悪者

仕事において、優しさは必要か。

今日、ある係長(3歳年上)が私に提出した書類に不備があった。私はそれを指摘し、顧客が作成したものであれば、次回以降注意するよう言ってください、と付け加えた。私はその書類を元に、顧客に代わって官庁に申告する仕事なので、ミスは許されないのだ。顧客にも咎が及ぶこともある。だから私はプロとして厳しくする。

その係長は、優しく人柄もいい。顧客に電話する声が聞こえてきたが、不備の訂正を依頼する際に「お手数ですが、よろしくお願いいたします。」と言っていた。いやいや、お手数って!そもそも不備のある書類作ったの顧客なんだから!いくらお客様とはいえ、正しい申告をしなかったら、後で困るのは顧客でしょ!そこ厳しめに指導してこそ、プロでしょ!と心で突っ込んだ。

顧客にとって、優しく、無理を言っても聞いてくれる、いい業者。そう思われているに違いない。
でも、そうやって自分がいい顔をすることで、社内で迷惑している人もいるし、顧客だって正しい方法を学べないのだから、結局損になるのではないか。
仕事における優しさは、甘さだ。その甘さが部下の自立や成長、顧客との真のパートナーシップを阻害している。
私はそんな風に思うが、彼は思わないのだろう。

彼に厳しく注意する私は、悪者。
顧客に優しくお願いする彼は、いい人。

周りからはそう思われてるかもしれない。
でも、それでも、私は私の仕事をするだけだ。
たとえ悪者に見えても、正しいと思ったことをするんだ。

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