3月②高台家の人々
人の考えを読めてしまうテレパスな男と、コミュ障のせいで妄想が激しい女子のラブストーリー。
いかにも漫画って感じだ。
それでも、心情描写が上手いせいなのか、わりと感情移入して観られた。綾瀬はるかがモサくてモテない、という設定は無理があると思うが、彼女のようになかなかのレベルの不思議妄想をしていたら、どんだけかわいくてもモテは厳しいのかもしれない。
しかし、そんな不思議妄想のおかげで、テレパスな斎藤工とすんなりつきあえてしまう。もちろん、本人は妄想のおかげとは知らずに。
付き合いが深くなり、テレパス能力を知った綾瀬はるかは本当に彼と添い遂げられるのか、思い悩むようになる。いつもたいしたこと考えてないんだから、自信持てよ!と言いたくなる。
私だったら、煩悩とかめっちゃ多いし、基本的に毎日脳内で毒吐いてるし(時々漏れ出す)、絶対ムリだ。斎藤工に、幻滅されながら素通りされるタイプである。旦那がテレパスでなくて、マジで良かった。
斎藤工にテレパス能力を遺伝させたのが、彼のイギリス人の祖母。マッサンのあの女優さんが演じている。留学生だった祖父と恋に落ち、イギリスの貴族だったのに、駆け落ち同然で日本へやってきた。祖父は祖母のテレパス能力を承知の上で、生涯彼女を愛し続けた。何気に、彼らのエピソードが胸を打つ。
人の心を読めてしまう、というのは、本当に不幸だ。知らなくてもいいことが世の中にはたくさんある。
たとえば、なにかに誘われて、これという理由もないけど面倒くさいなという時、ちょっとした嘘の口実を作って断る、なんて、皆やってることだろう。それが分かってしまうのは、お互いにとって、不幸なことだ。
誘った方も、うっすら面倒なんだろうな、と感じ取りつつ、白黒はっきりさせないからこそ、人間関係は壊れないのだ。
それでも、そんな不幸をはねのけ、愛し合い、信じ合おうとする高台家の人々はとても真摯で素敵だ。応援したくなる。
私もこれからは脳内で毒吐く前に、相手はテレパスかもしれない、と想像してみよう。
そしたら、少しは性格よくなるかも。
やっぱ無理かも。