであるとは思うものの、一方で、少なくとも小職は、会員・会費集めの行為の様にも感じてしまうからです。更に学協会で(継続的に会費を支払う)個人会員にならないと資格が取得、維持できないケースもあり、なんだかなぁ、と感じています。なお、技術士は、技術士会に入会することは義務ではありません、損得を各個人が考えて入会・継続を判断できるという点に懐の広さを感じます。故に、学協会独自の資格よりも、技術士を取得するほうがセクシーなように思います。

とういわけで?両部門が関連する学協会ってどんなところがあるか簡単に調べてみました。対象学協会の取捨選択は、学会名鑑(2022年6月にサービス終了)でのスクリーニングを中心にして、①会員数が把握できる(会員100人程度の学会は割愛)、②ネットですぐに引っかかる、③何かしら各部門に関連しそうだ、④工学的要素がハイライトされる(理学的要素の高い学協会は割愛)、という小生勝手な基準と判断により行いました。結果は以下の通りです。

   ※数値は2022年4月時点です。

学協会を羅列してみて感じたのは、

  • 化学部門は巨大学閥を有する、協会も幅広。それにしても、日本化学会、でかいなぁ。

  • 経営工学部門は、小規模かつ工学的要素がハイライトされる学会が少ない?

学協会の大きい、小さいは、資格取得のモチベーションに対して、例えば、社会的認知度、等の観点で多少は影響しそうなものです。しかしながら、小職の場合、①そもそも技術士の認知度が低い、②”経営工学”という名前の響きがカッコいい、という点で、実のところ受験のモチベーションには全く影響していません。

しかしながら、なんか気になる、なんか引っかかるんですねぇ、”小さい”とう事実。そこで簡単に仮説を立て、考察してみました。

もしや資格取得の対象となる母集団が経営工学部門は圧倒的に少ない?

☞いや、そんなことはない、生産管理やロジスティックス、プロジェクト・サービスマネジメント、マーケティング、設備計画(技術的・経済的評価等)等々、産業界において山のようなエンジニアが経営工学には関与しているはず。

ならば、何故、学協会が小所帯?

☞きっと、工学的、理学的に体系化し難い分野なんだろう。あるいは、きわめて幅広で全体としての纏まりが得にくいのか。また、ロールモデルが作りにくい、時代とともにモデルもすぐに変わってしまう、エンジニアリングし難い分野、産業分野毎に整理されている分野、と勝手な理解。
☞さらに、企業はノウハウとして外に出したくない知見ということか、あるいは、工学というより文化に近い?とこれまた勝手な理解。

上記、小生エンジニアでありながら、”だろう・はずだ”の仮説・考察で大変恐縮ではありますが、結果たどり着いたところは、

経営工学部門は諸行無常の響きあり、各エンジニアの経験に基づく哲学的なところあり。Specificかつ幅広な知見が必要で、世の中の動向も常に熟知せねばならない。個別のスキルだけでは到底たどり着けない総合工学的、人間学的な境地。守秘の線引きも難儀。

つまり、勝手に技術士(経営工学部門)のハードル・理想を掲げて、焦心に駆られ、自爆してしまった、ということです。

3.過去問分析

4年分、過去問のトピックスを羅列してみました。令和2年および3年は、セルフ過去問模試を実施することを想定し、整理の対象外としています。

結論からいきますと、化学部門に比べて、設問トピックスの繰り返し性が低い。また、上述した選択科目統合により令和元年からは出題範囲も広がり、的が絞りづらい。

これは、”1.経営工学部門、選択科目統合で合格者数激減?”でハイライトした令和元年以降の合格者激減の要因として、確実に影響する事象と考えました。受験者も減り、合格者も減る要因です。じゃによって、また、”うわー、受かる気しない”、と焦心に駆られ、自爆してしまった、ということです。

生産・物流マネジメント
(旧生産マネジメント、ロジスティクス、数理・情報)

細かくてスイマセン、イメージの共有迄です。赤字は再登場トピックス。

サービスマネジメント
(旧サービスマネジメント、金融工学、数理・情報)

細かくてスイマセン、イメージの共有迄です。赤字は再登場トピックス。

4.最後に

考察と言いながら実のところウジウジと言い訳(焦心自爆)を長文でつづってしまい、失礼しました。来年度、経営工学部門を受験するかどうかは、また別のお話で。

ちなみに、エンジニアリング会社の大先輩で経営工学部門の技術士をお持ちの方は、皆さんプロジェクトマネジメント(サービスマネジメント)分野で受験されたようです。近年は、技術士なら総合技術監理、あるいは米国PMPを取得されている先輩が多いです。更にいうと、技術士よりも米国PEを取得する若手・中堅が多い印象があります。

一方、小職は、"設備計画"も切り口に仕事をしていました。エンジニアリング会社では希少種かもしれません。設備構成最適化、オペレーションズリサーチ、キャッシュフロー評価、信頼性評価、LCA、技術動向・マーケット分析などが、プロセス設計・プロセス開発スキルに加えての武器です。故に、経営工学部門の受験を考えているのであります。

さて最後に、経営工学部門受験に関する考察とは関係ありませんが、”マイナー部門”という事実について。

メジャーな建設部門の技術士二次試験に関する参考書は本屋に並んでます。が、マイナー部門の参考書は売ってません。年に、100人程度しか受験しない部門の参考書を発行することは非効率ですね。当然、ネット上での関連情報露出も少ないです。更に言うと、小生が紹介した既報の復元解答(化学部門-化学プロセス)は、個別の選択科目ですので、受験者数だけ考えると、読者は2、30人/年程度しか想定されません。極めてニッチなターゲットです。

しかしながら、上述のように、技術士になり得るエンジニアの母集団は極めて大きいのでしょう。誰かの参考になればよいな、誰かに届くといいな、という淡い期待と、自己満足の為に、これからも小生の資格取得の経験を記事にしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。コメント、アドバイスなどいただけますと幸甚であります。

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