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100:20:80 ~就活のお作法その1~
はじめに
noteではたくさん就職活動の記事もあるし、最近の私の仕事は働き続けるための相談が主だったので、あえて就職活動についての話をしたりはしていなかったのだけれど、先日コメントでやりとりした中で、ちょっとしたアドバイスをしたら、目からウロコでしたと言われた。
もしかしたら、自分があまりにも当たり前だと思っていたことも、人の役にたつのかも?と思ったので、シリーズで少し書いてみることにした。
100:20:80
これは何?と思う人が多いと思う。
これを読んでいる人は、就職活動の決定権について考えたことはあるだろうか。
「そんなの会社に決まっている」
という方も多いかもしれないが、私はずっと就職活動の支援をしていた時には、「会社と応募者は五分五分ですよ」と言い続けてきた。会社も応募者を選ぶけれど、応募者も会社を選ぶ権利があるからだ。
「そんなの綺麗ごとで、実際には会社が一方的に選ぶんじゃないか」と納得できない声が聞こえてきそうだし、たしかに、その段階もある。
決定権は常に五分五分ではない。
トータルとしてみた場合が五分五分であって、それぞれの段階で比率は常に変化するのだ。そして、その中には、応募者が全ての決定権を握っている段階すらある。
いつだかわかるだろうか。
そう「応募」の段階は、全ての決定権が応募者にある。これが『100』
そして「選考」の段階は会社側のほうが決定権をほぼ持っているので、応募者が『20』
最後に「内定後」になると、また応募者側が決定権の多くをもっているので、『80』
それぞれの段階で異なるけれど、トータルで五分五分なのだ。
『100』=応募
自らの応募であれ、スカウトされて応じるのであれ、応募の段階の決定権は全て応募者側にあり、会社側はこれに関与することはできない。
実は応募の決定というのは、ものすごい権利なのだ。まず自分が選ぶことから全てが始まっているというのを意識して、活動している人はどれだけいるだろうか。
気持ちの上で、優位に立っているところからスタートすることで、主体的に動き、一方的にされる側という受け身の位置から脱することができる場面なのだ。
何もかも自分が決められる醍醐味をぜひ活かして、いろいろチャレンジするのを楽しめると、次の20の段階も少ない決定権をうまく使うことにつながっていく。
『20』=選考
書類選考と面接に関して言えば、前述したとおり、会社側が決定権の大半を持っている。これは、よく考えればわかることで、その会社に合うかどうかの判断は会社がするしかない。特にスキルではなく、社風に合うかどうかは、もうその会社の人間以外は判断できない。
応募者はいかに自分がその会社に適しており、入社後に貢献できるかを、まずは書類で、次に面接で直に伝え、それを聞いた会社が判断するのだ。
ただし、「面接」においては、会社側だけでなく、応募者もまたその会社が本当に自分に適しているのか判断する場でもある。多くの決定権は会社側にあるが、やはり、応募者側もきちんと相手を見定める場でもあるのだ。
面接者の対応もしかり、また面接の際に知ることのできる会社の情報もしかりである。あくまでも主体的に、自分に合うかどうか、気になる点はないかをチェックして、その場で確認すべき点かどうか判断し、対応する必要がある。ちなみに待遇面での確認などは「面接」ではなく、「内定後」をおすすめしている。
とても忙しいので、準備は必要であるが、やはりここでも主体的に動くのが大事である。
『80』=内定後
「選考」を乗り越え、「内定」の連絡が来たら、決定権はまた応募者側が圧倒的に強くなる。「応募」の段階にほぼ近く、入社するかどうかは、応募者が決めることになる。
内定の連絡をもらうと、皆さん電話や最近だとメールですませてしまうことも多いが、ここはぜひ、会って詳細を詰めることをおすすめしている。
入社の意向であることを伝えた上で、詳細を確認したいと言って、断られることはほぼないし、断られるとしたら、少し考えたほうがいいかもしれない。
給与や福利厚生、職場の状況など面接で詰め切れなかった細かい部分も、改めて確認しておくことで、入社後のトラブルのかなりの部分を防ぐことができる。
また、前述したように待遇面での質問は、「選考」である「面接」の段階だと他の応募者との比較になってしまうが、「内定」の段階であれば、その他大勢から来てほしい人に変わっているので、応募者側が有利に話を進めることができる。
とはいえ、「応募」の際の絶対的な『100』ではなく、相手も変更の権利を有している『80』の段階であるので、あまり無理なことを要求すると内定取り消しのリスクもあることは忘れず、交渉すべきではある。
結論
応募者と会社は五分五分。
ただし、それぞれの段階がある。
それぞれの段階を自覚して動くことで、自分がすべきことが明確になるとともに、自分に有利に進めることができる。
ごく当たり前のことかもしれないが、このささやかな知識が、少しでも皆様の就活の役に立ちますように!