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Happy Women's Map 愛媛県今治市大三島町 三島水軍の女海賊頭 三島 鶴 女史 / The Female Pirate Captain of the Mishima Navy, Ms. Tsuru Mishima

-『海と女と鎧 : 瀬戸内のジャンヌ・ダルク』(三島安精 著 / 小峯書店1966年)


「わが恋は 三島の浦の うつせ貝 むなしくなりて 名をぞわづらふ」
"My love is like an empty shell on the beach of Mishima. It feels hollow, and just thinking of your name brings me great pain."

三島 鶴 女史
Ms. Tsuru Mishima 
1524 - 1542
愛媛県今治市大三島町宮浦 大山祇神社 生誕
Born in Imabari-city, Ehime-ken

三島 鶴 女史は三島水軍の女海賊頭。戦国時代に瀬戸内の三島水軍を率いて周防の大内義隆軍を3度にわたって打ち破りました。
Ms. Tsuru Mishima is the female pirate captain of Mishima Navy. During the Sengoku period, she led the Mishima Navy in the Seto Inland Sea and defeated Yoshitaka Ouchi's army in Suo three times.

「三島明神の申し子」
 鶴姫は、伊予国の守護職・河野家の信仰と団結を司る大山祇神社第31代大祝職・三島兵庫助安用とその女中・妙林との間に生まれます。瀬戸内の交通の要衝を占める伊予の越智半島と三島群島を拠点に活躍する三島水軍の元締めでもありました。鶴姫が生まれる2年目には山陽地方に勢力を持つ周防の大内義隆の家臣・陶興房の軍勢が安芸国に攻め入り、瀬戸内の島々そして大三島にも押し寄せます。父・安用は神前で勝利祈願を行い、2人の兄・安舎また安房が河野水軍を指揮して大内軍を撃退(第一次大三島合戦)。玉の様に美しく愛らしい丸まると太った鶴姫は、三島明神の申し子として寵愛と祝福を受けすくすく育ちます。鶴姫は4歳から兄たちと一緒に父から剣術・馬術・弓術・兵法はじめ、家伝の古典・神道・法楽連歌を学びながら逞しく成長します。鶴姫は、軽船をかって巨艦に迫り、悲壮な夜襲で蒙古の大群に挑む一族の戦いの物語に夢中になります。

「水軍の口伝」
 鶴姫が8歳の時に父・安用が逝去。長兄・安舎が神職を継承し、次男・安房が三島城を守り、鶴姫には鎧を作らせるよう遺言します。胸部はゆったりとして胴周りはくびれ、腰から下の草摺はスカートの裾の様、深い紺色の「紺糸裾素懸威銅丸」は黄金300斤(現在の約5400万円)をかけて制作されます。「船に乗ることは天の利を先とし、地の利を考えるべし、軍の始まるは人の和を先とし、後に天地の利を考えるべし。」鶴姫は、水軍の陣形・軍船の造法・船路の視察・天候・風向き・潮流・軍船の種類と使い方・三島水軍の門外不出の武器・炮烙について学びます。潮流の激しいところに設けられている三島水軍の各根拠地を訪れ、敵に対する防御と平常時の監視のための操船はじめこれまでの群雄割拠の歴史について学びます。

「勝利の宴」
 鶴姫16歳の折、大内義隆の水将・白井縫殿助房胤ならびに小原中務丞隆言の軍勢が再び大三島を襲撃(第二次大三島合戦)。長兄・安舎は能島・来島の村上水軍らの派遣を注進、次男・安房は三島・河野・村上連合軍を率いて防戦するも戦死します。三島城めがけて敵兵が上陸して押し寄せる中、鎧に身を包んだ鶴姫は全軍を3方に分けると、自ら大薙刀を持ち騎馬にまたがって敵陣の真ん中を迎え撃ちます。「われは三島大明神の使い鶴姫、我と思わんものは出会え!」巧みな駆け引きと左右からの挟み撃ちで敵軍を追い払います。三島城の陣代に任命された越智安成の采配のもと、鎧の上に赤地の女裳を打ちかけた鶴姫は早舟数十隻の指揮を執りながら遊女に紛れて敵陣の船に乗り込みます。「われは三島明神の鶴姫なり、立ち騒ぐ者あれば片っ端からなで切りにせん!」大内氏の水将を討ち取ると、早太鼓と貝笛を合図に焼木を積み込んだ火船と焙烙また火矢を放って大内軍を追い払います。

「鈴の音」
 鶴姫はつかの間の平和を、2つ年上で三島城の陣代に任命された越智安成と共に三島水軍の立て直しに忙しく過ごします。2年後、大内義隆の家臣・陶 隆房(晴賢)が周防大島と宇賀島の海賊衆を率いて三度目の襲撃(第三次大三島合戦)。安成は焙烙・火矢・火槍・投鉾・秘術を尽くして交戦するも、相手のじらし戦術と逆潮・向かい風にはまり、追い風に乗った敵船に体当たり受けて次々と沈められます。安成は死闘の末に敵の将船めがけて火薬とともに体当たりして戦死します。鶴姫は降伏を神託する長男・安舎を振り切ると、最後の戦いのために三島城で兵を結集。昨夜から続く激しい風雨に紛れて、御手洗沖に停泊して修理に忙殺中の大内軍に夜襲を仕掛け火の海と化した大三島から追い払います。味方の船をまとめて大三島に戻った鶴姫は、三島明神への参籠を済ませると小舟で沖合へ漕ぎ出します。「わが恋は 三島の浦の うつせ貝 むなしくなりて 名をぞわづらふ」鶴姫入水の海は今でも鈴音が聞こえます。

-大山祇神社 愛媛県今治市大三島町
-『大祝家記』
-『海と女と鎧 : 瀬戸内のジャンヌ・ダルク』(三島安精 著 / 小峯書店1966年)

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