プログラミングの前にコンピュータの仕組みを(6)-コラム1基礎用語-
前回はこちら。
ちょっと今回は脱線して、基本的な用語や、知っておいたほうがいいことをまとめておきます。
電流
電気は流れるもので水のようなものです。
電気の流れている電線をぶつっと切って、その断面に1秒間に流れてくる電気の量を電流と呼んで、単位をA(アンペア)としています。
ある決まった量を1A ねって決めているので、1秒間にその倍の量が流れて来るなら2Aです。
電圧
電気の流れを作るために電気を押す力、圧力的な力を電圧と呼び、一定の単位を1V(ボルト)と決めています。
水の場合も流れる強さのことを水圧って言いますよね。あれと同じで電気の流れる強さは電圧です。
家にある乾電池をよく見てみれば、1.5Vとか書いていますよ。その電池が持っている電気を押しだす力ですね。
導体
電気が流れるものを導体といいます。水道管のようなものです。水道管は太ければ太いほど水がいっぺんに流れますよね。電気が流れやすい導体は超太い水道管だと思ってください。電気がいっぺんに流れます。一般的に電線に使われる金属の線は、見た目は細いけど、いっぺんに電気を流すことのできる導体なので、めっちゃ太い電気管(?)だという感じです。
電池
電池は電気を蓄えて置ける箱で、たくわえがなくなれば空っぽになって使えなくなります。
1.5Vの力を持つ電池のプラスから電線を伸ばして、そのままマイナスにつなぐと、1.5Vのあんまり強くないパワーでも、電気の通る管が超太いので、いっぺんに電気が流れて、電線の途中は大電流(大アンペア)!ということになります。電線の温度がめっちゃ高くなって激熱、キケンです。やっちゃダメです。
電池もすぐに空っぽになってしまいます。
それじゃアブないしもったいないので、普通は電気を流れにくくします。
抵抗
電気の流れる力に逆らって、その力を弱くしてくれる存在、水道管じゃなくて電気の管を細くしてくれるもの、そういうのを抵抗って呼びます。
いろんな抵抗がありますが、この連載で使っている電球も代表的な抵抗です。
電気の力を弱める抵抗力の強さを、単位Ω(オーム)で表します。
基本的に電気の流れる回路を作るなら、この抵抗を入れておかないと大電流が流れてキケンです。必ず入れましょう。
難しく考えないで
さて、これまでの連載では電気が「来てる」か「来てない」か、そのことだけしか考えていませんでしたが、基本的には電気には上で書いたように、強さとか量とか水のような性質があり、「ちょっと来てる」とか「いっぱい来てる」とか、「ここの電流は1.5Aだ」とか「ここの電圧は0.8Vだ」とか、そんな風に「来てる」「来てない」だけでは表せない側面もあります。
でもね
そんな微妙な量とか強さとかを意識するの大変なので、ちょっと乱暴だけど「これ以上電圧が高ければ電気が来てるってことにしよう!」
「電圧がこれに満たないならそれはもう電気が来てないってことにしよう!」
っていうライン、このラインを閾値(しきいち)って言うんだけど、それを決めちゃって、「来てる」「来てない」だけ考えりゃいいってことにすれば楽じゃないか!って考えた人が昔いたようです。
コンピュータを作っていく上ではこの考え方を取り入れて、電気の通り道のある地点の電圧が閾値よりも高い(英語ではHigh)なら「来てる」、電圧が閾値よりも低い(英語ではLow)なら「来てない」ってことにする!ってなっています。
High or Low
さらに毎回、「来てる」、「来てない」って言うのもわずらわしいので、英語のHigh、Lowの頭文字をとって、「H」「L」って言ったりします。書くのが楽ですね。
だから前々回書いた下のような表
$$
\begin{array}{|c:c|c|}\hline
いりぐち&スイッチ&でぐち \\ \hline\hline
電気来ない&電気来ない&電気出ない \\
電気来ない&電気来る&電気出ない \\
電気来る&電気来ない&電気出ない \\
電気来る&電気来る&電気出る \\
\hline\end{array}
$$
これは下のように書きます。
$$
\begin{array}{|c:c|c|}\hline
いりぐち&スイッチ&でぐち \\ \hline\hline
L&L&L \\
L&H&L\\
H&L&L \\
H&H&H \\
\hline\end{array}
$$
らくちん。すっきり。
もちろん前々回書いたような〇×な表
$$
\begin{array}{|c:c|c|}\hline
いりぐち&スイッチ&でぐち \\ \hline\hline
×&×&× \\
×&〇&× \\
〇&×&× \\
〇&〇&〇 \\
\hline\end{array}
$$
これでもいいけどね。
あー、入り口、出口って言い方も子どもっぽいので、これは英語ではInput(インプット)、Output(アウトプット)だから
$$
\begin{array}{|c:c|c|}\hline
Input1&Input2&Output \\ \hline\hline
L&L&L \\
L&H&L\\
H&L&L \\
H&H&H \\
\hline\end{array}
$$
とか、英語だらけで難しく感じるから昔の人が訳したみたいにInputは入力、Outputは出力って呼ぶことにして
$$
\begin{array}{|c:c|c|}\hline
入力1&入力2&出力 \\ \hline\hline
L&L&L \\
L&H&L\\
H&L&L \\
H&H&H \\
\hline\end{array}
$$
こんな風に書きましょうか。
どうして今回こんなことを書いたかというと、他の入門書で勉強しようと思ったら、こんな風な書き方をしているものが多いからです。慣れておいたほうがいいでしょう。
また、この連載でもこれ以降、こうした記法を使うことになると思います。だって書くのがらくだし。
この連載では今後ほとんどアンペアとかボルトとかオームとか書かないつもりですので、あまり難しく考えなくて大丈夫です。
次回はまた本来の流れにもどり、ICを使って少しずつコンピュータの形に近づけていこうと思います。
つづく。
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