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‟補助金の法律”知ってますか?|中小企業診断士
皆さん、こんにちは!ようしゅう|中小企業診断士です。
本日のメンバーシップ特典は、かなりマニアックな内容をお届けします。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、中小企業省力化投資補助金などなど…
ここ数年間で補助金ビジネスを取巻く環境が劇的に変化し、「何か設備投資する際には補助金が利用できないか調べましょう」というのが通常運転になりました。
「色んな補助金が出てきたよねぇ」と思う今日この頃ですが、実は補助金って法律に基づいて支給されていること知っていましたか?
法律ですので、違反してしまうと世の中に社名が公表されたり、刑事罰を受けるケースなどもあります。
そこで本日は「知らなかった」では済まされない補助金の法律についてお伝えします。
その名はズバリ「補助金適正化法」
色んな補助金の基(根拠法)になっているのが「補助金適正化法」と言われる法律です。
正式名称を「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」と言います。
この法律が施行されたのは昭和30年です。
実に69年も前になりますので、相当古くからある法律ですね。
そもそも補助金適正化法とは、どのような法律なのでしょうか?
(この法律の目的)
第一条
この法律は、補助金等の交付の申請、決定等に関する事項その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定することにより、補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする。
第一条にはこのように記されており、簡単にいえば「補助金の適正な活用」について定められた法律です。
なぜこのような法律があるのかというと、それは補助金の原資が「税金」であるからです。
国や県などの公共団体が補助金を支給するということは、当然、国民や県民から徴収した税金から捻出されている場合がほとんどであり、その使途は明瞭かつ清廉であることが求められます。
税金が特定企業の私腹を肥やすために使われたら非難の声があがりますよね?
![](https://assets.st-note.com/img/1728313987-2K1dv8wOVW4H7IigbU5YhSAt.jpg?width=1200)
そのためにちゃんとしたルールに基づいて補助金を支給しようねというように設立されたのがこの法律です。
60年以上の歴史の中で何度か改正がなされていますが、電子申請を認めたり、財産処分の一部承認など補助金の活用を促すものも多いです。
補助金の用途は必ず守らなければいけない
補助金の公募には必ず利用目的が定められており、支給が決定された場合には利用目的を守らなければなりません。
第十一条
補助事業者等は、法令の定並びに補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件その他法令に基く各省各庁の長の処分に従い、善良な管理者の注意をもつて補助事業等を行わなければならず、いやしくも補助金等の他の用途への使用(利子補給金にあつては、その交付の目的となつている融資又は利子の軽減をしないことにより、補助金等の交付の目的に反してその交付を受けたことになることをいう。以下同じ。)をしてはならない。
こちらは第十一条に記されており、善良な注意のもと目的に沿った利用が求められます。
誰もが「これ貼ったけど意味あるの?」という ‟あのシール” もこの法律に基づいて貼る事が命じられていたんですねぇ。
![](https://assets.st-note.com/img/1728310046-PbhzHDFY75ByGA9mRnMogEQ1.png)
自戒の念を込めるためのシール(?)
ただし、事業は予定通りに進まないこともあるため、変更や期限延長などが起きる際にはその都度省庁や役所に報告する義務があります。
第七条
一補助事業等に要する経費の配分の変更(各省各庁の長の定める軽微な変更を除く。)をする場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。
二補助事業等を行うため締結する契約に関する事項その他補助事業等に要する経費の使用方法に関する事項
三補助事業等の内容の変更(各省各庁の長の定める軽微な変更を除く。)をする場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。
四補助事業等を中止し、又は廃止する場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。
五補助事業等が予定の期間内に完了しない場合又は補助事業等の遂行が困難となつた場合においては、すみやかに各省各庁の長に報告してその指示を受けるべきこと。
これも法律で決められていたのか。。
補助金適正化法に違反した場合
補助金適正化法に違反した場合には下記のように交付決定を取り消されることがあります。
(決定の取消)
第十七条各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。
また、すでに補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還が命じられます。
恐ろしいのは不正により補助金の返還を命じられた際には、補助金を受給した日から返還する日までの日数に応じて、年10.95%を加算した金額を国に納付しなければなりません。
(加算金及び延滞金)
第十九条補助事業者等は、第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し、補助金等の返還を命ぜられたときは、政令で定めるところにより、その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ、当該補助金等の額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については、既納額を控除した額)につき年十・九五パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない。
税金を不当に扱ったことによる加算税のようなものですね。
返還して終わりではない。刑事罰の対象にも
また、仮に不正受給に該当した場合には「返還すればいいんでしょ」というものでもありません。
申請内容を偽って不正受給をした場合、刑事罰の対象にもなります。
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