ねばーえんでぃんグソォとーりー
7月28日、29日、30日と某町で健診・検診業務があった。1日がかりの仕事であったため、ベーン(便)は
「愛する君の都合に合わせるよ」
と、3日間、音沙汰がなかった。
そして、7月31日の朝5時にベーンは私を叩き起こした。
「きのっぴ。もうダメだ。出てもいいかい」
そして、私の一人きりのネバーエンディングストーリーが始まった。
最初は風呂の栓みたいなバカでかいヤツがいて、私は自分の腹肉を雑巾でも
絞るように押した。
「それでも、かぶはぬけません」
子どもの頃に聞いた、『おおきなかぶ』の音読が耳元で聞こえた。
「うんとこしょ、どっこいしょ、それでもかぶはぬけません」
心臓も脳も圧力で破裂しそうな勢いである。心臓に持病のある私にとって
便秘は命取りだと医師にも言われている。目の前がチカチカ光り始めた。
完全に血圧は上昇している。一瞬、これで死ぬかもしれないと覚悟した。
あ、そうだ。前傾姿勢を取ったらどうだろうか。腹肉を雑巾絞りしながらつま先立ちで、前傾姿勢を取る私はもはや、宇宙ロケットのような気持ちであった。
「発射5秒前、4,3,2,1」
息も絶え絶えに出産は無事に成功した。
便が出る前に体重を計測しておいたのだが、600gのウ〇子が生まれた。子供の出産平均体重が2,000~3000g以下になっているいま、この4倍近い物質を腹から出している母の皆さんには、全く尊敬の念を禁じ得ない。
そして、話は続くのである。
このあと、1日かけて10回ほど止まらないグソォとーりーは続いた。もはやクソ袋と化した私はアイスとかき氷を食べ、とにかくすべてのベーンと別れを告げた。
お休みの1日、何をされていましたか?
と聞かれたらこう答えるしかない。「はてしない物語」の中にいました。