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Happy Women's Map 福岡県福岡市 戦後日本を導いた霊感少女 藤田 小女姫 女史 / The Iconic Psychic Girl of Post-War Japan, Ms. Kototome Fujita

-『幸運への招待』(藤田小女姫 著 / 産経新聞出版局1960年)

「あれは蛇の星なの。何でも見通す蛇の星なの。」
"That's the serpent star, which. The serpent star can see through anything."

藤田 小女姫(本名 藤田 東亞子)女史
Ms. Kototome Fujita (Real Name Ms. Toako Fujita)
1938 - 1994
福岡県福岡市 生誕
Born in Fukuoka-city, Fukuoka-ken

藤田 小女姫(本名 藤田 東亞子)女史は、日本の霊感占い師、経営コンサルタント。9歳で産経新聞に「天才少女占い師」「千里眼少女」としてマスコミに登場して以降、経営者・政治家・芸能人の相談役として時代の寵児となります。
Ms. Kototome Fujita (real name: Toako Fujita) is a psychic fortune teller and management consultant. After appearing in the media at the age of 9 as a ``genius girl fortune teller'' and ``clairvoyant girl'' in Japan's Kei Shimbun, she became the darling of the times as a consultant to business executives, politicians, and celebrities.

「何でも見通す蛇の星」
 東亞子は鉱山会社に勤める父・常吉と母・久枝の長女として誕生。幼いころに両親は離婚すると、東亜子は母・久江と親戚知人を頼って、戦前戦後を福岡・横浜・東京・長野・北海道と転々とします。「私っていつも独りなのだ。周りはいつも氷のようだ。」母親は秘書に寮母に洗濯係として働き、家には全国から集まる炭坑社員や米軍兵士が頻繁に訪れます。東亜子は父親のいない寂しさを想像して遊びます。「あの人は今何を考えているのだろう。何をしようとしているのだろう。」そのうち、離れたところにいるお友達のしていることが手に取る様に浮かんでくるようになります。「わたしとっても不思議な力を持っているのよ。」東亞子は母親を喜ばせるためまわりの人について言い当てたり、予言めいたことをするうちに、あちらこちらから相談者が訪れるようになります。「あの人にこんなことをお答えしたけど大丈夫かしら...」東亜子は頭の芯までぐったりするようなノイローゼに襲われながら自分に言い聞かせます。「私のお話したことは神様がお話しになったことだから...」

「霊感少女」
 敗戦後、私立岸谷小学校に入学した東亜子のもとを『産業経済新聞』の記者・内川源司が訪ねてきて記事にします。「奇跡の少女現る」「テンテンまりをつきながら、おかっぱ頭の愛らしい少女が、年と名前を聞いただけでどんな悩みでもピタリと言い当てるという“奇跡の少女”がミナト横浜に現れ...」「わたしは人とお話するのあまり好きじゃないの。でも人がどんどん聞きに来ちゃうの。」「奇跡の少女」「霊感少女」「神よりの使者」「ニュースの顔」と呼ばれ新聞・雑誌・ラジオ・映画に引っ張りだこになった東亞子を、母親は映画子役にするべく東映ニューフェイスに応募します。一方、探偵になって人助けをしたい東亜子を可愛がる産業経済新聞社長・前田久吉は、『産業経済新聞』誌上ならびに、新築まもない東京大手町の産経会館で「藤田小女姫身上相談室」を開設します。

「年配有力者のファン」
 東亞子は相談者に白紙に筆で氏名を書いてもらうと、ただそれを見て頭にビンビンくるままに運命判断をします。新車設計に難航するいすず自動車会社社長・三宮吾郎には「歯車が前の方にふたつある。左の方の歯車がちょっとおかしい。そこを工夫されたらいっぺんに動くようになります。」アメリカ輸出に合わせた「キッコーマン」改名を迷う「野田醤油」社長・茂木三郎には「お変えなさい。変えたら3年間は営業収益が下回るかもしれません。しかし3年後になったらびっくりするように伸びます。」眠狂四郎シリーズで剣豪作家として名を上げる前の柴田錬三朗に「あなたはここ半年の間に一大転機を迎えます。」社会党を出て新党をつくろうとする西尾末広には「これは成功します。断固としておやんなさい。」日米安保条約を通そうとする首相・岸伸介に「断固おやんなさい。通ります。その代わりに、通ったあとあなたの内閣は長く持ちませんよ。」藤田観光社長・田中雄平、巨人軍監督・王貞治、トヨタ自動車社長・豊田章一郎、日本船舶振興会会長・笹川良一、国際興業の創業者・小佐野賢治らから贔屓にされる東亜子の占いは評判を呼んで大繁盛、東亜子の自宅にまで政治家・経営者・芸能人が詰めかけます。

