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後編「おいしい観察。」座談会 巣鴨とげぬき地蔵篇

7/2の日曜に、
第3回目の「おいしい観察。定例フィールドワーク」を、
巣鴨とげぬき地蔵にて行いました。
朝10時に高岩寺に集合して、
各自2時間のフィールドワークを行いました。
その後、喫茶店に入り、今日1日の行動を話し、

その時気づいたことや、
感想などを共有して議論しました。

その時の議論の様子を、
前編と後編、2回に分けてお届けします。

▶︎(前編はこちら)

【メンバー紹介】
はらこー)大学生、書籍編集志望
むー)社会人、漫画編集志望
ジョー)映画プロデューサー
おかぴー)社会人、漫画編集志望
まー)広告代理店で企画業
こやま)大学生、漫画描き
のり)雑誌編集者


コミュニティの真ん中

まー)
僕は、今日は座るおじいちゃんシリーズをけっこう撮りました。

病院の前のスロープで、
ガラケーをやたらいじるおじいちゃんの
靴がやたら青かったり。

素足ローファーでちょっとかっこいいおじいちゃん。

ゴマやさんの軒先に買い物してないのに座ってないおじいちゃん。
その杖がやらたピンク。

絶対買わないのに、
お茶屋で座るおじいちゃん。

気づいたことは、
年配の方はスマホを持っていないので、
座っている時は何にもしない。
なんだか、スマホがない時代の
時間の緩さを思い出した。

あと、最近は初めて来る若者が増えた
みたいな話も聞いたけど、
だいたいは何十年も通い詰めている人が多いらしい。

わかってきたことは、
こういうコミュニティに必要な要素は、
ただで座れるってことだと思う。

代官山蔦屋は、座るだけで
お金がかかるじゃないですか。
代官山にこういうおじいちゃんたちがいないのは、
ただで座れないからじゃないかな。

なんの目的で来てもいい、何もしなくていい、
消費行動と紐付けていないということが大事。
何かを売ると、その行動に合致する人しか来ない空間になる。

代官山蔦屋だと、
お洒落な空間でお洒落な本を読んでいる私になりたい人しか、
あそこに来なくなる。
なので、消費行動と紐付けてコミュニティを作ると、
それに合致しない人はそこに来なくなる。

ジョー)
ここのものって、
(生活用品はいいけど)余計なものがないじゃないですか。
代官山って、生きるためには余計じゃないですか。

まー)
代官山と違って、消費行動と紐付かなくていいから、
ダイバシティが高い。
そこが巣鴨の特徴だと思う。

日課性や習慣性みたいな、
毎日反復してくるっていう構造が
結構大事だと思うんですよね。
それが消費行動と紐づくと結構辛いと思う。

オンラインコミュニティが発展する時も、
消費行動と紐付いていないことがポイントだと思う。
オフラインでも日課性、習慣性が大事。
しかも、それがお参りという、
執念、執着を掻き立てるものだったり。

そして、ここに来れば誰かいるっていうのが、
その人にとって居場所になる。

あと、思ったのは、コミュニティには
真ん中が必要だと思った。

商店街の真ん中がとげぬき地蔵で、
そこがお金を取っているかっていうとそうでもなくて。

オンラインの掲示板とかでも、
ここだけは見とけっていう、
真ん中が魅力的に機能するかが重要な気がする。

居場所論とか考えながら見ていたんですけど、
干渉がなく自由でいられるということと、
誰かが見てくれている、
認識しているという安心感が両立していることが大事。

かといって監獄みたいに完全に見ているのも自由じゃないし。
自由と存在認識のバランスが大事かな。

はらこー)
代官山には真ん中はないんですか?

