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なぜこのセトリとこのコラボだったの?|もう一度楽しむためのジャ二フェスレビューvol.1
2022年7月6日にジャニフェスのDVD・Blu-rayが発売され、松本潤さんの演出についての記事をたくさんの方にお読み頂きました。
前回の記事で、「ジャニーズエンターテイメントをエモーショナルにアップデートしていくのが松本潤の演出」と書き、具体的な「エモいシーン」としてKinkikidsのコーナーをピックアップしましたが、実はもっともっと散りばめられています。
今回の記事は、より具体的なアーティストごとや曲ごとのレビュー。
グループやコラボのエモさを解説しながら、そのグループが最も輝くシーンを演出してきた演出家・松本潤の全てを暴いていきます。
「ジャ二フェス買ったけど自分の推しグループのところしか見てない」
「松本さんの演出が好きだけど他グループのことを知らなくてもどかしい」
そんな方々はぜひこれを手元にお楽しみください。
無駄がなく、意味のある100点のセットリストとグループコラボ
徹底した下調べを基に考案されたセットリスト
まず注目したいのはやはりセットリスト。どのツアーでも言えることだが、セットリストの完成度はコンサート全体の完成度を左右する礎ともなる部分。
いくら豪華な演出をしても観客が喜ばない曲ではその魅力も半減してしまう。
今回は1グループあたり3曲。内2曲はグループ単独で歌唱し、内1曲は別のグループとのコラボ曲。14組のアーティストたちが持つ多くの楽曲たちからどれをピックアップするのかが肝となった。
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松本は開催直前の2021年12月30日に更新された自身のブログで今回の演出について少しだけ触れている。
「ここ数か月、13組のアーティストの曲をいっぱい聴きました。それぞれのグループの個性、メンバーとの関係性やファンとの関係性、大切な曲とか。色んな勉強をしまして、その上で創らせてもらいました。時間はあまりなかったけど、スタッフ一丸となって作りました。」
これらの勉強をしたうえで練られたセットリストは観客をみごとに魅了した。
デビュー順に並べたオープニングとなにわ男子への特別扱い
登場順はデビュー順となっている。1人1人顔のアップに合わせて名前がわかるようになっているのも後輩想いな松本さんの演出の仕業。
歌唱曲はグループを象徴する代表曲。1曲ずつのスピード感が重視され通常音楽番組で歌唱するよりも短く編曲されている。まずは手始めのご挨拶という感じ。
13組が出揃い、最初の挨拶を終えた後に、開催前月にデビューしたなにわ男子の登場。ここでは彼らのプロデューサーも務める関ジャニ∞大倉が曲フリを担当する。
それと同時にはじめて大型スクリーンを目一杯に使用する。ステージいっぱいに広がったLEDの画面になにわ男子7人の顔と名前が大きく映し出される。丁寧な準備と紹介タイム。
さっきまで何十人ものジャニーズを一気に前にしてアワアワしていた観客の高揚感は一気になにわ男子に集中させられる。「ここからまた始まるんだ」と気持ちの準備をさせる。
紹介されてセンターから出てこればいいだけの話を、そうはしないのが松本潤。この映像の数秒のためだけに、デザイン・衣装・撮影・編集・スケジュール調整など、多くのプロの仕事が詰め込まれている。
純白の映像から、曲と同時に真っピンクに包まれたなにわ男子の登場。
実はこの真っピンクの衣装も松本潤からのプレゼント。「大きなドームでも目立つように」とTV番組できてきた淡いピンクの衣装から濃いピンクの衣裳に変更。
はじめてなにわ男子を知った人でも、彼らが「ピュアでキラキラした7人組」ということが一瞬で頭に焼き付く演出だった。デビュー直後の彼らに用意する大きな舞台として、気合を感じた一幕だった。
■Ride on time予告
(本編では・松本が直接なにわ男子に演出をする様子(声のみ)/ピンクの衣裳の裏側(なにわ男子・長尾が説明)がよくわかります。)
歴史がわかるとさらに面白いグループのコラボ
各グループのコラボにも意味がある。このコラボじゃなきゃダメなんだ。その背景を知ると、よりジャニフェスを楽しめます。
2000年代後半のジャニーズJr.を引っ張ってきたKis-My-Ft2×ABC-Z
ジャニーズJr.時代、この2組は共同でコンサートを開催したり、「少年たち」という舞台で共演してきた。時代を共に切磋琢磨した戦友。
2000年代後半のジャニーズJr.を共に引っ張ってきた2組としてジャ二フェスでの再会はまさにエモーショナル。
Kis-My-Fr2の楽曲でありコラボ曲「kiss魂」の冒頭で2組のVS構造が描かれているのもそんな時代からのインスピレーションかもしれない。
最終的に合致しスクラムを組んだような2組はABC-Zの楽曲「Brack suger」をコラボ。30代に突入している2組の大人セクシーを感じる曲となった。
属性が似ているKAT-TUN×SixTONES
SixTONESはその見た目の治安の悪さや歌唱力からジャニーズJr.時代にKAT-TUNの曲をカバーすることが多かった。その中の一曲が「ハルカナ約束」
KAT-TUNとしても長年歌い続けられてきた大切なこの曲をSixTONESを迎えて歌唱。
これらの歴史を踏まえて、KAT-TUN上田とSixTONES田中で歌唱するラップで見せる田中の弟のような少年性を見せた表情に注目。
魅せるための笑顔じゃなく、自然に綻ぶような笑顔。
それを引き出したのも演出の妙。
■SixTONESのKAT-TUN曲カバーが観れるライブDND(THE D-MOTION/RIGHT NOW/喜びの歌/WILDS OF MY HEART/Lovin’ Uなど)
