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映画「竜とそばかすの姫」を観ました。
※ネタバレを含みますので、できれば観劇後にお読みになることをお勧めします
細田守監督のアニメ映画「竜とそばかすの姫」を観てきました。
賛否両論あるでしょうし、解釈は十人十色だと思いますが・・・
私は「心に傷を負った少女が、一歩を踏み出す物語」と受け取りました。
構造としては、
○ 映画「サマーウォーズ」では OZ と呼ばれていたインターネット仮想空間を、U としてグレードアップ。
○ 美女と野獣を、仮想空間に転生させる。ヒロインのアバターは Belle 。
○ ミュージカルでもあり、高知の豊かな自然との対比もある。
主人公の内藤鈴/Belle の声優さんは、ずいぶん歌が上手だなぁ~と思ったら、演じている中村佳穂さんは本職のミュージシャンでした!
となると、内藤鈴の引っ込み思案を、声とセリフで表現し切ったほうを感嘆すべきかもしれません。
主人公のお友達、別役弘香を演じているのは、幾田りらさん。YOASOBIのボーカル・ikura としてご活躍中。いっそ主人公でも良かったのでは? とも思いますが、そうするYOASOBIのミュージカル映画になってしまうかも。。
役柄としては、毒舌とインターネット技術で主人公をぐいぐい引っ張る大切な存在。
主人公のお父さんは、役所広司さん。映画「バケモノの子」では粗暴な父親代わりを演じていました。ところが本作では、娘に干渉しない、穏やかな役どころ。これだけ幅がある役柄を演じ分けるとは、さすが一流の役者さん。
合唱隊のおばちゃん5人。何気なく聴いていましたが、エンドロールを見てビックリ。ものすごく豪華なメンバーでした・・!
森山良子さん、清水ミチコさん、坂本冬美さん、岩崎良美さん、中尾幸世さん。この5人でスピンオフ作品が成立しそう。
<ここからは、さらにネタバレ注意です>
クライマックスに向けて、高知から東京に向かうシーンについて。
個人的には、虐待への介入は危険が伴うと考えます。加害者の暴力が介入者に向けられることがあり、その暴力は素手とは限りません。また、確率は低いかもしれませんが、被害者の怒りや恨みが、流れ弾のように介入者へ当たることだってあり得ます。
誰かを救おうとする気持ちは尊い。けれど、愛と勇気だけでは足りません。専門技術が必要です。
なので、女子高校生を1人だけで行かせるのは、かなりキケン。
重要な場面を本人に任せるとしても、戦(いくさ)の後衛のように父親、男子高校生、合唱隊のおばちゃんなどが「その気になれば、いつでも手を出せる」状態で控えていたほうがいい。
カウンセラー、ソーシャルワーカー、警察とも連携したほうがさらにいい。
・・・というのは、現実のお話し。
物語としては、かつて大事な人を亡くした少女が、誰かを助けるために勇気を出して1人で行動する。そのことに意味があるのでしょう。
音楽については、
常田大希さん率いる millennium parade
岩崎太整さん、Ludvig Forssell さん、坂東祐大さんが担当。
劇中歌では「心のそばに」が好きです(グッときました)。
サウンドトラックの完成度も高い。映像がなくても、音楽だけでも成立していますね。アッ○ルミュージックでダウンロードして、車のなかで聴いています。
見終わった余韻としては、素敵なミュージカル映画でした。
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