まー)
ないんじゃないですかね?
懐具合によって居場所が変わるんじゃないかな。

あそこはコミュニティにしようとはしてないというか、
各々話さなくていい、煩わしいことはない、
そういうのが嫌な人が多いんじゃないかなって思う。

今日の巣鴨は面白かった。

自分に町おこしの依頼が来たとして、
巣鴨の若い人バージョンを作ってって言われたとして、
とげぬき地蔵的な真ん中を作ろうと考えた時に、
何を要点として抑えて
どういう場を作ると
真ん中が成立するのか、とか
とりあえず座ってればいいんじゃないのか、とか
そういう目で見ていた。


一周したレトロ感

こやま)
今日は初巣鴨でした。
一つ違和感を感じたところがありました。

朝集合する前に見た浴衣の女の子が、
「明日のナージャ」っていう
15年前のアニメのうちわを持ってて、
15年前って親にしたら年が近すぎるし、
兄弟にしたら年が離れすぎてるし、
なんでこの子このうちわ持っているんだろう?
って不思議に思いました。

のり)
20年前のものがちょいちょいあるよね。

まー)
浅草とかみたいに、
一周回ったレトロさを
商魂たくましくやっている街と比べると、
使えるもの使おうってやってたら、
結果古かっただけ、みたいな。

古さにあざとさがないとも言える。

のり)
なんか実家感あるよね〜。

こやま)
あと、いろいろなお守りが置いてある露天にあった
パチスロのお守りが気になった。
なぜか、厄除け安産の並びに
普通に置いてあって。

まー)
巣鴨の印象はどうでした?
知ってる感じでした?
完全に新しい感じでした?

こやま)
あんまり観光地っぽくなくて、
購買を煽る感じがなかった。
みんな、ただ歩いてる感じ。
多分地元の人が半分ぐらいなのかな。

まー)
何にもしなくていいみたいなね。

こやま)
外国人の観光客もすごく溶け込んでいて。

まー)
海外のガイドブックに
なんて乗ってるんですかね?


実家感

のり)
今日は、アイスメロンパン食べてた時に、
横にいたおばあちゃんが、
「この通りは見てるだけで楽しいわー」って言ってて、
「ここの人ですか?」と聞いても、
繰り返すだけで会話が成立しない笑

あと「巣鴨の母」っていう店で、
張り紙がいっぱい貼ってあって
怨念を感じた。

まー)
張り紙面白かったですよね。

のり)
占いの店がカジュアルにあって、
若者と老人は迷うんだな、って思った笑

まー)
時間があると迷うと聞いたことがあります。

のり)

あと、すっぽんや、赤まむしを置いてあるお店があって、
なぜか、お客さんも店の人もいない笑

スーパーマーケットでは、
万引きは捕まりますっていう
張り紙がめっちゃ貼ってあったり。
宅配OKっていう張り紙も貼ってあって、
適材適所のニーズがあるんだなと思った。

そこの2階でおじいちゃんと
パートのおばさんが話してて、
おばさんが
「それならこっちの商品方がいいよ、
今日は奥さんに言われて来たの?」
「いやいや、俺一人もんだよ、
何十年も前に離婚したよ」
「あら、それなら私なんかどうかしら?」
みたいな、
シニアの軽口が面白かった。
実家感満載だなって思った。

まー)
安心なんでしょうね。

僕も家具屋の前通ったら、
おばあちゃんが自転車で曲がったところで、
おじいちゃんが
「おおお、気をつけてね」とか
それだけのコミュニケーションって、
ないところには全然ないから、
安心感、セーフティネットになっているんだな、と。

のり)
住みやすいのかもね。

あと、駅を降りたところに、
100歳モデル募集中という
広告があったのが衝撃的だった。

巣鴨信用金庫に
振り込め詐欺撲滅キャンペーンが
貼り出されていて、
そこにニーズがあるんだなとも思った。

(議論はここまででした。
フィールドワークを通して感じた、
巣鴨という街の魅力や、
そこを中心としたコミュニティについて考える。

無理してまとめずに、
答えを出さないで、
それぞれが感じたことを話し、
会話を繋いでいく。

「おいしい観察。」の活動は
これからも続きます。

また次回をお楽しみに。)


▶︎(前編はこちら)