消えた猫
猫が足元に絡みつくようについてきた。
僕は猫が好きではない。
ああ鬱陶しい、まだついてくる。
家の前まできたらいつのまにか、姿を消した。
僕はせいせいした。
次の日も同じ猫がついてきた。
僕は走った。猫も走る。僕を追い越し家の前で姿を消した。
それからは、雨の日も風の日もついてきた。3ヶ月ほど経っただろうが、僕は猫を好きになっていた。恐る恐る頭を撫でようとすると、猫の後ろ足を踏んでしまった。
猫は僕の手を噛んで走り去った。
その日から猫は現れない。どうしたのだろう?足は大丈夫かな?
猫のことが頭から離れない。噛まれた傷跡が余計に思い出させる。
僕は猫が忘れられない。
しばらくして、入院していた、さあやが退院し、訪ねてきた。なぜか杖をつき、足を引きずっている。
さあやは僕に言って微笑んだ
「直樹、まだその手痛むの?」
もしかして…。
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