さよならのオレンジ
このオレンジ色が
今日で最後だとしたら。
わたしはどんな風に目に焼きつけるのだろう
誰の顔を思い出して
どんな時を思い出すだろう
瞬きのスピードで流れていく景色たちを
全て置いていく
一人で見るオレンジ色の時間は
思っていたよりも長く感じた
だけど、最後の時まで目を離さないでいた
すこし遠くにいた人も
同じようにずっと眺めていた
音楽が流れ出して
その人は自転車を走らせて帰って行った
空を漂うピンク色
座ったベンチの派手な檸檬色
静かにわたしを乗せた灰色の道
「さようなら」
聴こえない言葉を
一人、わたしは眺めていた。
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