【将棋観戦】王将戦第四局、1日目。※追記あり
将棋八大タイトルのひとつ、王将戦。
渡辺明 王将(三冠)に、藤井聡太 竜王(四冠)が挑戦。
挑戦者の3連勝で迎えた第四局が、2022年2月11日に始まりました。
王将戦は2日制で、明日2月12日に決着がつきます。
もし挑戦者の藤井聡太 竜王が勝利すれば、五冠王の最年少記録を更新。
多くの人たちが藤井竜王を応援し、最年少五冠王を待ち望んでいることでしょう。ですが、ここではあえて、挑戦を受ける渡辺明 王将のサイドに立って、どんな工夫をしておられるのか読み解いてみたいと思います。
渡辺明 王将から見て、対 藤井聡太 戦は2勝11敗。通算タイトル獲得29期を誇る渡辺明 三冠にしては、大きく負け越しています。
将棋の戦いは、序盤・中盤・終盤に分かれます。
序盤 駒組み段階
中盤 駒がぶつかり、技をかけ合う
終盤 相手の玉将を討ち取る
藤井聡太さんは5人目の中学生棋士としてデビューした当初から、終盤が非常に強い。そしてここ2年ほどは、先手番の相掛かりもレパートリーに追加し、序盤の精度もさらに高くなっています。
ただし、藤井聡太さんは作戦を絞って深く探求していく、序盤についてはスペシャリストのタイプです。
先手番では、最近の戦型はほぼ、相掛かり。
後手番では、相手の戦法を受けて立ちます。ですが、先手が矢倉戦法の場合は、後手番では7二飛・7三桂の形で急戦に出ることが多い。
渡辺明 王将は、カド番の第四局で先手の矢倉戦法を選び、藤井聡太 竜王の後手7二飛・7三桂の急戦を狙い撃ちにしました。序盤の研究済みの局面では、持ち時間をあまり使わずハイペースで飛ばし、なるべく持ち時間を温存する。
そして、63手目の7四歩は(AIの局面評価値はほぼ互角ながら)おそらく藤井聡太 竜王が研究していないであろう、盲点になりやすい手を選んでいます。藤井聡太さんの研究を外し、泥沼に引きずり込むような指し手。
1日目が終わった時点で、渡辺明 王将の持ち時間残りは5時間7分に対して、藤井聡太 竜王は残り4時間3分。1時間ほど差をつけています。
たがいの玉を詰ますか詰まされるかの終盤戦で、藤井聡太さんは非常にミスが少ないことで知られています。その終盤戦に備えて、渡辺明さんは持ち時間を多めに残しておこうという作戦なのでしょう。
王将戦第四局の2日目がどうなるのか、それは明日2月12日になってみないと分かりません。
しかし1日目の時点で断言できるのは、渡辺明 王将はカド番に追い込まれつつも、やれる限りの準備をして、作戦を練って実行に移していることです。
今後の勝敗はどうあれ、やれる限りのことをして対局に臨んでいる姿が、そこにありました。
※追記※
2022年2月12日、王将戦第四局の2日目が始まってすぐ、渡辺明 王将の指し手にわずかなミスが出ます。ここで少し、形勢の針が挑戦者の藤井聡太 竜王に傾きました。
そこから徐々に有利を拡大し、藤井聡太 竜王が王将戦第四局に勝利。四連勝で王将位を奪取。史上最年少の19歳6ヶ月で五冠王となりました。
将棋観戦を長らく続けてきましたが、今の藤井聡太さんほど指し手の精度が高い人類を見たことがありませぬ・・・
時代の移り変わりを、目撃しております。
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