オレ、仕事やめてきた!
「オレ、仕事やめてきた!」
平日の昼間に、突然帰宅した夫が言い放ったひと言。
「え〜っ!!まさか冗談でしょ???
「家買って、車買って、子どもも生まれたっていうのに、何で、今?」
生まれ育った大阪から
遠く600キロも離れたこの場所で
知り合いといえば、派遣で働いていた会社の人と
たまに声をかけてくれるスーパーのレジの人くらい
それも、個人的な付き合いなど一切なく
頼りにしたのは、正直あんまり頼りたくない
実家の母だった。
母からは、反面教師的な教え以外
九星気学という占いがあるということを教わった。
まだ私が独身の頃、母からよく聞いた言葉が
「行くと不幸になる方位っていうのがあんねんで(あるんだよ)」
「ごおうさつとか、あんけんさつ言うてな(いうんだよ)」
「死んでしまうような事故に遭うねんて(遭うんだってよ)」
「へ〜え、そんなことあんねんな・・(あるんだね)」
って、疑うことがあまり得意ではない私は素直に
「すごいな、それ」と思った記憶がある。
ただ、
「行って悪い方位があるんやったら、ええ方位もあるんちゃうの?」
って、心の中でつぶやいていたことを思い出す。
私は昔から、人とほとんどしゃべらない根暗で
どっちかというと、ネガティブ思考だと思い込んでたけど、
結構ポジティブ思考だったのかもと思った。
そんな方位の「怖い話」を時々聞かされていた私は、
何となく気になり出していて、母から聞きかじったことをやってみた。
いい方位に行けばいいんだ。
なになに・・
「生年月日で9つの星に分かれるのか」
「私の星と相性のいい星は、いっぱくときゅうし」
「温泉に行くとがいいんだな」
ふむふむ、「泊まりで行くと、なおいいのね」
なるほどなるほど・・・
早速、友だちを誘って
電車で2〜3時間かかる温泉宿を予約し
たっぷり「いい気」を取り入れてみたけど
なぜか、友だちとはちょっとしたことで
ケンカになり、あんまり楽しいとは言えない旅行だった
「あれ・・?、吉方位旅行って、たしか
いいことが起こるんだよね?」
と思いながら、そう気にすることもなく
あっという間に、月日は流れ
(そうだ、もう2つ、方位で大きな出来事があった。また後日書いていくとしよう)
冒頭の事件(私にとっては恐ろしい事件だった)
が起こった。
さかのぼること、その事件が起こる1年ほど前
ある日、夫と仲良しの友だち夫婦が「おんなじマンションに住もうよ!」
と誘ってくれました。
たまに一緒にごはんを食べたりして、
結構、楽しかったので、私たち夫婦は「いいね〜」と
速攻で同意し、引っ越すことになりました。(←はやっ?!)
引っ越すと言えば、
「母は、どの方位に行くの?」と、聞いてくるのは
わかっていたので、あらかじめ方位磁石で地図を広げて
確認していたのです。
当時は、今のような便利なアプリなどありませんでした。
携帯は、持ってる人は持ってる感じで、
この少し前までは、セカンドバッグくらいで
携帯と呼べるのか?という大きさのを持ってる人もいました。
なので私は、本屋で大きな地図を買い、
自宅と、引っ越し先の場所に印をつけて、
線を引き、方位を割り出していました。
ただ、どの方位になるのかわからなかった私は
「あれ〜?、これって、どっちの方位になるの?」と
線上付近に位置する物件のことを
母に聞いてみると・・
「ほんまや、それは知らんわ」の
ひと言でした。笑
まあ、それでも
以前の「温泉旅行」の件もあるので
「そんな気にしなくてもいいや」
と、軽く考えていたのです。
まさか、こんな結末が待っていようとは
だれが想像しただろうか?
つづく