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古材鑑定士7:古材に含まれる炭素量の計算は簡単。CO2換算も簡単。
はじめに…
古材鑑定について、古材鑑定の基礎知識をできるだけわかりやすく解説します。木材の基礎知識、古材の強度、古民家再生などを学ぶことで、古材の価値を正しく理解し、古材鑑定士の知識を得ることができます。伝統建築の魅力を再発見し、未来へと継承するための知識を身につけていきましょう。
<< 古材の持つ二酸化炭素量の計算は簡単です >>
愛媛大学農学部森林資源利用システムの杉森准教授の試算では、例えば、築60年の古民家から出た古材の松の梁材の場合、平均含水率は15.7%で炭素量の平均は0.230g/㎝2であった。複数サンプルを平均して、1立米あたり230kgの炭素を含んでおり、重量比で43%が炭素と結論づけた。
炭素は酸素と結びつき二酸化炭素となり、地球温暖化の原因と言われる。
■古材に含まれる二酸化炭素量を計算する。
■木材の比重
は含水率により変化するが、一般的には15%の含水率時の比重を使い計算する。木の比重は、木の種類や産地などによっても変わるが、一般的な木材の比重は、
・松≒0.54~0.56
・欅≒0.62
・杉≒0.4
・檜≒0.4
・桐≒0.29
■木の重量=体積×比重(あるいは密度)
■例えば、松の古材で、長さ1m×幅1m×厚み1m=1立米(1000kg)の場合の、二酸化炭素量を計算する。
1.重量:比重を0.54とすると、重量は、1立米(1000kg)×0.54=540kg。
2.炭素量:重量の43%が炭素なので、炭素量は、543kg×43%=232kg。
3.二酸化炭素CO2量:炭素量を3.66倍する。232kg×3.66=851kg。
ー3.66倍の根拠ー
炭素量を二酸化炭素に変換するため、原子の重量比較する。
原子量は、H:水素1.0、C:炭素12.0、O:酸素16.0なので、
・二酸化炭素はCO2=12+(16×2)=44
・炭素Cは12なので、炭素Cの量から二酸化炭素CO2量をだすためには、44/12=3.66倍する。
4「ブナ」の木換算:二酸化炭素CO2量/11kgなので、851Kg/11=77本分
・二酸化炭素削減の目安として「ブナ」の木何本分という例えが使われる。
「ブナ」の木一本が1年間に吸収する大気中の二酸化炭素量は11Kg。
(独立行政法人森林総合研究所の試算数値)
■二酸化炭素年間排出量(参考)
・1人が、呼吸により排出するCO2量は、320Kg、「ブナ」29本分
・乗用車1台から排出されるCO2量は、2300Kg、「ブナ」209本分
・1世帯から排出されるCO2量は、6500Kg、「ブナ」590本分
「古民家」を解体廃棄するより、残すことが環境には良いが、解体した場合に、焼却廃棄せずに、再活用することで、地球環境にも貢献できる。
■古材鑑定士7のポイント
木材重量の約43%が炭素であり、焼却すれば二酸化炭素となり地球温暖化の原因となる。
■最後に…
古材の持つ炭素量の計算は簡単です。ワンパターン。
覚えておけば、役立つときがあるかもしれません。
■次回は、古材とは
古民家の調査と再築:一般社団法人住まい教育推進協会
古民家鑑士は誰でも受験できますが、この本を購入することが必要です。
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