8月④エリザベスタウン
エリザベスタウンとは、アメリカ・ケンタッキー州の田舎町の名前だ。
そう聞いただけで、「どこだよ!?どうせ一生行かないわ。」とほとんどの日本人が思うであろう、この町。
先月、通り過ぎたのである。
まったく、人生何が起こるか分からない。
夫のアメリカ長期出張(2ヶ月)にかこつけて、私も1週間アメリカに行ってきた。
夫の出張先は、同じくケンタッキー州のルイビルという街。ここは、州の中で一番大きい街で、ケンタッキーフライドチキンの本社があり、今年亡くなったモハメド・アリの生誕地でもある。以上が、ルイビルの情報のほとんど全てである。つまり、めぼしい観光地など期待できない、地方都市。
そのルイビルから、車でマンモスケーブ国立公園という観光地へ向かう途中で通り過ぎた町、エリザベスタウン。
もちろん、ハイウェイで通り過ぎただけだから、市街地は見ていないけれど、おそらく何もない田舎町だろう。
マンモスケーブ国立公園付近の、絶望的な田舎ぶりを見たから、なんとなく予想できるのだ。
私だって超田舎に住む者として、いや、だからこそ言う。こんな所に生まれたら、間違いなく、ニューヨークやロサンゼルスに出ていく。そのために必死で勉強する。
広大な国土のせいか、都市との隔絶感が日本より大きく感じるのだ。
前置きが長すぎたが、今作はそんな縁もあり、借りた2005年の映画。そんなにヒットしてないし、内容的にも地味。でも、主演がオーランド・ブルーム、ヒロインにキルスティン・ダンスト、さらにスーザン・サランドンも主人公の母親役、と出演陣は豪華だ。
会社に大損害をもたらす失敗のせいでクビになり、自殺しようと思っていたオーランドが、急逝した父親の故郷、エリザベスタウンで再生の道を歩み始める、という物語。
オーランドを逆ナンするCA役のキルスティンが個性的でカワイイし、小ワザが効いて笑えるポイントもあるし、そこそこいい映画。
でも、たぶん、普通の人は私ほどには楽しめないと思う。
何しろ私が楽しんでいたのは、オーランドがルイビルからエリザベスタウンへレンタカーで向かうハイウェイの道中や、オーランドが滞在したルイビルに実在するホテルなどを、現地から持ってきた道路地図とグーグルマップを駆使して、見つける作業だからだ。
上は、実際ハイウェイ65号線を走った時の写真。
周り、哀しいほどに何もない。
また、オーランドが従兄弟の家でバーボンを飲むシーン。ルイビルで年一回行われるケンタッキーダービーの記念コップが棚に陳列されており、その中から2つ選んでバーボンをつぐ。
まさにその記念コップを、夫がお土産に買ってきていたから、「おっ、コレ」と分かった。
ケンタッキー州に行った経験があったからこそ、この映画を非常に楽しめた。
なんか、得しちゃった気分♪
ただ、ケンタッキー州に行っていない人が、今さらこの10年前の映画を手にとるかどうか…うん、それは疑問だ。
ちなみに、バーボンとは、コーンを原料としたウィスキーで、ケンタッキー州で生産されたものに限定されているらしい。
そんな事も、ケンタッキーに行かなきゃ知らなかったぜ!
どんな田舎町にも楽しめるポイントはある。
無駄とは思わず、行ってみよう。