ドイツでの会話から深掘り:移民の捉えられ方
ドイツの知人がいるのだが、話していて「あ、移民に対してそう思ってるんだ」と感じることが何度かあったのでまとめる。ちょっと移民について考えてみたいなという方には面白いかも??移民になろうとしている人にも、どんなイメージが纏わりついてくるか(全員がそう思っているわけではないけど)、を知る良い機会になるかもしれない!
移民のイメージ
移民という言葉がポジティブな意味合いで使われるところを私はあまりみたことがない。移民というと、なんだかよくわからないけど「ごちゃごちゃしていてうるさい」イメージがある。なんでだろう。自分自身も移民なのに。
私の個人的に知っている移民は、上記のイメージにあたる人々ではない。
賢くて優秀で力強い人がおおい。いろんな物事をオープンに考えれて、自分の人生の選択を自分で下すオーナーシップの強い人間が多いと思う。これに同意する人も、多くいるはず。
ただ、ニュースやメディアで取り上げられる移民はこうではない。英語や現地の言語を話すことができないし、自国の文化とノリでやってきて問題を引き起こす厄介者として描かれる。
話の発端はドイツでの会話
夏休みに、北ドイツの裕福な家庭にお邪魔虫した。
お母さんは、よく海外にも住み、教育もうけ、英語も流暢に話す人だった。
基本的にはさまざまなものにオープンな人だが、なぜか移民に関してだけは強い意見を持っていた。
そして「あなたみたいな優秀な移民には不利よね、こうやって移民へのイメージが下がっていくと」とも言っていた。
まず、ドイツの歴史的背景から移民を断ることが難しいというのは、私も過去に学習したことがあるので、移民が大量になっていることは理解できる。断れない政治も理解できるが、やはり国内では強く反対する人がいるのだなと思った。
移民と犯罪率
移民と犯罪率の結び付けはどこでもある。
日本だってベトナム人の犯罪率などをピックアップしたりする。日本でベトナム語担当の警官の話を聞いたことがあるが、やはりちょこちょこ案件はあるらしい。でも、ベトナム人という枠組みよりも犯罪率が高いカテゴリーは大量にあるはずだ。
わかりやすいカテゴリーだからすぐに注目されてしまうのだと思う。
先に述べた、知人の「ドイツ人が犯罪の犠牲になっていて怖い」という発言もいろんな側面で興味深いと思う。
犠牲者がドイツ人じゃなく、移民だった場合はどう思うのか。そもそもドイツ人って誰を指すのか。そんなに移民が起こす犯罪は多いのだろうか?それは移民だからか?貧しいからか?教育が行き届いていないからか?
これは今たまたまドイツを例に出しているだけであって、どこ国でも同じような問題はある。
移民と宗教
私は宗教についてちゃんと理解できたことがない。
無宗教の環境で育ったからだろうが、どんだけ勉強してもなんで宗教同士の対立が起こるのかわからない。宗教自体が対立するというよりは、政治やイゴが宗教に絡められているといつも考えていた。
確かに、ブルカは目しか見えなくて誰か分からないので、みんなはどうやって見分けているのだろうとかしょうもないことを考えたが、
このコメントに関しては、全く共感できなかった。なんでそんなに排他的な考えを持ってしまうのだろうか、と真剣に考えた。
シンプルに誰かわからないから怖いのだろうか?
ドイツの文化が薄れてしまうのを恐れているのだろうか?
それとも、イスラム教に対する悪いイメージでもあるのだろうか?
これ以上は聞かなかったが、フランスの宗教の自由を奪うルールに賛成している人を正直初めてみた。
未知のものに対する恐怖心なのだろうか?
働かない移民?と福祉
ドイツでは、働かない移民が増えすぎて社会福祉がうまくいかなくなっていると、同じ知人の人は言っていた。
確かに働かなくても生きていけるのであれば、楽をして生きようとする人も移ってくるだろう。でも考えたら、政府のサポートで生きる「ドイツ人」の方が多いんじゃね?って思う。
確かに、初めから全く働かない奴がいっぱい増えたら困るけど、移民は働かないのか働けないのかどちらなのだろうか?私は、どちらかというと後者だと思う。
福祉が良すぎるとそりゃ働く意味が見出せない人も出てくるけど、政府からのサポートよりも稼いで自立できる術を持つ人はトライするのではないかと思う。
問題は、移民が働かないのではなく、移民がうまくインテグレーションされずに働くことができない制度やサポートの方にある気がする。
デンマークにはデンマークの問題があり、絶賛するわけではないが、
移民に対するデンマーク語の授業が無料で提供されたり、デンマークノンネイティブ向けの学校クラスと、なんとか自立できるようになるためのサポートはまだ多い方だと思う。
そういった問題を解決する方に考えず、問題を排除するような思想はなんだか残念である。
いや待てよ、これは日本じゃないから思うことなのか?
ここで一歩立ち止まって思うのは、これは自分の国の話じゃないから、自分が移民側だからこう思うだけなのだろうか?
こう思うと、彼女の強い意見に対して何も言えなかった。
日本は、島だし、なんか全部から遠いし、日本語だし、結構排他的な国だし、なんかここまで移民が追えないほど大量にやってくる将来は正直想像できない。
さまざまなところで、人間の数を増やすために移民を受け入れているところもあるが、日本へ移住するのは結構難しいと聞く。
大陸からいっぱい人がやってくるわけでもないので気づかないが、
明日自分が彼女の立場だったら同じように偏見を持ってしまうだろうか。
移民と経済
移民がいるからこそ成り立っている経済もたくさんある。
日本だってその一つだと思う(今はそうじゃなくても、将来はそうなる)し、ドイツだって正直ヨーロッパおよび世界の色々なところから移民として働きにきている人のおかげで経済回っているところはあると思う。
でもどんだけ貢献していても、移民はいつでも国の政治の中で弱い立場にあるからこそ、さまざまな政治活動に使われてしまう。
声がないからこそ、変なイメージや関連性を持たされて、勝手にナラティブを作られる。悔しいけど、どこもそう。
特に移民を揶揄するヨーロッパ人はヨーロッパの移民ではなく、アラブ系やアジア系、アフリカ系の人を指して批判し、変なイメージを作り上げている。結局なんだかんだただの人種差別じゃね?
本当のソリューションは、悪いイメージをつけて追いやるのではなく、
どのように社会に取り組んで、一市民として生きてもらえるかを考えるべきなのではないかと思う。
まとめ
彼女の話を聞いていると、腑に落ちない点は多くあったが、ここは言い争うところではないと思った。彼女の見ているリアリティに基づいた意見であるし、私はその国の住民ではない。でも、すごく残念な気分になった。
移民として生きることはそう簡単でもない。常にsecond citizen 感が溢れていて、疲れることもある。でもそれ以上に、その国に魅力を感じて残ろうとしている人たちが移民であると思う。
そう考えるとなんか健気で仕方なくなる。せめて追い払うのではなく、彼らがその国の生き方を学べるようになればいいのになと思う。
結論も出ないし、専門家ではないからなんとも言えないけど、
この記事が皆さんの中での「移民」に対するイメージをレビューする機会になれば嬉しい。