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古民家鑑定士2:古民家の定義、古民家のメリット、デメリット

はじめに…
古民家鑑定について、古民家の基礎知識をできるだけわかりやすく解説します。歴史的な背景や構造の特徴、伝統構法の各部位、などを学ぶことで、古民家の価値を正しく理解し、古民家鑑定士の知識を得ることができます。伝統建築の魅力を再発見し、未来へと継承するための知識を身につけていきましょう。

■古民家の定義

■「古民家」という言葉は、

建築基準法には記載が無く、日本建築史や民俗学にその定義が見られる。「民家」とは一般庶民が住む建物を指す。民家は、伝統的な様式で造られた「農家」や「漁家(ぎょか)」「商家(しょうか)」「町家(まちや)」や、中級から下級武士の「侍屋敷(さむらいやしき)」を含み、特に年代の古いものを「古民家」と言う。築年数による区分は民俗学には無く、「登録有形文化財制度」の基準に合わせ、建築後50年以上を経過した木造軸組構法の建物で、建築基準法制定(1950年)前に多く建築された、骨組みに木材を多用した「伝統構法」と呼ばれる住宅と、建築基準法制定後に一般的に建築される「在来工法」と呼ばれる住宅を「古民家」と定義する。寺社仏閣や校倉造り、輸入住宅などは、木造住宅でも古民家には含まない。

伝統構法の古民家には、建築当時の生活が色濃く残されており、間取りや造りは、知れば知るほど、先人たちの知恵がわかる。

■「登録有形文化財制度」

築50年という年数の基礎となった「登録有形文化財制度」は、1996年改正された「文化財保護法」に基づき、文化財登録原簿に有形文化財を登録する制度のことを指し、登録される基準は、建設後50年を経過し、かつ、次の各号の一つに該当するもの。
1.国土の歴史的景観に寄与しているもの
2.造形の規範となっているもの
3.再現することが容易でないもの

2025年に登録されようとしている建物例:旧案野酒場:山口市徳地島地

旧案野酒場:山口市徳地島地
①紙問屋「伊勢屋」時代:嘉永年間(1848〜1854)北川氏が紙商を開始。当時、徳地の紙は全て伊勢屋に納められた。  明治38年伊勢屋は廃業。その後、個人経営で継承されたが昭和9年に廃業。 ②「案野酒場」時代:昭和の始め(登記は38年)醸造業・工場・店舗)  「菊錦」を醸造し、店舗では桝売り。廃業は平成20年ころ。  昭和30年代の島地商店街図に「案野酒場(造酒屋)」の記載有。

■伝統構法住宅のメリット

1.夏を快適に過ごす先人の知恵を学べる住宅
2.地震の力を上手く逃がす免震的構造
3.地産地消の循環型建築
4.四季の移り変わりを感じ、自然との共生ができる空間
5.自然素材使用による人体に安心な空間
6.開放的な間取りによる地域とのコミュニケーションが取れる住宅
7.可変性に優れた就寝一体の住宅
8.来訪者を気持ちよく迎えられる考え方
9.現在の欧米型の個人主義住宅とは対極の、家族の集いを促し、家族の気配を感じる、団らんを重視する住宅

一方、デメリットもあります

1.気密性、断熱性の低さによる冬の寒さ
2.現在のライフスタイルに合わない来訪者中心の家長主義的間取り
3.室内の暗さ

■在来工法住宅のメリット

1.気密性、断熱性が高くなっており、冬温かい
2.既存住宅購入時には、安く手に入りやすい
3.現在のライフスタイルと近く、使い勝手が良い間取り
4.プライバシーを重視した就寝分離の住宅

一方、デメリットもあります

1.新耐震基準前(1981年以前)は耐震性能が不足しているものが多い
2.建築基準法改正前(2000年以前)は耐震性能に不安がある
3.メンテナンス状況により物件コンディションに格差が大きい
4.設備などの交換時期がきている

■古民家2のポイント

1.古民家の定義:建築後50年以上を経過した木造軸組構法の建物で、建築基準法制定(1950年)前に多く建築された、「伝統構法」と呼ばれる住宅と、建築基準法制定後に一般的に建築される「在来工法」と呼ばれる住宅を「古民家」と定義します。
2.寺社仏閣や校倉造り、輸入住宅は、木造住宅でも古民家に含みません。
3.「登録有形文化財制度」の登録基準は、50年以上経過した建物です。
4.古民家のメリットとして、免震的構造、可変性にすぐれ、自然素材使用、団らんを重視する住宅などがあげられます。

■次回は、建築工法の種類、伝統構法について

古民家の調査と再築:一般社団法人住まい教育推進協会
古民家鑑士は誰でも受験できますが、この本を購入することが必要です。








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