近所の家に、幽閉された姫がいる。
彼女は、いつも窓際にいて、外を悲しげに見ている。
悲しげで、とは私の主観が入っているかもしれない。でも、その姿にはどことなく高貴な雰囲気が漂う。
幽閉されたお姫様のようだ、と言い出したのは夫。
私も通勤時に見かけて、あ、猫がいる、と思っていたのだが、夫にそれを言われてから、本当にそんな姫のように見えてきた。
彼女が窓辺にいない日もある。
そう、高貴な姫は簡単にはそのお姿を見せてはくれないものだ。
そんな日は少しガッカリする。
幽閉。
この単語、現代日本においてはもちろん現実的なものではないけれど、付けると一気にミステリアスな雰囲気を帯びる。
週末は、家にこもりがちな私。
これからは、幽閉されてるの、と伏し目がちに言ってみようか。
いや、ミステリアスどころか、精神状態を心配されそうだから、やめとこう。