青春時代をバックで過ごしていたNEWS×Hey!Say!JUMP×SexyZone
ワールドカップバレー公式サポーター組の3組。共通点でいえば「バレーボール」が挙げられるが、デビュー前のHey!Say!JUMP一部メンバーがNEWSのバックダンサーをしていたり(「Never Ending Wonderful Story」2007年)デビュー前のSexyZone一部メンバーがHey!Say!JUMPのバックダンサーとして活動していたりと、縦のつながりを感じる3組。
■Hey!Say!JUMPとSexyZoneの歴史がわかる映像(「#134【歴史】卍が卍になった訳!」3:00〜ジャにのちゃんねる)
SexyZoneの菊池は初仕事がHey!Say!JUMPのコンサートだったと語っている。個人的な思い入れも含めてHey!Say!JUMPの楽曲で3組のコラボ曲であるWHITE LOVE歌唱後の「WHITE LOVE最高~」に繋がるわけだ。
若手としてジャニーズを引っ張っていくKing&Prince×Snow Man
デビューはKing&Princeが先だが、歴はSnow Manの方が長いという関係性の2組。Jr.時代、追い越せ追い抜けでやってきた2組は今やジャニーズ事務所の人気や売り上げを背負うトップレベルの2組となった。性質こそ異なるが、ジャニーズの「ダンス」をアップデートしていく2組ならではの演出がかかっていた。
コラボ曲「シンデレラガール」歌唱前、0時を知らせるかのような鐘が鳴る。この鐘が場の空気を変える。観客を集中させる。
そしてシンデレラガール冒頭のKing&Prince平野とSnowMan向井の歌いだし。この2人は2012年ごろ関西Jr.で同じグループとして活動していたことがある。10年のときを経て東京ドームで再会。エモポイント。
SnowManの楽曲であり、コラボしている「君の彼氏になりたい。」では2組の高いダンススキルを楽しめるコラボとなっている。松本さんがこれまで嵐の演出で用いてきた、後半前の連続ダンスナンバーコーナーを彷彿させる繋がりと完成度。
エネルギッシュとフレッシュと貫禄と。関ジャ二∞×ジャニーズWEST×なにわ男子
関西デビュー組勢ぞろい。関ジャニは父、WESTは兄、なにわは弟。もはや家族的な関係性を感じる。
ジャニーズWESTの「証拠」と関ジャニ∞とのバンドコラボは、まさにここでしか見れないコラボだった。
関西セクションでは松本の演出の色味が抑えられている。「アーティストが最も輝く演出」をする彼のスタンスがよく表れている。ガチガチに決め込まず、自由に伸び伸びと楽しそうにパフォーマンスをする3組に見ている観客もつい笑顔になったことと思う。
さすが、5×20ツアー作成時に「大野さんのダンスを魅せる」ための演出にこだわっていた人だ。
レジェンドKinkikids
嵐の演出といえば、オーケストラコーナー。国立競技場やドーム公演など、幾度となく松本はオーケストラを動員してきた。
■ARAFES NATIONAL SUADIUM 2012 1:34:26 OneLoveなど
松本にとって「ここぞ」という曲のときに使うこのオーケストラコーナー。ジャ二フェスではKinkikidsで投入。これが彼のリスペクトの表れだ。
ジャ二フェス終了後、Kinkikidsのファンからは演出面以外での松本への感謝が多く見受けられた。
理由はその堂本剛への配慮。
Kinkikidsの堂本剛は左耳に突発性難聴を抱え現在も完治には至っておらず最大限の配慮の元、活動している。大きな会場で派手な特効なども使うだろうと想定されていたジャ二フェスにおいて、公演前から堂本剛の体調を心配するファンの声が上がっていた。
ジャ二フェスにおいてKinkikidsは前半は一切登場せず、後半のみの登場となっていた。
デビュー25周年のKinkikidsへのリスペクトが込められているのはもちろんだが、大きな音を使っていた前半に登場させなかったのはこういった配慮もあってのこと。
心配していたKinkikidsファンは安堵したように松本への感謝を述べていた。
そしてKinkikidsセクションではジャニーズJr.で唯一出演したTravisJapanがバックダンサーとして登場。ジャニーズJr.一の実力者としてジャニフェスに招かれた彼らは、その3ヶ月後修行と題し渡米した。
そして渡米して4ヶ月後の7月、彼らはアメリカの公開オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント(AGT)」からオファーが来たことで出演し、パフォーマンス後観客からスタンディングオベーションを浴びていた。
ジャニフェスで着ていた衣装と同じ衣装で彼らは今アメリカの舞台に立っている。
◼︎TravisJapan performs”My dreamy Hollywood”and Dazzles the crowd | AGT2022
Vol1として、まずはセットリスト・コラボについての記事を執筆しました。
改めて書き出していくとキリがないほどのこだわり。
Vol2では、「神と松本は細部に宿る」と称して、各セクション(カメラ・映像・ライティングなど)のこだわりについての解説記事を執筆予定です。
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海瑠‐uru‐ | フリーランスライター・インタビュアー
日本のドラマ・映画を中心としたエンタメ記事を執筆。
ヒトやモノのこだわりを見つけ出す・聞き出す記事を書いています。
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