12月①殿、利息でござる!

仙台藩にある貧しい宿場町で本当にあった話。
お金に困っている殿様(藩主)にお金を貸して、その利息を宿場町の「伝馬役」というお役目の負担に充てようという。お金というのが、今の価値で3億円だから、町の有志数人で協力して出し合うことになる。
その顛末を描く本作。

映画のポスターなどのビジュアルから、阿部サダヲがクセの強いキャラを演じるコメディかと思っていたから、その真面目な内容にもう予想を裏切られた。悪い意味ではなく。阿部サダヲは好きなんだけど、「謝罪の王様」でお腹いっぱいだよ、と食傷したトラウマがあり、今回も若干不安だったのだ。

しかし、それはまったくの杞憂に終わった。
真面目な内容、しかも実話で、阿部サダヲ演じる主人公も、滅私奉公精神の強い立派な方!幼い頃に養子に出されたため、実家の造り酒屋を継いだ弟と亡き父親に対して複雑な想いを持つ、という難しい設定でもある。

お金を出し合う面々も、発案者の瑛太、阿部の弟の妻夫木聡、自己顕示欲の強い西村雅彦など、芸達者で個性的な俳優ばかり。町の酒屋の女将は、竹内結子だし!阿部と妻夫木兄弟の母親を、草笛光子が演じているのも、真田丸を見ているものからすれば、うおぅ!!となる豪華さだ。

俳優のことばかり書いてしまったけれど、ストーリーもコメディタッチでありながら、きちんとカタルシスも感動もあり、とても良かった。
江戸時代に、こんなに立派な行いをした人たちがいること、もちろん知らなかった。歴史上の人物、でなくても、その地域の人々にとっては遠くの将軍や大名なんかよりずっとヒーローであっただろう。そんなヒーローが自分の故郷に実在していた、ということだけですごい誇り。うらやましい。

現代も、政治家がこういう志を持っていれば、公費でホテル三日月に行こうだんなんて、思いつきもしないだろうし、自分の親友の娘の裏口入学に手を貸したりしないだろう。現実は厳しい。

ちなみに、作中の宿場町、どこかで見たことあると思ったら、勇者ヨシヒコシリーズで出てくる村と一緒!ヨシヒコ目線で見てしまうと、うっかりホトケやスライムが出てくるような気がしちゃうから要注意。

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