現れた猫

さあやは、すっかり元気になっていた。
ただひとりだと頑張ってしまい、ブレーキが効かなくなる。

「しばらく、家でのんびりしないか」

そうは言ったが、ずっといて欲しかった。
僕はスケジュール帳に、さあやの誕生日に入籍と書いていたんだ。

さあやはしばらく迷ったが

「そうね。しばらく直樹の家でゆっくりするのもいいね」

やった!

さあやはクスッと笑った。
僕の心はさあやには丸見えなんだ。

夢にまで見た、さあやとの生活は幸せすぎた。さあやも満更でもないみたい。
さあやは見違えるように元気になっていく。
このままいて欲しい…

その時、テレビから保護猫譲渡会のニュースが耳に入ってきた。
そうだ、さあやの大好きな猫を飼おう。

日曜日、さあやと譲渡会へ
そこには、

消えたあの猫がいた。
間違いない、短いしっぽに右の頬にある七つの斑点。

「この子が欲しい」

さあやはクスッと笑った。

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