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質問のチカラ~PCAGIPやってみた~

産業カウンセラー協会の対面の研修に数年ぶりで行ってきた。

PCAGIP(Person-Centered Approach Group Incident Process)という事例検討のやり方の研修である。

村山正治先生が開発したものでロジャースのパーソンセンタードアプローチに基づいて、事例提供者を傷つけず、エンパワメントするという比較的新しい方法である。

参考文献としては

Amazonより

詳細はリンクに譲るけれど、個人的な理解で言えば、下記のような原則がある。

①事例提供者を否定しない
②解決は求めず、事例提供者のヒントになればよい。
③一人ひとつずつの質問を参加者がまわしていく。
④個々は記録をとらず、すべては筆記者2名がホワイトボードに記載し共有
⑤最後に参加者が事例提供者に自分なりの提案やヒントを提供

数年前からPCAGIPのことは知っていたが、なかなか実際に体験する機会もなく、そのままになっていた。昨年の産業カウンセラー協会の講座は日程があわず、しかも転職掛け持ち中で、受けることができなかった。

今年は日程的に可能だったので、早々に申し込みをした。

参加者は10名。
事前提出したそれぞれの事例から三事例を行うということだったが、運よく選んでもらうことができた。

他の二つの事例のうち、ひとつで筆記者も体験したので、事例提供者、筆記者、質問者のすべての立場を体験した研修となった。

通常よりは短めの80分で実施だが、そのうち60分ほどを質問が占める。
事例は数行ということになっているので、不明な点が多く、次々と質問がされる。

よく考えると60分間質問をされるというのはものすごく大変な気がするのだが、原則の相手を否定しないというスタンスがやはり大きく、ただ質問をされるというより、「関心をもって聞く」というPCAのスタンスがあるので、負担はなく、きちんと話を聴いてもらう時間として機能しているのを体感できた。

むしろ質問だけでここまで行けるのか、と驚くような気持ちだった。

オープンダイアローグやリフレクティングと同様複数の質問者、しかもかなり数が多いので、本当に多種多様な質問が出る。自分では当たり前だと思っていたことや、考えもしなかったことなど、質問が出るたびに改めて自分も考えなおしていく。80分の時間は本当にあっという間に過ぎた。

結論としては、かなり大変な職場の状況を事例に出したので、具体的な解決策はでず、もらった提案も7割がたは実施しているものだったけれど、それでも方向性として間違っていないという安心感を持つことができた。

また説明していく中で、自分のスタンスの確認をしたり、本当に大変な状況にいるというのを改めて認識することで、まあ、すぐできなくてもしょうがないかという気持ちになり、気の持ちようが違ってきたりもした。本当にエンパワメントされる時間だった。

また、他の事例での質問者の役回りの時には、質問が重なって、変化していく中で、事例提供者が変化していく様子や、質問者も他の人の質問に影響されて、変わっていく様子などが見られて、これもまた面白い時間だった。

筆記者になった事例だと、ホワイトボードともう一人の筆記者とのやりとりが主で、質問者や事例提供者を見る余裕がなかったせいか、全く違う視点を体験できた。

ホワイトボードに書かれたネットワーク図を中心に見る感じだろうか。
質問者も全員見渡せる立ち位置なので、ものすごく客観的というか引いた視点で見る感じだった。

取り上げられた事例は自分のものも含めて、カウンセリングの事例が1件、組織の中での対応の悩みが2件の、合計3件。自分のもそうだけれど、カウンセリングの事例検討だけではなく、本当にいろいろな対応の検討に使えることも実感できた。

質問のチカラの凄さを実感した一日だった。

忘れないうちに「質問のチカラ」を活かしてぜひやってみたいと思うPCAGIP体験だった。


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