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Happy Women's Map 茨城県結城市 現代女性詩人の草分け 新川 和江 女史 / Japan's First Female Modern Poet, Ms. Kazue Arakawa

-『新川和江詩集 〈現代詩文庫64〉』(新川和江 著 / 思潮社1976年)

「わたしを束ねないで」
"Don't tie me up"

新川 和江 女史
Ms. Kazue Arakawa
1929 - 2024
茨城県絹川村(現在の結城市)生誕
Born in Yuki-city, Ibaraki-ken

新川 和江 女史は、戦後を代表する現代女性詩人。西條八十に師事して詩集『睡り椅子』でデビュー、女性初の日本現代詩人会会長に就任。吉原幸子とともに『現代詩ラ・メール』を創刊して女性詩人の活動を支援します。
Ms. Kazue Arakawa is a contemporary female poet representing the postwar period. She studied under Saijo Yaso and made her debut with the poetry collection ``Nemuri Chair'', and became the first female president of the Contemporary Poets Association of Japan. Launched ``Contemporary Poetry La Mer'' with Sachiko Yoshihara to support the activities of female poets.

「かるたとり」
 和江は桑園を営む父と養蚕に従事する母のもと、「お蚕が光のようなな糸を吐く常陸野で生まれ育って」、お正月のカルタ取りで読み手の母がいつもと違って気取って美しく響くような声で読む百人一首の心地よく響くリズムに魅せられ、ものごころつく頃から7・5調の詩の様なものを書き始めます。茨城県立結城高等女学校に通い始めると、夏休みの自由研究に『徒然草』の幾段かを定型詩にアレンジしたり、大陸向け毎日新聞の「家郷信片」に大陸将兵への慰問詩を投稿したりしては周囲の反響を呼びます。ある日、東京から隣町に疎開してきた童謡詩人・西條八十のことを新聞記事で知ります。「いくさなか にいはるのひに あこがれの うたびとのきみ とほからぬ まちにむかへて われもまた むねわくひとり」詩作ノートを持って訪ねて以来、週に2・3度、学徒動員の工場をさぼっては自転車で西條の書斎に通って自作の詩を添削してもらい、西條が書いたアルチュール・ランボーの論文を清書しながら、西条から贈られたフランス詩集『檳榔樹』(堀口大学 訳 / 青磁社1943年)を読みふけりアリエット・アドラに魅了されます。「自由主義にかぶれる気か」学校で教師に激しく叱責されたり防空壕から追い出されても和江は詩を書き続けます。「詩を書くことが、今日生きたのだと感じられる唯一のこと」

「現代詩」
 敗戦後すぐの春、文学少女の行く末を案じる母親は、女学校を卒業した和江をすぐに嫁がせます。夫婦で上京した和江は、西條の紹介で少女雑誌や学習雑誌に物語や子供のための詩を書き始め、同人誌や文学グループに参加します。夫があっても子供が生まれても、書斎でなく台所から旺盛に文学活動を続けます。24歳のときに原稿料を蓄えたお金で、第1詩集「睡り椅子」を出版。「人間にとって最もたいせつな生活と、密接につながることによって、はじめて私の詩は意味をもつ」37歳の時、「わたしを束ねないで」を発表。「わたしを束ねないで あらせいとうの花のように 白い葱のように 束ねないでください わたしは稲穂 秋 大地が胸を焦がす 見渡すかぎりの金色の稲穂」53歳で女性初の日本現代詩人会会長に就任した年、和江は女性詩人・吉原幸子と、女性を主体とする季刊詩誌「現代詩ラ・メール」を創刊。男性主導の文壇・詩壇に一石を投じ、10年間に渡って新人女性詩人を発掘して育てます。ならびに産経新聞「朝の詩」で36年間にわたって投稿詩の選者を務めながら、郷里で青少年向け詩作コンクールを毎年開催します。「私は家にあって翔んでいる」「室内には世界の風が吹き渡っていて、日夜、その風に洗われている」「おまえはいつだって 今がはじまり いま在るところが みなもと」

-『新川和江詩集 〈現代詩文庫64〉』(新川和江 著 / 思潮社1976年)
-『日本の詩集 20 (新川和江詩集)』(新川和江 著 /角川書店1973年)
-『渚にて : 新川和江詩集 (現代女流自選詩集叢書1)』(新川和江 著 / 沖積舎1982年)
-『草いちご』(新川和江 著 / 山梨シルクセンター出版部1972年)
-『花嫁の財布』(新川和江 著 / 文化出版局1983年)
-『朝ごとに生まれよ、私』(新川和江 著 / 海竜社1986年)
-日本現代詩人会

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