フルマラソン後の子守
人生で2回目のフルマラソンを完走しました。
フルマラソンは、経験したことがない人でもおそらく想像できる人が多いと思うのですが、完走後はまともに歩けなくなります。
僕の場合、5時間半をノンストップで走り(ときどき歩き)ました。
普段なら絶対に我慢しないような痛みでも、その日というその日は我慢して走ります。
誰に言われたわけでもなく、誰が喜ぶわけでもなく、ただただ自分勝手に、己の体を痛めつけて足を前に出し続けます。
そんなこんなでなんとか走り終え、帰りは応援がてら遊びに来てた家族と合流しましたが、子どもを抱っこするのは妻の役目です。
いくら僕がイクメンパパであると言えど、今日の抱っこはママの約目。
マラソン後の僕よりも、妻が抱っこしたほうが子どもは遥かに安全だからです。
もっと正確に言うと、子どもは妻が抱っこし、ベビーカー(と、荷物)は妻の友達が押していました。
僕は自分のバッグだけです。
「なにあそこの旦那さん、子どもも抱っこしないベビーカーも押さない力仕事は女頼みで自分の荷物しか持たない、全然育児に参加しないで面倒なことは女に押し付けて自分のことしかやんない最低なクズ旦那なんじゃない?」と思われたかもしれません。
でも仕方ありません。僕は満身創痍でした。
下りの階段なんかまともに歩けたもんじゃありません。
足つぼマットの上を歩くようなもんです。
子どもを抱えた状態で足つぼマットの上を裸足で歩けますか?
家に着いたのは夕方でした。
すぐに息子をお風呂に入れます。
本当は今日ぐらい妻にお願いしたいところでしたし、妻もそのつもりだったのでしょうが、妻は家に帰ると発熱しており僕よりも辛い状態になっていました。
なんてこったい。
1時間ほど前までは間違いなく僕よりも元気だったはずなのに、今や僕よりも元気がありません。
夫婦そろって子どもを見る余裕がないではありませんか。
それでも子どものお世話は必ずしないといけません。
僕らは大人2人で子ども1人を見ます。
極稀に、このように大人2人が同時に体調を崩すこともあるでしょう。
でもだいたいはどちらか体調を崩してももう片方は大丈夫です。
もしくは2人で協力すれば、なんとか頑張れます。
でも、シングルの人たちって、自分が体調崩しても必ず自分が100%子どもの面倒を見ないとダメなわけですよね。
超大変じゃん。
なんて思いました。
お湯に浸かると疲れ切った太ももが癒やされるのを感じます。
でもそんなのをゆっくり感じている場合ではなく、最優先されるのは息子の体です。
息子の体を洗い、息子のペースで風呂から上がります。
すぐにでも寝込みたいに違いない妻はご飯の用意をしてくれていました。
ありがたいです。
あとはゆっくり休んでいてください。
僕は風邪とかではないのでまだ多少は無理が利きます。
発熱と筋肉疲労、どっちがキツイか知りませんが、多少無理しても問題ないのはたぶん筋肉疲労でしょう。
息子にご飯を食べさせたら歯磨きを済ませ、ちょっとぷらぷらさせてから寝かしつけます。
いつも通り抱っこで寝かしつけます。
抱っこして部屋の中をうろうろと歩きます。
足痛いです。
今日という今日は妻にお願いしたかったのですが、体調不良とあれば仕方ありません。
間違いなく僕のほうが無理が利く状態です。
幸いにも息子はすぐ寝てくれたので、ようやく僕はゆっくりすることができました。
マラソンは、ゴールをして終わりではありません。
いや、終わりっちゃ終わりなんですけど、そのズタボロになった体で家に帰らないといけません。
さらに僕の場合はそこから息子のお世話があったわけです。
面白いですね。
「マラソンきつかったよー帰って飯食って風呂入ってすぐ寝たわー」
というエピソードと、
「マラソンきつかったよー帰って息子風呂入れて飯食わせて寝かしつけたやったわーしんどー」
というエピソード、絶対後者のほうが面白そうじゃないですか。
マラソン走ったことのある人は腐る程いると思いますが、マラソン走って満足に歩けなくなった状態で子どもを抱っこして寝かしつけた人は、そう多くないのではないでしょうか。
僕はフルマラソンを走ったその日にいつもしている育児を妻に丸投げするような中途半端イクメンパパではありません。
僕はフルマラソンを走ったその日もいつも通りに育児をこなすマジイクメンパパです。
僕はフルマラソンを走ったその日に自分のことよりも妻の体調を気遣うイケメン夫なのです。
と、こうやって恩を売っておくのも、あとあと悪くないかも。
家族と一緒に暮らしている人は、マラソンを走るのに必ず家族の協力が必要です。
その日だけの話ではありません。
何か月も前からランニングをしますが、僕がランニングをしている間は息子のことはもちろん妻が見ます。
ランニングで疲れたらその日の家族サービスも悪くなります。
マラソンの日なんて1日使い物にならなくなります。
マラソンの日から3日間は筋肉痛でろくに体が動かせません。
マラソンの日から1週間ぐらいは風邪を引きやすくなります。
家族にとって良いことは1つもありません。
それでも応援してくれるのが家族です。
それでも日々支えてくれるのが家族です。
だから走れるのです。
1歳の息子が応援に来てくれてレース中にハイタッチしました。
最高じゃないですか。
素人パパランナーの憧れのシーンに違いありません。
「パパがんばれー」と言われてにっこりしているランナーがいました。
羨ましいです。
1歳の息子はまだそんな高度な言語を喋れません。
でも僕だって羨ましがられてもいいでしょ。
1歳の息子とハイタッチしたんですよ。
「マジ無駄な体力使ったわー」と妻には言いましたが、最高ですよ。
だから恩を売るとかそんなんじゃないです。
むしろどちらかというと「恩を返す」ですが、それも違います。
家族の愛です。
愛は見返りを求めません。って昔学校の先生に習いました。その通りだと思います。
筋疲労で何をしなくても足が痛む中、僕の腕の中で寝る息子の顔を見るのも、いいもんです。
(夫)
なんてこったい(ごめんなさい)
マラソン大会での息子の様子は、走ってるパパの姿を2〜3メートル前に発見!パパが視界に入るだけでニコニコの息子!パパに近づきたい息子を抑えるママ。
1番近くに来た時に息子はパパとハイタッチ!
息子はその日1番の笑顔!
パパが去っていき泣きそうな息子。
私はマラソンしている姿を見て格好良いと思ったり、相当な頑張りと思うけど涼しげな姿でサラリと完走する姿が頼もしく思うけど、今の息子にとってはパパが存在しているだけで嬉しい!楽しい!大好き!なんだよね。
生きてるだけで息子のヒーローなんだよね。
そして、大切な大切な息子と大切な愛犬をどんな時でも言葉なく任せられるのはあなただけです。
どうもありがとう。
(妻)