年子3人忘備録4

[前回のあらすじ] 本格的に離乳食が始まる頃、第二子妊娠が発覚。0歳児を育てながらの妊婦生活も終盤にさしかかる。

あーさんは親指が大好きだった。ミッキーのおしゃぶりはスイカの種を飛ばすかのように拒絶した。かれこれ小学校2年生くらいまで親指と一緒に眠りについていた故の親指にできた大きなタコは、「姉」として生きるために強制卒乳されられたある意味勲章である。

妊婦検診のインターバルが短くなってきた頃、あーさんの二足歩行が少しずつしっかりしてきたが、その頃の家族の心配事といえばもっぱら「お産が早まったら同級生」である。あーさんは4月に生まれた。そして第二子の予定日も4月頭だった。

こういうことも、ある。

なにしろ、妊婦検診に行った時には、あーさんをとりあげた助産師さんに「また来たの?」と笑われた・・ような記憶がある。妊娠も出産も子育ても、勢いが大事だ。

胎児もあーさんもすくすく成長し、大きなお腹の上にあーさんを乗せて抱っこだ。あーさんがお腹にいた頃には、「背伸びするな」「重いものを持つな」「あーだ」「こーだ」とたいそうな妊婦生活を送っていたが、そんな悠長なことを言っていられない。その時の気づきはこれだ。思ってたより丈夫かも、胎児も0歳児も・・。

あーさんがすざましい勢いで言葉を覚え、「てって あらう」と短い文を発言し出したのは、これから先言葉で伝える術を早いところ身につけないと、あんた、大変な事になるわよ、と、鬼子母神さまか何かがあーさんに進化の呪文をかけたに違いない。少しでも言葉で分かり合えることはお互いのストレスを軽減させる。知ってか知らずかあーさんは脳をもフルスピードで発達させた。

潮は満ちた。
さあ、いよいよ第二子の誕生である。

あーさんの出産時、体の中から今までに経験したことのない力が沸いた。頭に電球ついてたら絶対電気つくなぁ、と咄嗟に思った程の力だ。第二子の分娩はあれよあれよという間に進み、「頭出ますよー」のかけ声に思わず、「え?もうですか?すごい力まだ感じてません」と申し出た程だ。ありがたいことに、安産で母子ともに健康で退院。あーさんの待つ自宅へ新しい命と共に帰宅した。

第二子のみーこは、これまたリスのような顔つきで、赤ちゃんは猿の概念をぶちやぶった。しかし、気に入らないことがあると、猿を通り越してスズメバチの顔つきになる。さらに泣き声のデシベルがすごい。みーこの泣き声に驚いてあーさんが泣くほどたった。

1歳0ヶ月にして「姉」という大人の階段を登ったあーさんは、みーこをあっという間に家族として認識し、自分より小さな生き物であることも理解した。今になり振り返るとあーさんの神対応には頭が下がる。

産後は実家で、総出のフォローにより快適に過ごす。破天荒なねーちゃんと呼ぶ弟も時間があると新生児と1歳0ヶ月の世話を買って出てくれた。祖母は2人のひ孫に顔が綻びっぱなしだ。反面、父や母は早く帰ってくれ、、と内心思っていただろう。

あーさんとみーこ用に双子用ベビーカーを用意した。みーこが外気に晒されるのには時間がかからなかった。

そして、運命の公園デビューである。

つづく

更新は明日。


いいなと思ったら応援しよう!