年子3人忘備録3

[前回のあらすじ]初めてづくしの子育てを真剣に取り組み、いよいよ本格的な離乳食を開始。あーさんの歯が一向に生えてこないことが功を奏す!

あーさんはつるっパゲで生まれてた。こんなもんだろうと思っていたが半年経っても髪飾りのひとつもつけられないハゲ散らかしように、これから寒くなるのに頭から風邪ひかないかしら。。?と、要らぬ心配を誘った。

ハゲ散らかしてるだけじゃない。歯も全く生えてこない。もしかして、歯がないんじゃなかろうか。。?と、これまた要らぬ心配を誘った。結局1歳になるまで乳歯がまるで生えてこなかったのだが、「いやこれ、計算してましたから」とでも言わんばかりのファインプレイだったのだ。

長袖一枚で過ごしやすくなってきた頃、ふっと一年前にも味わった感覚に襲われた。なにしろ、一年前のこと。体はしっかり覚えている。直感は見事に的中。

妊婦になっていた。

「もう出産は二度といいや。」退院時の車の中で確かにこう発言した。舌の根も乾かぬうちに、、、とはこういうことなのであろう。二度といいや、、と思うほどしんどかった出産に数ヶ月後にはまた挑むのだ。それだけではない。出産まで胎児を0歳児の育児をしながら育てるのだ。どういうことだろう?。胎児のために心穏やかな妊婦生活を実現しながら、0歳児の育児をする。言葉にすればそれだけのことだ。

あーさんのファインプレイは、「は・み・が・き・しようね」いらずの口の中だ。緊急事態で強制断乳させられたあーさんは、歯がないゆえ、夜泣きすれば野菜ジュースやりんごジュースの配給を受けることができた。生まれてすぐ歯が生え始めた下2人は水かお茶の配給だったのだから、かなりの役得だ。おかげで、相変わらず寝ないが長い時間ぐずることもなくなり、胎児のために体を休めることもできた。

妊娠発覚後の日常は、赤ちゃん検診と妊婦検診が目まぐるしく入り混じる。妊婦検診のたびにあーさんを預かってくれた双方の両親の援助には感謝しても仕切れないほどである。

冬になるとあーさんは風邪を引きがちになった。インフルエンザが流行する中、妊婦で小児科受診に抵抗がありまくった私は、自然治癒を試みたが症状は悪化していく。重い腰を上げて小児科を受診した時には、あーさんは気管支炎になっていた。一体何を最優先すれば良いのか分からない。助けてもらっているのに誰かに助けてほしいと思う。世の中の新米ママと妊婦さんが感じる感情が一気に押し寄せた。

母の不安定さを払拭するように、あーさんはすくすくと成長した。あーさんを妊娠中、どうか目元は旦那に似ますように!!と毎晩祈った甲斐があり、町ですれ違い様に「綺麗な赤ちゃんね」と目を細められたのは一度や二度ではない。「16年後この子は金髪のギャルですよ」と、褒めてくださった世間の方々に教えたい。脳の成長も活発で、大きな瞳でじっと見て、じっと聞き、言葉を発するのも覚えるのも早かった。

そして、あーさんの行動範囲が二足歩行により広がる頃、あーさんを取り巻く環境にも変化が訪れた。

つづく

次の更新は明後日


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