見出し画像

Happy Women's Map 東京都 ユダヤハシディズム共同体の初撮影者 にしお ちえ 女史 / The First Photographer of Hasidic Judaism, Ms. Chie Nishio

-Samuel G. Freedman, "Brooklyn’s Lubavitch Community: A Culture Captured by the Ultimate Outsider" New York Times, Nov. 28, 2014

「人々に他の集団を理解してもらい、もっと敬意を持ってもらいたいのです。」
"I want people to understand other groups and have more respect for them."

にしお ちえ 女史
Ms. Chie Nishio
 1930 -     
東京都 生誕
Born in Tokyo-to

にしおちえ女史は、1990 年代初頭にニューヨークのブルックリンでルバヴィッチ派・ハバッド派のユダヤハシディズム共同体の日常生活を初めて記録した報道写真家です。
Chie Nishio was the first photojournalist to chronicle the lives of the Lubavitch-Chabad Hasidic Judaism in Brooklyn, New York, in the early 1990s.


「報道写真家」
 
ちえは鉄道整備士の娘として誕生。第二次世界大戦で荒廃した東京で育ちます。両親と気が狂いそうになる差別をうけながらも、大学に行く余裕がなかったためOLとして働き始めます。1960年代初頭、30代になってから写真専門学校を見つけて入学。そこで報道写真に夢中になります。男性の職業であったこの仕事で成功しようと奮闘するちえは、通信社の速報ニュースに写真を採用してもらえるように、東京オリンピックや中国の文化大革命など大きな出来事を取材して撮影します。大恐慌を記録したアメリカ人報道写真家ドロシア・ラングの作品に感銘をうけたちえは、1969年に渡米してニューヨークマンハッタンのダイヤモンド地区近くに引っ越します。毎年ニューヨークのギャラリーで作品を発表しながら、そこで彼女は「長いあごひげを生やし、黒い帽子をかぶってロングコートを着た」正統派ユダヤ教徒の男性たちを見てから、彼らに興味を持つようになります。

「ユダヤ人コミュニティー」
 やがて彼女は、コロンビアに正統派シナゴークを創設した移民のラビを曽祖父に持つユダヤ人作家ジェームズ・トレーガーと結婚。ますます正統派ユダヤ教、ニューヨークのユダヤ人コミュニティーに興味を持つようになります。無神論者の夫は信仰派の家族と分裂しているため、ちえが満足する情報を得ることができません。そこで、ウィリアムズバーグの正統派コミュニティーの写真を撮ろうとしますが、誰ともコミュニケーションが取れずにうまくいきません。友人の勧めで、部外者に対してオープンでフレンドリーなクラウンハイツ、チャバド派またルバビッチ派コミュニティーをたずねます。そこでは杉原千畝の通過ビザで渡米してきた人達が日本女性のちえに好意的で、自宅に招待し話しかけてくれます。何年もかけて粘り強く交流を深めるうちに、路上で遊ぶ子供たちから、宗教儀式、親密な家族の集まりまで、コミュニティの生活を広く撮影する機会を得ます。  

「歴史の証人」
 まもなく仕事をやめて夫の長い闘病を支えるうちに20年が慌ただしく経過。夫を見送って数年後、大切に保管してきたクラウンハイツで撮影した写真の展覧会を企画します。「私にはまた時間がある。私の時が来たのだ。」ブルックリン公共図書館で、家族、学校に通う子供たち、結婚式、正式な肖像画、儀式など、ハシディズム派ユダヤ教徒の日常生活の様子を白黒写真200 枚を展示します。日本女性として自分もアメリカで誤解されることが多かったとしながら、「私は人々に彼らが誰であるかを知ってもらいたいのです。」最後のルバビッチ派ラビの晩年を含め、歴史の証人として関心が寄せられる中、90年代初頭のクラウンハイツ暴動*は描かれていないと指摘されると、ちょうどニューヨークを離れていて立ち会っていなかったとしながらも「私のポイントでも写真の焦点でもない」。「人々に他の集団を理解してもらい、もっと敬意を持ってもらいたいのです。」

*クラウンハイツ暴動:
ユダヤ教超正統派ハシディーム派の指導者が運転する車に、黒人の少年が舗道ではねられ、現場へ急行した同派の救急隊が宗教上の理由からけがをした運転手のみを救出、少年は後続の救急隊によって病院に搬送され死亡。不満を募らせた黒人住民らはデモで抗議、その渦中でハシディーム派の学生が刺殺され、3日間にわたる大規模な民族間暴動へと発展。

-Samuel G. Freedman, "Brooklyn’s Lubavitch Community: A Culture Captured by the Ultimate Outsider" New York Times, Nov. 28, 2014
-"View From Within: Photos Documenting Chassidic Community"Chabad Org News Oct. 14, 2014

Happy Women's Map
Happy Women's Map

Share Your Love and Happy Women's Story!
あなたを元気にする女性の逸話をお寄せください!
Share your story of a woman that inspires you!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?