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被害者体質の盲点(1):正義感

被害者体質とは

被害者体質とは、自己評価が低く、他者からの承認を過度に求める心理状態を指します。このような人々は、「こうでなければいけない」という強い思い込みや完璧主義的な傾向を持ち、常に模範的な形でなければ落ち着かない特徴があります。

理想と現実のギャップに苦しむ

私は理想が高い傾向がありますが、それを行動に移す際には大きなギャップが生じることがあります。このギャップは、いくら努力しても埋めることができず, 常に自分の無力さを感じる原因となっています。

今は、このギャップを通じて、自分のスキルで足りない所を考えるきっかけになっていますが、当時は自分に対する要求水準も高いため、思うように行動できないときは強い不満や自己否定的な感情が湧いてくることがありました。これは完璧主義的な傾向から来るものであり、私を深く苦しめていました。

その結果、自分の限界を超えてまで努力を続け、他者の期待に応えようとする一方で、自分の境界線を守ることが難しく、相手の機嫌や気分の変化に過度にさらに敏感になっていきます。また、自分の感情を適切に表現できず、意見の対立を避けようとする傾向があります。

このような特徴を持つ人々は、善意や正義感から行動する一方で、その善意がNPDに利用される可能性が高くなります。特に、相手の要求に応えられないことへの自責の念や罪悪感を抱きやすく、それが新たな支配や操作の材料として使われることがあります。

事例:ヨガスクールでの体験(仮の話)

私は趣味でヨガのレッスンに通っていました。インストラクターのAさんは、とても親切で温かい人柄で、生徒一人一人に丁寧に向き合ってくれました。私は徐々にAさんのクラスが心地よくなり、週に1回のレッスンが楽しみになっていきました。
ある日、Aさんから「あなたは素質があるから、インストラクター養成コースを受けてみませんか?」と声をかけられました。私は内心、自分にそんな素質があるとは思えず、躊躇する気持ちがありました。でも、Aさんが「私が全面的にサポートするから」と言ってくれたので、その言葉に甘えて養成コースに申し込むことにしました。
しかし、コースが始まってみると、予想以上に厳しいスケジュールで、仕事との両立が難しいことがわかりました。体調を崩しそうになっても、Aさんの期待を裏切りたくないという思いから、無理を重ねていきました。

正義の罠の構造

このような状況では、以下のような心理的な罠が仕掛けられています:

  • 相手は最初に「あなたには素質がある」と褒めることで、被害者の自己評価を操作します

  • 「私が全面的にサポートする」という言葉で、被害者の正義感と責任感を刺激します

  • 被害者は「期待に応えなければ」という思いから、自分の限界を超えた努力を続けてしまいます

被害者の心理

この事例では、被害者の以下のような特徴が利用されています:

  • 自分をネガティブに評価する傾向があり、他者からの承認を過度に求めています

  • 「こうでなければいけない」という完璧主義的な思考パターンを持っています

  • 期待に応えられないことへの罪悪感が、さらなる無理な努力を引き出しています

このような関係性では、被害者の善意や努力が当然のものとして扱われ、それが新たな支配の道具として利用されていきます。

そして、状況は徐々に変化していきました。Aさんは他の生徒と私を比較し始め、「〇〇さんはここまでできているのに、なぜあなたはできないの?」と言うようになりました。また、「私があなたを特別に指導しているのだから」と言いながら、休日の練習や追加レッスンを要求するようになりました。

このような状況では、以下のような心理的な罠が仕掛けられています:
さらに困惑したのは、Aさんの矛盾する要求でした。「もっと自主的に練習しなさい」と言いながら、同時に「すべて私の指示に従いなさい」とも言うのです。自主性を求められながら、その自主性が否定される状況に、私は混乱していきました。

相手は最初に「あなたには素質がある」と褒めることで、被害者の自己評価を操作します。これはもともと、「あなた」が自己評価が低いために起こります。

Aさんは次第に私的な相談や悩み事も話すようになり、「あなたは私の気持ちがわかる特別な生徒」と言って、深夜まで電話をかけてくることもありました。私の時間や境界線は完全に無視され、「サポートする」はずの関係が、いつの間にか支配的なものに変わっていました。


努力と自己価値の罠

「努力をしないと価値がない」という思い込みは、自己価値を外部の評価や達成に依存させる深い心理的パターンです。この考えの裏側には、以下のような歪んだビリーフ(思い込み)が隠されています:

  • 常に模範的で完璧でなければならないという強迫的な思い込み

  • ありのままの自分を受け入れることができず、常に自分を否定的に評価する傾向

  • 休息や失敗を自己否定の証として捉えてしまう考え方

この思考パターンは、以下のような悪循環を生み出します:

  • 自分の限界を超えてまで努力を続け、心身を疲弊させる

  • 達成できないことを自己の無価値さの証として捉える

  • その結果、さらなる努力を強いられ、自己否定が深まっていく

本来、人間の価値は努力の量や成果で測れるものではありません。この考え方から抜け出すためには、まず自分の中にある「努力=価値」という思い込みに気づき、ありのままの自分を受け入れる練習から始める必要があります。

次回は、「反動形成」という防衛機制について詳しく解説します。なぜ被害者が正義感からNPDに向かっていこうとするのかか、その心理メカニズムの裏側に迫ります。自分の中にある「裏切られた怒り」がどのように「正義の怒り」へと転換されていくのか、その過程を理解することが、自分の「ありのままの姿」を受容していきます。

※このマガジンは、NPDの被害に苦しむ方々の回復を支援することを目的としています。

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