GAAD Japan 2024 〜はじめてのアクセシビリティ〜みんなでやれば怖くない〜
毎年5月の第3木曜日は、GAAD(Global Accessibility Awareness Day)の日。世界各地で「アクセシビリティ」を考える一日、ということでGADD Japan 2024に参加しました!
まずはカラビナテクノロジー株式会社 中村祐貴子さんのセッションから。
アクセシビリティとは何か
どのような心身の状態・環境でも利用しやすい度合い。
利用者の状況や環境に関わらず、ウェブサービスやウェブサイトをどのような状況で使えるのかという幅広さを指す。
障害者に対してのものだけではなく健常者も含めた、すべてのユーザーの使いやすさについてをさす。
なぜアクセシビリティは注目されているのか?
障害者差別解消法の改正(2021年6月改正 / 2024年4月1日施行)
→ 合理的配慮の提供が努力義務から義務へ
合理的配慮の提供とは?
行政機関等と事業者が、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面で、障がい者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に
環境の整備とは?
不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前の改善措置
→ 合理的配慮は個々の障害者との対話や対応が前提
→ 環境の整備は「事前に行う対策」
ハード面の対応だけではなく、ソフト面の対応も重要
→ 従業員への教育や対応のルールづくりなども重要
ウェブアクセシビリティの良い例・悪い例
必ず達成する必要がある達成基準「非干渉」
これが達成できていないと利用者がウェブサイト内と移動したり、コンテンツを理解することが難しくなる。利用者を発作などの危険に晒してしまう可能性もある
自動再生の設定
再生コントロールボタンを設置し、利用者が再生・停止や音声のミュートが可能な状態にする
キーボードだけでの利用
モーダル・メニューの開閉など
キーボードのみで操作が可能にする
光の点滅
光感受性発作などを誘発しやすい
1秒に3回を超える点滅をするコンテンツを作成しない
自動でのコンテンツ切り替え
スライドーショーなど
一時停止・非表示・停止などの機能を設置し、利用者がコントロールできるようにする
優先的に対応したい必須の対応基準
文字色と背景色のコントラスト比
推奨コントラスト比を保つ
単一の表現による情報伝達
色や形、位置の違いなど視覚的に確認できないと判断できないような表現をしない
代替テキスト
画像などのコンテンツに適切な代替テキストを設定する
テキストと隣接する画像のaltタグを空にするなどの配慮も
テキストの拡大縮小
ブラウザの文字拡大機能を利用した場合にテキストが重なったり途切れたりしないよう配慮する
200%程度の拡縮に対応することを推奨
ブラウザや端末の機能が問題なく利用できるようにしておけば、事業者側がウェブサイトに拡縮ボタンや機能を提供する必要はない
など13項目
こんな時どうする?
レストランの予約サイトがキーボードのみの操作に対応しておらず、予約がうまくできない。合理的配慮をもとめられたレストランはどうする?
◎ 電話予約を受け付ける
▲ キーボード操作での予約完了ができるようにウェブサイトを改修する
→ 改修に時間や費用がかかると事業者側の負担が増える、ユーザーが利用 したいタイミングまでに改修が間に合わないなど問題が残る。
努力義務の「環境の整備」における中長期的対応として検討する
× 対応が可能な人に予約をしてもらうようにユーザーへ依頼する
× 現状のまま変更しない
→ 正当な理由なく不当な差別的取り扱いといえ、ユーザーが目的をはたせないので、合理的配慮ができていない
明日からできること
自分が関わるものにアクセシビリティ対応が必要そうなものやことがないか探してみる
導入ガイドブックと照らし合わせて、短期・中長期でどんな対策ができるか考えてみる