「普通の人間」
 クラブまたバーに出入りするようになった24歳の東亜子は、母親の反対を振り切って、高利貸しのプレイボーイ・夏目竜吉と結婚。衆議院議員・細川隆元とその妻に仲人を頼みます。「私には2面ある。霊感のある私と、普通の人間、女としての私。女として惚れたから結婚します。しかし結婚しますが必ず失敗します。」1年ぐらいで離婚すると、三菱地所の熱烈な勧めでシャワーやバスタンクを2階に整備した地上サウナ「有楽サウナ」を東京の有楽町駅前ビルで始めます。「私はちょうど30歳。宿泊ホテルの部屋番号は831号。火災発生が43年3月13日12時30分。有楽サウナの株主30人。私が3という数字に弱かったのは何かの因縁なんです。」火災で3人の焼死者を出した東亜子は過失責任がないとして遺族への見舞金ないし慰謝料を拒否しますが、業務上過失と業務上過失致死で禁固10ケ月執行猶予2年の有罪判決を受けます。「本名の東亜子にもどって自由に人生を送りたい」東亜子はハワイに渡って結婚します。「自分の運命も判断できないのに他人を判断するのはおかしい」「神通力を失ってすっかりただの人に成り下がった」マスコミに非難されるも、年配有力者たちの盛りたてでハワイと東京に経営コンサルタント会社フジタ・インターナショナル・エンタープライズ・コーポレーションを設立します。

「アメリカニューズウィーク誌と1974年の予言」
 昭和天皇との単独会見を果たしたアメリカニューズウィーク誌東京支局ジャーナリストのバーナード・クリッシャーとの対談記事で東亜子は1974年を予言して再び注目を集めます。「石油不足問題は一般に言われるほど大問題ではなさそうです。」「田中角栄首相は1974年半ばで突然予想もできなかったハンディを負うことになります。国内的トラブルで死命を制されます。」「福田赳夫が引き継いでも短命でしょう。」「中曽根康弘は指導性に欠けるようです。」「アメリカと中国のイデオロギーの対立が浮き彫りになるでしょう。中国の外交は二面性を持ってくるようになり、口では正しいことを言いながら、行動では違うことをやるのです。」「中東情勢は今後の世代に持ち越されます。アラブ諸国の運勢は良くなりますが、自信過剰で内部抗争が起ります。」「日本では大地震があるでしょう。」「ニクソン大統領は任期を全うすることは難しいようです。」「ヘンリー・キッシンジャー国務長官は、輩下を巻き込む事件、新しいポスト、女性問題でつまずきかねません。」「テロは悪化していくでしょう。ハイジャッカーが乗客もろとも飛行機ごと爆破することが起こるのでは。」「フランス大統領ジョルジュ・ポンピドゥー、そして韓国大統領・朴正煕は年の半ばにして彼の運勢は突然途絶えます。」「要領のいい人はカネを儲けます。」

「戸籍の秘密」
 東亜子は経営コンサルタントとして日本とハワイを忙しく行き来して、政治家や経営者の相談に乗ります。「社運というものは社長自身の運に大いに関係します。」56歳のときにハワイホノルルの高層マンションの自宅クローゼットで胸を銃弾で打ち抜かれた状態で発見されます。一人息子・吾郎も近くのホテル駐車場で炎上する車中で胸を銃弾で打ち抜かれた状態で発見されます。帰国前に東亜子の貴金属を現地質屋に持ち込んでいた2人の知人である福迫雷太容疑者がアメリカで起訴され、日米犯罪人引き渡し条約に基づいて米国に引き渡されます。そして20年後、犯行を否定し続けながら、ハワイの刑務所で終身禁固刑に服役していた福迫は同じ雑居房の男性受刑者によって刺殺されます。この事件の最中に、東亜子の実弟・藤田洋三が手記を発表して世間を騒がせます。かつて戸籍上の父親に東亜子と一緒に誘拐同然にさらわれると、めいめい異なる女性に戸籍上の母親として育てられ、同じ境遇のたくさんの子供たちと犯罪まがいの片棒を担がされたというのです。「私ってホントに人間がすごく好きなんでしょうね。いったん知り合いにあると男でも女でも心を開いて、深くおつきあいしちゃうの。」

-『幸運への招待』(藤田小女姫 著 / 産経新聞出版局1960年)
-『藤田小女姫の最後のメッセージ―死の直前に披瀝した運の恐さ』(藤田小女姫 著 / 文化創作出版1994年)
-『隆元のはだか交友録 : 時事放談こぼれ話 改訂』(細川隆元 著/
山手書房1983年)
-『インタビュー : 天皇から不破哲三まで』(バーナード・クリッシャー 著 /サイマル出版会1976年)
-『東亜子と洋三 藤田小女姫の真実』(藤田洋三 著 / 出版研2004年)

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