師走の断捨離
4月の引っ越し以降、段ボールに入れっぱなしになっていた荷物をようやく取り出した。
月日の経ったガムテープはまるで心に張り付いた瘡蓋みたいになかなか剥がれず、爪を立てて勢いよく剥がした。
その途端に、タイムカプセルのように、当時の記憶が蘇ってきた。
私には当時、付き合っていた彼氏がいて、一緒に同棲をする予定でいたのだが、いろいろあってダメになってしまった。
私が最後に残していた荷物は音楽を聴くためのミニコンポだった。
当時によく聴いたCDをかける。岡村孝子のアルバム。
そう、彼と初めて出会ったのも、ちょうど今頃だったと思う。12月のはじめ、私たちは初めてデートをした。その時に、古代にできたという地層のある滝を見に行った。
初めてのデートに似合わない山あり谷ありの場所で、彼と私は手を取り合いながら最終ゴールの滝に辿り着いた。
バンザイ!
と喜びのあまり両手をあげた私がバランスを崩して彼が抱きとめてくれたコントみたいな始まり方だった。
古代の神々が祝福してくれたような、自然の繋がりを感じられた出会いだった。あの日の輝きは一生忘れることはないだろう。