選択

女同士のつきあいは本当に難しい。
もうこれは古来からいろんな人が語ってきていることだろうが、私も言いたい。

30代も後半にさしかかると、昔から仲の良かった友人たちも、人生の持ち物がそれぞれ異なってくる。
彼氏のいない独身、いる独身。
子どものいない既婚、いる既婚。
子どもがいて専業主婦、子どもがいて共働き。
違いを言い出したらキリがない。

私は、自由な既婚者だから、独身の子とも遊べる。きちんと夫に言ってさえおけば、夜遅くまで飲んで帰っても平気だ。子どもがいる既婚者たちと遊ぶこともある。子どもが走り回るような集まりは賑やかで楽しいけれど、少し疲れを覚える。つきあいの形も、お互いの立場で変わってくるのだ。

独身の親友と二人で飲んでいた時、彼女がふと漏らしたことがある。
「皆、旦那とか子どもの愚痴を言ったりしてるけど、私からしたら、結婚できただけいいじゃん、って思うもん。文句言うなよ、ってさ。」
普段人をひがむような発言はしない子だ。私にだから話せた本音なのだろう。

でも、こういう想いってきっと女性なら皆持ってる。
子なし既婚者は、子どもがいる人が羨ましい。だが反面、子どもがいる人は、独身者や子なし既婚者の自由な暮らしぶりや贅沢な海外旅行、仕事での活躍を羨ましいと思っているかもしれない。子どもが一人いる人でも、二人三人いる家族を羨ましいと思うかもしれない。
結局、皆、自分が選択していない道を歩む者への憧憬を捨てきれないのだ。

男性も同様かもしれないが、大きく異なる点がひとつ。女性には子どもを産めるタイムリミットがある。それゆえ、30~40代の女性は人生の選択肢を突きつけられ、悩み、もがく。他の女性が何を選択したのか、それを自分と比較して、また葛藤。

女性同士の付き合いが難しいのも、そのせいだ。
自分と異なる選択をした女性には本音を言えず、徐々に距離を置いたりしてしまう。

今回、私が経験した妊娠・流産も、ほとんどの女性の友達にはまだ話していないが、どう思われるのかを気にしている。特に、妊娠が分かったとき、前出の親友にはなんと言おうか、少し悩んだ。喜んでくれるだろうけれど、本音の部分では孤独感を味あわせることになるのではないか、と心配した。そんな風に思うこと自体、上から目線で、自己嫌悪する。

一方で、そんな気遣いの要らない、仲のいい男性の同僚MくんやSちゃんに、話すのは全くためらわなかった。彼らは妊娠を我が事のように喜び、今は私の体の心配をしてくれている。二人とも、仕事を休む私に電話をくれて、いつものように笑わせてくれた。それがどれだけ救いになったことか。

気楽につきあえる男友達、葛藤を抱えても心を寄り添いあいたい女友達、私には両方が必要だ。
めんどくさくても、難しくても、手放せないもの。淘汰されない友情をこれからも大切にしていきたい。

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